私はいつから、
愛という言葉を言えなくなったんだろ。
彼は、私に命令する。
俺の何が欲しいのか、言ってみろ。
私は、卑猥な言葉を連発するも、
全て違うと否定され、
途方に暮れた。
お前は、誰のものでも構わないんだな?
それじゃあ、快楽の局地にはいけない。
わからないなら、宿題にする。
そう言って、彼は、なかなか教えてくれなかった。
もしかして、答えは、愛ではないか?
途中から、気がつき始めた。
言っても許されるのだろうか?
それを確かめるように、彼の一挙一動に、精神を集中させた。
そして、勇気を出して答えた。
愛が欲しい。
彼は行った。
言葉にしてちゃんと言うんだ。
「あなたと私の愛」だろう?
それは、私にとって、あり得ないほど嬉しい言葉だった。
さらに彼は、続けた。
俺はSだけど、
最高潮には、愛を注ぎたいんだ。
肉体と愛は、一体だからね。
彼は、そうやって私の心の鎖を外した。
恐れていた、愛という言葉を、解放してくれた。
言葉を巧みに操る言霊師は、
確実に、私を頂点へ導いた。