今日は前回の続き、実戦の次の一手です。(第3図)
第3図は▲16歩と突いたところ。先手の指し手は端攻めを示唆しています。一方私の玉形は、金銀がバラバラでなんとも不安定な形です。このまま戦いになると玉形の差がモロに出てきそうです。
第3図で私は
Δ52玉(第4図)
と指しました。決断の一手です。後手は一手損角換わりの上、さらに2手も損して玉の移動を図るわけですから、抵抗感があります。しかし、第3図で玉が左側に移動し、右金を引き寄せられれば、しっかりとした右玉陣形になります。
この手以降、私はあまり相性がよくない右玉を目指し駒組を進めていきます。いまにして思えば、R1000点を意識して、ちょっと気負いすぎていたのかもしれません(^^;)。
本譜は第4図以下、
▲15歩Δ62玉▲14歩Δ同歩▲13歩Δ同歩▲12銀(第5図)
と進行します。第5図の▲12銀こそ、先手が角銀交換を挑んだ理由です。それにしても▲46角~▲24角~▲12銀と、とても長い旅路ですが、鋭い攻めの構想で思わず感心してしまいました。
そして、第5図でΔ81飛と狙いの一手を指し、桂取りを受けます。お互いに自分の構想通りに手順を進めていきます。実戦は第5図以下、
Δ81飛▲23銀成Δ42金▲13成銀Δ同桂▲22飛成Δ52金▲13龍(第6図)
と進みます。第5図から第6図の手順はほぼ必然手の連続です。しかし、第6図になってみると、先手は角・桂香交換の上、玉形がしっかりしており優勢といえる局面です。やはり、手損がそのまま形勢に響いたといえるかもしれません。
第6図以下、先手が攻め、後手が受けるという展開が続きます。その後、先手は9筋を突破し、後手もその反動で9筋から反撃を開始します。そして迎えた第7図。
局面はすでに終盤戦を迎え、攻め合いの様相を呈しています。今、▲95桂と王手されたところ。玉の逃げ場所は6ヶ所ありますが、どこに逃げたらよいでしょう?
2段目に逃げるのは、8四香とか厳しそうで却下。
でこの三択が悩ましい。6一の銀が質駒なので、それも踏まえて考えないといけませんよね。
9三玉、8四玉だと8三飛が王手。9四かな?
先手玉は6九金からの詰めろがかかっているので、王手を外せば??
どうでしょう?
木村八段、残念でしたね。やっぱり羽生棋聖は強いです。次の王位戦頑張ってほしいですね。