日記帖

飛ぶ鳥のように、渡る風のように、流れる水のように、野に咲く花のように、煌めく星のように。

~リヤカーの野菜売り~

2024-08-08 16:46:47 | 作文する
もう50年以上前になりますが、
夏になると、
リヤカーに野菜を積んで売りに来る女性の方がいらっしゃいました。
”お暑う(おあつう)ございます、いかがでしょうか?”
といって回られていました。
結構なお年に見えたのです。

”◯◯から来るだよ”と母様は言った。

幼い子どもであった私は、その方がどれほどの距離を、そして坂のある道を
荷物を積んだリアカーを曳いてこられたかを理解することは出来なかった。

野菜を買うと、
カブトムシ、クワガタを頂いたような記憶がかすかにあります。
私は、小鳥、猫は好きなのですが、
蝶、トンボも含めて昆虫は怖いので、あまり大事にしなかったと思います。

暑い夏になると
あの野菜売りの女性の声を私は思い出すのです。

何も知らなかった私。いまでもわかっていないのかもしれない。
空に近いリヤカーを平地に近い場所を曳いて歩いたことは有っても。

---------------------------------

カルピスをコップに入れて、水で薄めて、氷をいれる。
氷が融ける音、ガラスのコップに氷があたる音がしました。

前にも書きましたが
夏になると(夏でなくても)よく体調を崩して寝ていました。
父方の田舎では、猫だけが話し相手でした。

ずっとずっと何日も寝ていると、
遠くから母様が、日帰りで私の寝ている顔を見に来ました。
当時の急行を使っても、片道で5~6時間は掛かったと思います。
寝ている私に声もかけない。ただ、居間で話している声がしました。


母様も叔母様も叔父様も、猫も、私の前にはもういない。





コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする