城戸社会保険労務士事務所 西神戸オフィス 所長のブログ

その時々、感じたこと、学んだこと、仕事をしたこと等、社会保険労務士業務を通じて会得したことを、日記風に書いていきます。

労働保険・社会保険の電子申請

2014-03-25 18:55:11 | インポート

 今日、兵庫県社会保険労務士会が主催する電子申請の講習会に出てきました。
事業主の方から、委任状をもらい、労働局に照合手続きの簡素化を社会保険労務士として、兵庫県社会保険労務士会を通じて申し込めば、兵庫県の分に関し、賃金台帳等のコピーが不要になり、当職が、確認をすればよいことになります。
 他都道府県に関しては、小職より、直接他都道府県労働局に申請をすれば認められるとのことでした。
 e-Govのサイトに入り申請を使用としましたが、当初は、持参したPCのセキュリティー機能ではねられました。
 仕方がないので、講師より、e-Govのヘルプディスクに電話をかけて頂き、ヘルプ嬢の指示に従い対処して、ようやくはねられなくなりました。
 一応、資格取得申請が模擬的にできるようにして、今日の申請講習は終了しました。
帰りがけに、本会の事務により、委任状帳票を1冊購入してきました。
 以上が、研修内容でした。
講師の皆さん、有難うございました。


ビジネスパーソンと副業

2014-03-17 17:18:50 | インポート

 昨日、兵庫県社会保険労務士会神戸西支部の西区区会で、「副業規制と解雇」という題で、西区会世話人である 清水雅樹先生より話題提供がありました。
 はじめに、先生の方から講義があり、そのあと議論となりました。議論には、残念ながら、閉館時間のため、十分な時間が取れませんでした。
 この議論は、最近の副業、兼業の広がりの兆候を受けたもので、兵庫県社会保険労務士会の労働法研究会でも話題となったとのことでした。

 日本経済新聞2013年2月27日の記事に、「減収時代、副業に活路」との題で、
● すでに1割が開始、
● 副業を始めたり、検討したりしている人は43%
● しかし、副業禁止の企業は50%
● その後も「情報漏洩の懸念から副業規制を厳格にする流れは変わっていない。」と
  労働政策研究・研修機構の郡司正人主任調査員は見ていますとの紹介があり、
更に、副業を持っている雇用者は3.5%~6%の範囲にあり、この数値は派遣就業者2.5%よりも多いとの説明がありました。

 この動きに対し、企業は、正社員の副業を禁止する企業の割合が、38.6%⇒50.4%と増加し、違反者に対する解雇規定を43.7%が設けているとのこと。
 この副業規制の理由は、
● 業務専念
● 業務に悪影響
● 企業秩序を乱す
● 情報漏洩
などとのことでした。

 では、従業員は副業ができるのか?
● 一般に社員が副業をすることはできないと信じられている節がある
● 企業側、従業員側とも信じている
● しかし、勤務時間外に何をするかは労働者の私生活の領域として原則的に自由
● 主要学説、判例とも一律に兼業をすることを禁ずることはできず、就業規則の
  兼業禁止、懲戒解雇規定は限定的に解釈されている。

 次に、事例による検討では、解雇が有効とされた「小川建設事件」から見ると、判決で、
● 就業時間外は本来労働者の自由
● 兼業の内容によっては許可制とする就業規則規定は有効
● 長時間(6時間)深夜に及ぶ就業は誠実な就業に支障をきたす蓋然性が高い
  ⇒ 社会一般通念
● 事前に許可申請しても許可されないであろう
● 解雇は有効である

とのこと、しかし、全基連判例DBの11件中、

● 解雇有効 5件
  - 解雇有効中2件は競合会社を運営、客を奪う
  - 2件は業務に支障が出ている(深夜長時間労働、以前の大学の講義を続け、
             本業を休校にした。)
       ー 1件は審査中に議員に立候補、当選(c.f. 十和田観光電鉄事件:公民権の保証)
● 解雇無効 6件
  - 3件は係争中など就労の実態のない時期に解雇
  - いきなり解雇は過酷。解雇権濫用。
  - 黙認されていた
  - 就業規則が存在しない

とあるが、判例・学説からの基準として、
● 従業員の副業を許可制とすることは合理性があり法的に認められる
● 許可を得ずに従業員が二重就職あるいは兼業をした場合の懲戒処分については
  限定解釈される。
  - 労務提供に支障が出る
  - 競合事業をする、同業他社で就労する
   ⇒ 企業への背信性がある場合
となり、

懲戒処分の法的有効性が成立するためには、
● 就業規則に根拠規定があること 罪刑法定主義
● 懲戒事由に該当すること 懲戒処分の客観的合理性
● 社会通念上の相当性を有すること 社会的相当性
また、懲戒の相当性として、
● 重すぎないか
  - 当該行為と比較して
  - その企業の前例と比較して
  - 他の同種従業員の例と比較して
● 適正な手続きが取られていないか
  - 弁明の機会を与えているか
  - 「問答無用」で処分していないか
更に、懲戒の対象となりえる要素として、
● 業務に支障・悪影響
  - 居眠り、能率低下
● 情報漏洩
● 地位利用・情報利用
● 競合的行為
● 業務専念義務違反
● 企業秩序を乱す
があるとのこと。

 今後の課題として、
● 就業規則の一律禁止をどのように判例の主旨に合わせていくか
● ネットビジネスへの対応
● 多重就業のメリット面を活かす

があるとの講義がありました。

 これに対し、意見等として、

① 就業規則で禁止行為を定める場合、限定列挙の必要があり、抽象的ではなく、
  具体的に定める必要がある。
② 具体的な就業規則による禁止事項として、このようになっているとの事例。
③ 公務員の場合はどうだ。
④ 家業をするのは認められている。

等の話が出ました。


効果的な人事考課面談

2014-03-16 12:32:18 | インポート

 2014年3月13日、LCG日本人事労務コンサルタントグループ主催によるコンサルティングスキルアップ講座に出席しました。
 講師は株式会社 Y'sディスカヴァー代表取締役 エグゼクティブコーチの小林 芳子先生でした。

 講座の目的は、企業が、目標管理制度MBOをOJTの手段として取り入れている際、管理職による部下への人事考課面談が行われるが、社会保険労務士として、顧問先企業の管理職に対し、「効果的な人事考課面談」に関し、どの様に実践指導をするのかのコツを教えるものでした。

 目標設定面談におけるコーチングフローとしてのGrow model;

T-Up, Goal, Reality, Resouce, Options. Will

の説明、管理職が事前に準備する「目標設定面談コーチング実践シート、準備シート等の説明があり、使用した教材は、我々受講生が、管理職研修をする際に利用してよいとのことでした。

 面談に関する時間配分としては、
● 事前準備のフェーズ ⇒ 8割
● 実施フェーズ ⇒ 1割
● フォローフェーズ ⇒ 1割
とのことでした。

 その他、コーチング技術、カウンセリング技術
の演習等がありましたが、以前の人財育成業務で身に付けたスキルでもあり、容易に思い出し、ロールプレイで実践できました。

 今後、顧問先の管理職研修で応用できるスキルでした。


社会保険労務士業務としての労災保険事務

2014-03-11 16:18:48 | インポート

 先日、3月6日にLCG日本人事・労務コンサルタントグループ運営のLCG実践講座が、大阪淀屋橋にある名南経営大阪支店で開催されました。
 講師は元厚生労働省事務官の高橋健社会保険労務士でした。

講演内容は、
Ⅰ 「判断に迷う具体的ケース」に学ぶ労災判断のポイントとして、
   ① 社員が会社の許可を得ず、早朝出勤し、負傷した場合には労災となるのか?
         ② 転勤に伴う引越の際に負傷したが労災となるのか?
   ③ 昼休みに郵便物を投函するためにポストに行く途中、事故にあったが労災と
     なるのか?
   ④ 訪問先に直行している途上の事故は労災か?通災か?
   ⑤ 出張中、地元有名店での食事のため移動している途中、事故にあったが労災か?
   ⑥ パートタイマーが昼休みに食事のため帰宅途上で事故に遭ったが給付は出る
                か?
         ⑦ 誤って会社最寄り駅を通過する電車に乗り、引き返す途中、事故に遭った
     が通災か?
   ⑧ アルバイトが予備校から直接出勤する途中で事故に遭ったが通災となるのか?
   ⑨ 会社が入居しているオフィスビルの玄関口で負傷したが、通災となるのか?
   ⑩ 単身赴任者がマイカーで帰省途中に事故に遭ったが通災となるのか?
   ⑪ 家電販売店でエアコン販売に伴い取付工事を行った。工事施工にあたり
     有期事業の保険関係成立手続きは必要か?

という演習からスタートし、

Ⅱ 請求書記載にあたってのチェックポイント

Ⅲ 第三者行為災害について

Ⅳ 労災請求に際して
   ① 手続き面
   ② 保険給付による保険料率への悪影響
   ③ 被災労働者に対する支給制限
   ④ 事業主からの費用徴収の実際(法違反、未手続き中、保険料滞納中)
   ⑤ 特別加入~認められるケース、認められないケース~

Ⅴ 給付が長期に亘った場合、治癒となった場合、そしてアフターケアについて

Ⅵ 労働基準監督署の調査 そのステップと内容

Ⅶ 不服申立て(審査請求) 具体的な手順について

Ⅷ 質疑応答

という具合に一日かけて実習しました。
社会保険労務士としての知識を持つ我々受講者にとっても大変参考になる講座でした。


目白押しの年金改革

2014-03-09 12:44:21 | インポート

 年金改革が本格化してきます。

 昨年10月に始まった年金額の特例水準の解消、平成25年10月に1.0%の給付水準の引き下げに続き、今年4月には、0.7%(特例水準額1.0%と名目手取り賃金変動率▲0.3%の和)のさらなる引き下げ、来年、平成27年4月に0.5%の給付水準の引き下げが行われ、年金額が特例水準を解消して、本来額に戻ります。

 また、現在、年金確保支援法で、平成24年10月1日~平成27年9月30日までの時限措置として、国民年金の保険料の納付期限2年を経過して納付できなくなった過去の未納分を、10年前まで遡って納付することができる制度があります。
一定の条件に適合する被保険者が利用できます。

 今年4月1日より、年金機能強化法により、所在不明高年齢者にかかる届け出の義務化が行われます。現在は、年金受給者が所在不明となった場合に、親族にその旨の届出を行う規定がありませんでしたが、改正後は、その受給権者が属する世帯の世帯員は、所在不明である旨の届出が義務化されます。
 届出後、年金事務所で生存の事実確認を行い、確認できない場合は、年金支給が一時差し止められます。

 また、年金機能強化法により、遺族基礎年金の男女差が解消されます。
現在は、国民年金に加入していた配偶者が無くなった場合、子のある妻又は子に遺族基礎年金が支給されます。
 今後は、施行日(平成26年4月1日)以降に、配偶者(妻)が無くなった時、子のある夫にも遺族基礎年金が支給されます。
 また、現在夫に支給される遺族厚生年金は60歳になるまでは支給が停止されます(若年停止)が、改正後は、遺族基礎年金の受給権がある場合には、55歳から60歳までの間の支給停止は行われません。

 未支給の年金の請求権者の範囲が年金機能強化法により拡大されます。
現在は、受給権者が死亡した時、未支給年金の請求ができる親族の範囲が、死亡した受給権者の配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹でその者の死亡の当時その者と生計を同じくしていた者とされていますが、改正後は、死亡した受給権者の配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹、またはこれらの者以外の3親等以内の親族であって、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていた者に拡大されました。但し、施行日(平成26年4月1日)以降の死亡が対象です。

 年金機能強化法により繰下げ支給の取扱いの見直しが行われました。
改正後は、70歳に達した日に繰下げの申請があったものとみなし、70歳に達した日の翌月分から増額された年金が支給されます。
 とかく老人は物忘れがしやすく、70歳まで繰り下げて申請を待ち、70歳から増額した年金を受け取ろうと考え、申請を待ってはいたものの、70歳を過ぎても、申請を失念していた人が救済されます。

 年金機能強化法により、国民年金任意加入者の未納期間が合算対象機関に算入されます。これで、受給要件を満たせる人が出てきます。昭和36年4月1日~昭和61年3月31日までは、サラリーマンの配偶者は国民年金の任意加入期間とされていました。しかし、任意加入はしたものの、保険料の納付を失念し、未納となった期間は、従来は合算対象機関ではありませんでした。
 しかし、任意加入をしない人の当該期間は、合算対象期間とされていました。
この不公平を解消するものです。

 年金機能強化法により、平成26年4月1日以降は、従来は、障害年金の額改正請求が認められなかった時、その後1年間は再請求ができませんでした。
 今回の改正で、明らかに障害の程度が増進したことが認められる場合には、1年を待たずに再請求ができるようになります。

 年金機能強化法により、特別支給の老齢厚生年金に係る障害者特例の支給開始時期が改善されました。
 特別支給の老齢厚生年金の受給権者で、比例報酬部分だけを受けているものが、被保険者でなく、且つ、障害等級の1級から3級に該当しているときに、請求すれば障害者特例として定額部分が支給されますが、現在は、請求した月の翌月から定額部分が支給されていますが、改正後は、障害の状態にあると判断される時に遡り定額部分が支給されるようになります。

 年金機能強化法により、免除期間に係る保険料の取扱いが改善されます。
この件の詳細説明は省きます。
 また、保険料免除に係る遡及機関の見直しが行われました。

 年金機能強化法により、付加保険料の納付期限の延長が認められました。
国民年金の付加保険料については、
現在、納期限(翌月末日)までに納付しなかった場合には納付できず、納期限後に納付された付加保険料は還付されます。
 小生の妻も、納付を納付書からクレジットカードに切り替えた直後にこの条項に引っかかり、還付され、再申請を余儀なくされました。本人は、再申請をめんどくさがり、付加保険料を数カ月納めただけとなってしましました。
 しかし、改正後は、国民年金保険料と同様に過去2年分まで納付できるようになります。
 更に、国民年金の保険料を2年前納できるよう、制度が創設されました。

 これも、年金機能強化法で、産前産後休業期間中の保険料が免除されます。
従来、育児休業中はこの保険料免除の取れ扱いがされていましたが、改正後は、産休中にも適用されます。詳細説明は省きます。

 更に、今後、現在25年が必要であった受給資格期間を10年に短縮するとか、パートタイム労働者等の短時間労働者に対する厚生年金被保険者資格の取扱いの改正、被用者年金の一元化、厚生年金標準報酬月額下限を新たに設ける、納付猶予制度の対象者を30歳から50歳に引き上げる等の改正が予定されています。