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いろはにぴあの(Ver.3)

ピアノを趣味で弾いています。なかなか進歩しませんが少しでもうまくなりたいと思っています。ときどき小さな絵を描きます。

海の絵

2012年05月20日 | お絵かき

 一昨日でかけたブリヂストン美術館で、印象に残った絵のなかに海の絵がある。自分が海を描くのが好きだから、一層身近に感じられたのだと思う。その、海だが、昔はそこで糧を得る生活者以外の人たちにとっては、意外になじみの薄い場所だったという。そして西洋においても海の絵は長い間、神話や物語に付随する、決まりきった形式でしか表現されていなかったが、独自のジャンルとして成立するのは、17世紀のオランダ、18世紀のイギリスという大航海時代にであった。そして海の絵が本格的に描かれるようになったのは、西洋でも日本でも、19~20世紀にレジャーや旅が盛んになってからの話だそうだ。海岸や海はそれぞれの地方によって地形も異なり、それぞれの自然に合わせた表情を出してくれる。例えば瀬戸内海のおだやかな海を見慣れていた私は、日本海や太平洋の波が激しく防波堤や岩にぶつかる様子を見て、恐ろしさを感じながらもすっかり見入ってしまっていた。なんと美しいのだろう、自然は偉大なのだろう、と思った。しかし瀬戸内海の鏡のような海面と小さな島々の美しさも本当に素晴らしい。一続きにつながっている海でありながら、周りの気候や地形によってあんなに表情が変わるのだ。本当に面白い。

 クロード・モネと青木繁は、海岸に激しく打ち寄せる波と海面から突き出ている岩の飛沫を波の音が聴こえてきそうなほど生き生きと描いている。描かれた場所も遠く離れていながら、ものすごく共通点が多かった。また、モネの黄昏・ヴェネツィアは夕日に染まり輝く空と教会、そして動く光を、水面に美しく写し取っている。

 そして私が一番海の絵で印象に残った画家が藤島武二氏だ。この展覧会までまったく知らなかったし、人物画で有名な画家らしいが、海の特徴を端的に捉えた非常に美しい絵をたくさん描いていた。形もだが色のとらえかたやセンスが素晴らしくて心打たれた。

 

藤島武二氏の絵です。左は「淡路島遠望」1929年の作で、現在は明石海峡大橋がかけられているところです。右は「東海旭光」です。「屋島よりの遠望」「波(大洗)」も素晴らしい絵でした。 (元来画集が好きな私。重いしかさばるので、関東に来てからは買っていなかったのですが、この展覧会で久しぶりに買ってしまいました。)

 そして検索をかけているうちに発見したのは、ブリヂストン美術館、2年ぐらい前に「SEA」こと海の特集をやっていたんですね。海の特集、またやってくれないかな~。やってくれたら駆けつけますよ。

 ちなみにブリヂストン美術館、この「あなたに見せたい絵があります」は6月24日 (日)までです。次回7月14日からは「ドビュッシー 音楽と美術ー印象派と象徴派」という興味深いテーマでの展覧会が開かれます。

 

 実は昨日練習会でした。そして今日ちゃんと練習しようと思った矢先に現実逃避を?いや、この記事は一昨日から書こうと思っていました。「自画像」「モデル」「レジャー」「物語」「山」「川」「静物」 というように、同じテーマごとにまとめて展示されていたこの展覧会では、その対象が描かれるようになった歴史もつかむことができて、とても面白かったです!