プリシラ物語

☆☆☆

上を向いて歩こう。

2015-03-06 01:07:28 | Weblog
いつもの定食屋にて
八千草薫似のおばさんがあたふたしていた
聞くと、バイトのおじちゃんが体調を崩して早退をしてしまったらしい
んん?
よっしゃ~!ほい、来た!!
『プリシラさんは良い人』自慢の出番だぜぇ!
皿洗い、やる
一時間くらいしか手伝えなかったけど
おばさんはニコニコしながら
『助かるわぁ~』と言っていた
へへへ、、、
プリシラさんは手がガサガサになり
腰がへコへコになったけど手伝って良かったぁ
おばさんに食べたい物を聞かれたのでシチューをお願いした
美味しかった、日替わりメニュ―らしく、、、
多分、今季最後のホワイトシチュー
ニンジンのらん切りされた形が綺麗だった
いい気分でプリシラさんは人生の一日を過ごした、過ごした?
過ごせる?過ごせる、、、はず?はず、、、だった

奴が来た
年は奥田民生と同じだという
サラリーマンなのに何故か1年中顔黒である
会社では何かの責任者らしいが、、、口調は嫌みな部長系
下の者に対しては社長系
上の者に対しては平社員系
まぁ、まぁ、たまにしか会わないけど、、、
あぁ、見た目も中身もプリシラさんの大嫌、、、
いやいや、大の苦手なタイプの人物である

あちゃ―

携帯電話で話ながら、調理場を覗き込んできやがった
おばさんもプリシラさんも気付かない振りをした
席に座ると大きい声で
「あ―腹減った、アジフライでも食うか」
そう言うとツカツカツカと
プリシラさんが洗い物をしている向こう側にやってきた
あっち行け!
「ちょっとこれ―」
とか何とか言っちゃって紙切れを差し出してきた
プリシラさんはあり得ないどや顔でその紙切れを覗き込む
『金原亭〇〇襲名、、、』
そんな文字があった、知ってる!知ってる!
今度、真打ちになるらしい、知ってる!
だが、、、プリシラさんは
『カナバラって誰ですか?』
すっとぼけた、いいんだ、いいんだ
「え?知らないの?カナバラじゃないよ、この間さ―おばちゃんとラジオの落語聞きながら大笑いしてたからさ―」
全くもって、嫌みな言い方だ、その嫌みで人を小馬鹿にしたような言いぐさ、、、
あぁ、ここで上手く伝えられないのがもどかしいっ!!あぁ!
『落語なんて全く興味ありません』
プリシラさんはあり得ないどや顔で言い放った
「ふぅ~ん、そうだよね、カナバラって言ってるくらいじゃなぁ―あはは」
どうやったら、この嫌みな言い方を再現出来るんだ、あぁ!
「アジフライ出来ましたよ」いちよ、客で、今、プリシラさんが置かれている立場は店の人、、、
これ以上はおばさんや他のお客様に迷惑がかかってしまう、、、プリシラさんは堪えた

帰り際、、、「おばちゃん、ご馳走さま、君は興味あるないとかじゃなくて漢字の勉強と一般常識の勉強をした方がいいじゃないのかな」


し、知ってますよ、勿論、知ってますよっ!!きんげんてい!!!落語、大好きですよ!上野にも浅草にも聞きに行きますよ!大好き過ぎて落語家になりたいくらいですよっ!なれた時の名前まで考えているくらいですよっ!ふがっふがっ――!!!ふがっ―!
しかも、行きたいじゃないか、その金原亭!!!ふがっ――!!
この怒りを何処にぶつけたらいいのかい?
もしかしたら、、、
今年初のプリシラさんの怒りなんじゃないのかい?

こうしてプリシラさんは、、、怒りを抱えたまま、、、
手がガサガサで腰がへコへコのまま、、、一日を終えようとしている、、、そして、今、プリシラ物語によって、また思い出し、、、あの時の怒りが甦るのであった、、、ふがっふがっ―!!もひとつオマケにふがっ―!!!

えっ?プリシラさん、そんなことくらいで怒るなって?
えっ?落語家になれた時の名前が知りたいって?
まじ!知りたい?本当?照れちゃうな!
んん~そうか、知りたいか!!
じゃ、特別に、、、
『冷蔵亭チョコリ』うふ♡ナイスな名前でしょ、気に入ってる♡
そして、、、
プリシラさんは、、、『プリシラさんは良い人』自慢キャンペーンのはずなのに、、、
うっかり『ブラックなプリシラさん』を、、、
今まで隠し通していた『ダークブラックなプリシラさん』を披露してしまった事に、、、
気付かないのであった、、、。
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