パンを忘れた

夜になって、ねようかなと思ったら
誰か来ました。

Ｍさんが、でてみると
パンを持った人がいました。

私が買ったパンだそうで
色々さがして届けに来てくれたのでした。
パンやさんでした。

昼頃に焼きたてパンを
買ってお金を払って来たそうです。
戻ってくるかとずっと待ってたけど
来なかったので、探しました、と言っていました。

寒かったでしょう
ありがとうございました。
でも、どうして私の家が分かったのでしょう？

聞いてみました。

・・山中の生徒さんが、
パンを買いに来てくれるんですが
店の者が、忘れていった話をしていたら
その生徒さんが、もしかしたら、って
教えてくれたんですよ。
間違いかも知れないと思ったんですが
持ってきてしまいました・・とのこと。

確かに私だったか、それは分からないですが
パン屋さんが、私だと言います。

とても有難く嬉しいことです。
パン屋さんにも
山中の生徒さんにも、感謝です。

うどんを作る

Ｍさんの誕生日に
なにかお祝いをしたいと思いました。

１月２１日です。
うどんを茹でることにしました。
大好物なのです。

茹でることなら
私にも出来るように思いました。
サポーターさんが横にいて
私のとんちんかんをなおしてくれるので
安心です。

色々作りました。
・白だしのつゆ（ネギだけで）
・かき揚げうどん（かき揚げは八百広さんでかってきたもの）
・田舎うどん（けんちん汁のだし）
・サラダうどん（レタスと貝割れ大根とハムを入れる）
・カレーうどん（インスタントのカレーを暖めて）
・月見磯辺うどん（卵の黄身と刻み海苔）
・坦坦うどん（たんたんラーメンみたいに辛い挽肉が入っています）
・狐と狸うどん（てんかすと油揚げを一緒に入れました）
私がどんどん茹でて、
食べる人はどんどん食べるという方式です。

コーチは明るい蟄居さんで
奥様も手伝ってくださいました。

このようにしてＭさんの誕生日を
祝ったことはありません。
Ｍさんのお友達も見えて、１０名ぐらいの人が
食べてくれました。

皆さんは、私が認知症であることを知っていました。
さりげなく、ボイスレコーダーに
ご自分のお名前を、入れていかれた方もいらっしゃいました。

大勢の人の中にいると、いつも疲れてしまいますが
今日はそれでもいいと思いました。
どのようになっても、いいのではないか、と思いました。

明日が分からないとしても今は、
うどんを茹でて食べて貰いたいと、思いました。

愉快な日でした。

そうそう それ！

この頃、レコーダーが、ちょっと切れることがあるねえ、
と薗部さんが言いました。

大切なレコーダーが壊れたのでしょうか
私は、心配になりました。

そうではなく・・・と言って
今日の散歩の時の所を
再生して聞かせて貰いました。

公園の池にいた綺麗な鳥のことを話していて
ちょっと声が途絶えました。
しばらく、どの声も聞こえません。

それから、梅の花のつぼみのことを
話しているときまた、ぷつんと声が聞こえなくなりました。
なにか言っているとは思うのですが、よく分かりません。

ああ　本当に切れているんです。
繋がってはいません。お話がばらばら・・・

言葉が思い出せないことは何時も何時もあることです。
それを思い出してるうちに、何を言いたかったのか・・
忘れてしまうんです。
聞いている人は、きっと変に思いますよね。

でも一緒にレコーダーを聞いていてくれたもう一人のサポーターさんが、
「よく聞くと、あやちゃん・・そうそうそれ、とかああそれだった、とか
言ってますね、・・」だから、言葉に詰まったときになにか言ってあげれば
繋がるんじゃないですか・・と。

そうして助けて貰えたら嬉しい。
その言葉を通して言いたいことがある。
言いたいことを分かって貰えるか・・

自分が言いたいこともですが
なにかを聞かれてちゃんと応えることが
出来ているのだろうか、
失礼なことを言ってはいないだろうか
・・ふと、思うことがあります。

そうそう　それ！と
言いたいことを忘れてしまわないうちに
手伝って貰えれば、
言いたいことを言う事が出来ると思います。

にんじんクラブの新年会

遅ればせながら　
新年あけましておめでとうございます。
昨年は本当にお世話になりました。

迷いながらの、手探りでの、一年を過ごしてきたと
振り返って思います。
そのたびに皆様の暖かな言葉の通い合いの中から
次にするべきことの確信を得て進んでくることが出来ました。
なによりもまずその事を感謝致します。　ありがとうございました。

にんじんクラブでは昨年の映画会の後から、
茶話会や昼食会を続けてきました。
不定期で気まぐれ懇談会などといわれていますが
それが替えってふらりとみえる方もおられ
気楽な雰囲気を醸し出しています。

その中で何時も話の中心になるのは
助け合える町を本気で作ろう、と言うことです。
　今年は、その事が今よりも形になって見えるように
していければ、と考えています。
例えば、最も身近な商店会や、新聞販売店の皆さんに
この病気のことを知って頂くことで、どんなことが出来るだろうか、と
探って見たいとも思っています。

一回お話しして終わりではなく、
実際に気になる人が見えたときに
どうしたらいいのかと一緒にやってみるところまで、
出来るような・・・。

私のそういうささやかな願いも、クラブのメンバー一人一人の願いも
みんな出し合って、小正月ににんじんクラブの新年会をします。
その中には勿論当事者の願いも混ざっています。

お節介で慌て者の、団塊おばさんグループの活動（と、呼ぶことができれば・・）
も３年が過ぎようとしています。心して地に足をつけて皆で横一線になって
進んで行きたいものです。
　　今年も宜しくお願いします。
　　　　　　　　　　　　　　　にんじんクラブ　木下としこ

爪切り

お風呂から出て
爪を切りたいと思いました。

爪を切るのはとても好きで
子供の爪やＭさんの爪をよく切ったものでした。

お湯からでて、そこで待っているようにと
言われたところに
爪切りがあったので
嬉しくなって切りました。

けれども、なぜだか切れません。
うまく爪がつかめるのに
少しも切れず・・・
爪切りの刃がかけているのかしら、と思いました。

お嫁さんが戻って迎えに来てくれたので、
爪がきれない・・と言うと
・・にこっと笑って、「毛抜きですね」
と言いました。

毛抜きだったんです。
切れないわけです。二人で笑いました。
笑ったのに、ちょっぴり寂しくなりました。
　　　　　　　　　　　　　　　　　（代筆　清子）

新しい年に

今年も始まりました。

今日は１月５日。
早いですね
あっという間です

お正月には
子供達が来ました
皆で、箱根駅伝を見に行きました。
彫刻の森美術館のあたりで見ました。
本当に皆、力の限りを走ってきます

最後のランナーを見送って
涙が出てきました。
なぜかな・・・

「お母さん、手のひらが真っ赤ですよ」と
お嫁さんがさすってくれました。
夢中になってしまったようです。

今年も駅伝を応援することが出来ました。
心が沸き立ちました。
それが、嬉しいことです。

今年も宜しくお願いします。
　　　　　　　　　　　　　（代筆　友兼）