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老後はフィリピンで介護生活を送れるのか---リタイアのプロのレポートから(再)

2020-10-16 15:00:41 | 日記

下はフィリピン在住20年、元フィリピン退職庁(PRA=Philippine Retirement Authority)ジャパンデスクSさんのフィリピンレポート(2014年9月23日)のコピーです。 かなり長文ですが、フィリピンでのリタイア生活や介護を「その分野のプロ」が考える、日本人の指針とも言える点が多く、分析も実に、公平・的確なので、ほぼ全文を下にコピーしました(=濃紺文字の部分)。 ぜひ御一読下さい。

 先日、フィリピンの介護施設にお父さんを入居させるので、退職ビザの世話をして欲しいとの依頼があった。 軽度の認知症だが、お母さんとの2人暮しで、子どもたちはそれぞれの生活があって一緒に住んで面倒を見ることはできない。 高齢のお母さんは介護疲れでほとんどノイローゼで、もはや我慢の限界だという。もちろん訪問介護のサービスをも受けているが、体格の良い大柄の夫を高齢の身ひとつで24時間、休みなしで世話するのは容易なことではない。

 公共の施設を当たってみたが、まだ入院させるほどの認知症とはいえないと門前払いをくらい、申し込みさえもできなかった。 特養などはどこも数百~数千人の順番待ちで問題外(待機者は全国で42万人にのぼる)。私立の施設に入れようものなら、経済的に子どもたちすべての家計が成り立たなくなってしまう。そこでたどり着いたのが、フィリピンでの介護だ。

 フィリピンでは唯一ともいえる外国人向けの介護施設を見つけ、そこに入居してもらうことになった。 1カ月だけと言って、だましだまし連れてきたそうだ。 認知症の親を日本で家族が独力で面倒を見ることは並大抵なことではなく、家庭崩壊の危機に直面せざるをえない。 その解がフィリピンにあったのだ。

フィリピンの介護施設の現状は?

 先ごろ、大学の先生がフィリピンの介護施設の現状についてヒアリングにやってきた。 私の回答は以下の通りだ。

1)フィリピンでは介護施設は成り立たない。 現にいくつもの日本人向け介護施設がつくられたものの、どれも運営が成り立っていない。 アモーレの里(下記※)のように、立派な施設をつくったにもかかわらず運営をスタートさせることさえできなかったケースもある。
  ※管理人注・・・「アモーレの里」は私も何回か調査がてら訪問したことがありますが、縫製工場で財を成したフィリピン人社長がタガイタイ高原中腹の広大な敷地に日本の公団住宅のような5~6階建て位のビルを何棟も建て、合計数百人規模の外国人(=勿論日本人も含む)向け退職者施設兼介護施設を計画し、社長の息子の日本人奥さんが宣伝・入居者募集活動をしたのですが、4~5百万円という入居一時金(=生涯利用権で死亡又は解約の場合でも一切戻らない)の高さもあって、結局入居者が全く集まらず、結果、7~8割以上は出来上がっていた建物の完成を待たず開業を断念)

2)フィリピンには介護ビジネスの市場はなく、身寄りのない高齢者を収容する公的な施設があるものの、とても日本人が入居できるような代物ではない。 ローカルの需要がないのだから、日本から要介護者が大挙してやってこないかぎり、介護施設をつくっても運営していくことができない。

3)介護老人を抱えてどんなに惨憺たる状況になったとしても、自分の親をフィリピンに送り出すという発想を持つことができる家庭はめったにない。 自分自身がフィリピンで暮らそうと決意することさえも、よほどの勇気と努力が必要なのだ。

4)今までつくられてきた日本人向けの介護施設は、大きな投資をともなうだけに意外と高額(下記※)
   ※管理人注・・・上記「アモーレの里」と同じタガイタイ高原中腹に「オーキッド・ヒルズ・クラブ」というゴルフ場の中にコテージや中層ビルを何棟も建てたような施設もありましたが、ここはバブル期に大儲けした日本人事業家が何十ヘクタールもの広大な土地を将来、大学の敷地として転売する目的で買い、従って、その施設も大学の団体研修等大口の利用に注力していた為、リタイアでの入居者は数人のみで、結局廃業。 ただここの場合、入居一時金が300万~700万円と極めて高額だったのも入居者募集難の原因。
「ローズ・プリンセス・ホーム」=ラグナ州カブヤオ市=マニラ首都圏とタガイタイ高原の中間位。 NHKや民放のテレビ番組でも何度も取材・放映され一時結構有名になったのですが、日本人社長と入居者達のトラブル続出で社長が失踪、フィリピン人が経営を引き継いでからは日本人スタッフも無く、今は日本人入居者も皆無。 ここも入居一時金は生涯利用権で300~500万円と高く、死亡又は解約の場合でも一切戻らない。


不動産投資(部屋への入居権の購入)とセットになっているので数百万円の初期費用が必要で、日本の特養並みというわけにはいかなかった。 そのうえ国の補助も介護保険も利かないから大きなメリットを見出すことができなかった。

5)現在、フィリピンで唯一の介護施設とされるWellness Place (ケソン・シティ)は借家と住み込みの介護学生などを利用してグループホーム的に運営して、比較的安価な価格でサービスを提供している(介護の程度により月額5~8万ペソ。日本円で月額12~19万円)。 ここは外国人や海外在住のフィリピン人の親などを収容している希少な施設だ。

 Wellness Placeは一般住宅を借り上げて介護施設にしているので、高級住宅街に住んでいる気分で違和感がない。 それに要介護の老人だけが入居しているわけではなく、一軒に3~4人お年よりが介護士に世話されて暮らしているという、いかにも普通の生活がここにはある。ビレッジ内には老人医療を専門とする医師であり運営者のDr. Delizoが住んでいるので医療的にも安心だ。

なぜ介護ビジネスが成り立たないのか
それではなぜ、フィリピンでは介護ビジネスが成りたたないのか。

1)フィリピン人は、年老いた親を家族の宝として大事に扱い、自分の親を介護施設に送りだすなどという発想はない。それに大家族なので人手はいくらでもあり、年老いた配偶者がひとりで面倒を見なければならないというような状況はありえない。

2)仕事や子育てなどで、家族が介護が必要な親の面倒を見ることができないとしても、住む場所と食事を提供し、ちょっとした小遣いをやれば人手はいくらでも集まる。 メイドやヤヤ(子守)を雇うとしても月額数千~1万円で済むから、人手不足の問題はない。 ここでは人口が多くて貧しいということが逆にメリットになっている。

3)認知症になったとしても、これは単にボケであって、年を取って赤子に帰るごく自然の現象ととらえ、病気だとは思わない。 老人も長年親しんだ家族と住み慣れた住居で暮らすから、凶暴化したりしない。

4)フィリピンには「神の意志に任せる」という都合の良い言葉があって、延命措置を行なって老人をむやみに長生きさせるようなことはしない、あるいは経済的にできない。 フィリピンにも健康保険はあるものの微々たるもので、無益な延命のための費用を国が担って社会資源を無駄使いするようなシステムはない。

5)フィリピンに居住する日本人は、フィリピンの家族あるいは友人に囲まれて、自分が将来介護施設に入る、あるいは入らなければならないという発想がなくなる。その気になれば介護士を雇って自前で介護施設並みの状況がつくれるのだ。

6)近い将来介護が必要になるであろうという前提で70ないし80代のお年寄りの日本人がフィリピンにやってくることある。そのほとんどが、息子の配偶者がフィリピン人で、若い嫁に孫の面倒と自分たちの介護を同時にやってもらおうという心積もりだ。息子だけが生活の糧を稼ぐために日本に残ることもあるが、高齢者には日本の年金があり、生活費も日本の数分の一で済むので、妻の実家の人々との幸せな日々を過ごすことができる。そこに介護施設が入り込む余地はない。

フィリピンは介護天国

 それでは、日本人にとってフィリピンで介護という構図は成り立たないのだろうか。私は逆にフィリピンは介護天国だと思う。なぜなら、介護施設がないということがそれを物語っているからだ。

 介護施設がいらないということは、家庭内で子育て、教育、仕事、そして老後の生活がうまく循環しているのだ。その循環を我々外国人がエンジョイするためにはどうしたらよいのだろうか。

1)定年を迎え、日本で老後を一緒に過ごす家族がいない、経済的にも不安がある、そんな方は元気なうちにフィリピンで暮らしてみよう。その場合、英語は必須なのでまずは英会話学校などに通ってひと踏ん張りしよう。

2)積極的にフィリピン人と交わり、フィリピンの家族というものをつくろう。友人、メイド、介護士あるいは彼女(彼氏)や妻(夫)など、いずれはあなたの面倒を見てくれる人たちだが、家族というからには自分の財産のすべてを注ぎ込むくらいの覚悟が必要だ。それと日本の文化や慣習にこだわらず、フィリピン流のものの考えかたを身につけることが必須だ。

3)孤独に暮らしてフィリピン人との交わりを絶つような生活を続けていたのでは、自立できなくなったら日本に帰って介護施設で面倒を見てもらうしかない。なにしろフィリピンには介護施設という文化はないのだから。でもそのとき、日本が外国帰りの厄介者を受け入れてくれるか、あるいは受け入れの余地があるかどうかは保証の限りではない。

4)家族と呼べる関係を構築できなくても、メイドや介護士を雇って自前の介護施設をつくればよい。お金の管理が難しいが、誰か信頼できる後見人を指定することだ。介護施設そのものよりもそんなサービスが退職ビジネスとして期待されるところだ。

日本人高齢者の暮らしをサポートするビジネスを
 介護ビジネスは成り立たないとしても、日本人の安心した暮らしをサポートするビジネスは必要だと思う。単にビザや不動産の世話をするだけはなく、上記の後見人のような役割も担えるような組織あるいは団体だ。月々10万円程度(昨今の円安で金額は流動的ではあるが)で最低限の生活ができるような仕組みを提供し、サポートする。それには下記のようなサービスが必要だろう。


1)月々2~3万円程度で住める賃貸住宅の提供、あるいはアレンジ。自前で建設するのはリスクが大きいから、マニラ郊外や地方都市で既存の賃貸物件を押さえておいて、必要なときに契約から入居まで面倒をみる。日本人だけをまとまったところに入居させる必要はない。安全さえ確認できれば、フィリピン人の中に混ざったほうがフィリピン暮らしをエンジョイできるので好ましい。

2)買い物場所の案内、メイドや介護士の紹介、医療、子どもの学校、英会話学校、ボランティア、仕事、インターネット接続、ケーブルTV などなどのアレンジ、その他もろもろのニーズに対応できるような各種アレンジを行なう。 幸い人件費が安いので、フィリピン人を雇用して個別のニーズに対応させたとしても大きな負担にならないだろう。 これらは、あくまでも不慣れな日本人が自活するために必要なサポートだ。

3)すでに介護が必要だとしたら、住まいと介護士あるいはヘルパーをアレンジするだけでは少々心もとない。そのために里子のような、フィリピン人家庭に介護老人を預けるシステムを構築したらどうか。 その場合、お金の管理などの後見人としての役割を果たす必要がある。 上述した、Wellness Placeも選択肢の一つだろう。

4)人はいずれは死ぬのだから、そのための準備も周到に行なっておかなければならない。 ビザのキャンセルと預託金の回収、入院費や埋葬費の確保(退職ビザのスマイルプログラムはこのあたりの対処がしてある)、死後の財産の処置、相続、埋葬の手配などなど、事前の契約が必要だ。


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