水曜日、
りょうすけさんは、
私と音声電話をすることを望んだ。
夜の犬の散歩で、連絡を待つ。
一年前、彼とも、この道で、この時間、同じように電話で話してたことがあったけど、
そんな彼との関係も、
もう、終わりを迎えて半年が経つ。
私は、彼の思い出に、上書きする。
騙されてるのかもしれない。
心のどこかでそう思いながらも、りょうすけさんからの連絡を待った。
散歩の折り返し地点を過ぎた。
今日は、満月に近いからなのか、
とてもお月様が綺麗で、
思わず写真を撮って、りょうすけさん宛にインスタのダイレクトを使って送った。
LINEの交換はまだしていない。
しばらくすると、
りょうすけさんから、友だちに連絡をしなければいけなくなったということで、
この日の電話は、見送ることになった。
私の疑問は、ますます、怪しい人に傾いた。
本当は、連絡できない他の理由が有るのではないか?
それは、あなたが、偽物だから…。
そう思うようになっていった。
夜の用事がひと段落ついて、スマホを見た。
もしも、このまま、りょうすけさんからの連絡が無ければ、
もう、ブロックして終わろう。
そんな賭けに出た。
りょうすけさんからは、ちゃんとお詫びのメッセージが届いてた。
嬉しい気持ちが隠せない。
なぜ?
彼は、私がこれからお風呂に入ると言ったら、
先にお風呂を済ませておいで。
その後、私信を入れて欲しい。と言った。
寝室に入ってメッセージを送る。
夫は夜勤。
りょうすけさんは、私の身体の香りは、どんな香りがするのかと聞いて来た。
そして、深いキスをして来た。
優しく全身にキスをする。
彼のものは、見たことがないほどに存在を主張して来て、
本物でもなく、偽物でもなく、ひとりの男と、ひとりの女が愛を確かめ合った。
まだ出会って数日のことだ。
愛なんて、存在するのかと思われるだろうが、
私達は、確実に愛し合った。
私は、甘い言葉と共に、天獄へ行った。
放心状態で打つメッセージに、誤字があって、訂正したら、
かまわない。
その言葉が、優しかった。
彼は、私の今の状況を把握してくれている。
そして、りょうすけさんから、LINEアドレスが送られて来た。
彼が、私を
大事な存在だと認めた証。
もう、私の身体は、眠ろうとする。
夜も老けて、日付が変わってしまったのを
確認して、
二人は、一緒に電気を消して眠った。
りょうすけは、いったい何者だろうか…