さようなら原発・町田の会

11月11日に結成となる、町田の脱原発の連絡会です。

独立した2系統の外部電源供給すら事業者は値切ろうとしている

2013-04-02 12:02:53 | 日記
「福島の教訓を生かしていない再稼働ありきは危険だ」の概要紹介。

井野博満さん「新安全基準について」語る
(『エコノミスト』誌掲載)

■策定急ぐべきではない
 第一の問題;旧安全審査指針と、新安全基準との相互関係が不明確。
 新しい安全基準は、旧指針類を総体として検討した上で、再構築すべきものではないだろうか。例えば福島原発事故の状況は「立地」指針の適用に誤りがあったと言わざるを得ないが、新安全基準では立地指針に相当する具体的な記載がない。安全評価指針も「今後検討」。重要度分類指針は耐震性能を考える上で基準となる重要なもので、例えば従来は外部電源も最も重要度が低く耐震性能も低い「クラス3」だったが、「クラス1」に格上げして最高レベルの耐震性を確保すべき。計測器類が故障して事故の進展を把握できなかったのだから、計測器類も「クラス1」にして信頼性を高めるべきだ。

 第二の問題:新安全基準を「設計基準」と「シビアアクシデント対策」に分けている事。
 確かにNRC(米原子力規制委員会)はじめ各国が設計=デザインベースと、過酷事故=デザインベースを超える事故対策で組み立てている。これまで電力会社の自主的取り組みだった過酷事故対策を法律で義務づける意味はある。が、NRCが起きそうもないとした過酷事故が起きたのだから、設計基準自体を福島事故レベルに対応できるものにすべき。安全評価指針を含めた根本的な見直しをするのが筋。それを避けた。例えば福島事故の沸騰水型軽水炉BWRのマークⅠ型格納容器は欠陥設計ではないか?といった設計自体の検討がない。設計基準と切り離したシビアアクシデント対策で、電源車や消防ポンプなど付加的対策の導入に過ぎない。

 福島事故の教訓が部分的にしか反映されていないのではないか。国会事故調の調査妨害が明らかになるなど、事故原因について再調査も必要。未解明が多い。事故との因果関係を解明して根本的な欠陥があるか先に判断すべきで、新安全基準を急ぐべきではない。

■恒設設備は必須にすべき

 新安全基準の「設計基準」の欠陥。
 旧安全基準、安全設計指針の「単一故障の仮定」(異常状態で1つの機器だけが故障する事)が変更されていない。福島事故では安全系の複数の設備・機器が同時に機能を失う「共通原因故障」が起きた。これが反映されていないために、安全対策の多様性、独立性を求めた改訂の審議は腰砕けとなった。独立した2系統の外部電源供給すら事業者は値切ろうとしている。規制委員会は妥協してはならない。

 シビアアクシデント対策の欠陥は、骨子に書かれた恒設設備「特定安全施設」(フィルター付きベント、第2制御室、炉心や格納容器の恒設冷却ポンプなど)義務化を明確にせず、現時点での対策を求めていない事。「更なる信頼性向上を図る為の設備」とされているだけ。可搬式代替設備の弱点を補う恒設設備は同時に整備されるべき事故対策である。時間がかかるから後回しでは、再稼働を急ぐ電力会社に迎合ではないか。

■真の科学的立場を

 電力会社言いなりだった過去の安全指針よりは一歩前進だが、旧い原発を救ったり、少ない追加経費で再稼働に持ち込もうという事業者や原発産業の動きが強まっている。規制委員会は原発を作る側ではなく、被災させられる側の立場でなければならない。日本と世界の将来を憂慮する多くの市民の声にこそ耳を傾ける、それがあるべき規制の姿だろう。