逢魔刻 2005年05月13日 21時55分08秒 | 短歌 ・夕暮れの蝙蝠たちが飛び交いて家路を急ぐ子らをからかう ・かくれんぼ鬼はどこまで行つたやら戻らぬ鬼のかばんがひとつ ・公園の隅にぽつんとたたずみし少女の手首巻かれた包帯
記憶の残像 2005年05月12日 01時13分53秒 | 短歌 ・幻灯の朧げなる色懐かしく障子に映る記憶の残像 ・母を呼び続けるきみを連れ帰るあのひとはもう母さんじゃない ・新しきスーツを着たるきみの顔すこしおとなになつた気がする ・長きこと連絡絶へしあのひとの消息を知るワイドショーかな
レフトアローン 2005年05月08日 22時35分53秒 | 短歌 ・安らかに寝ている姿確かめて再び戻る修羅の地へと ・硝煙がいまだ漂ふ街に立つ記憶の中のひとを探して ・いくつもの闇をくぐりし冬の月かすかに聞こゆ彼方の汽笛 ・硝煙の燻る中に我独り復讐劇の幕は引かれぬ
酔情一献 2005年05月02日 20時20分23秒 | 短歌 ・今晩はひさしぶりだねどうしてた馴染みの店の懐かしき顔 ・夢破れ惰性の日々に流されてこんなはずじやあなかつたはずだろ ・常連となりて久しき居酒屋の変わらぬ味と笑顔かな ・給食の思ひ出話盛り上がり世代の違ひを再認識 ・雪見酒和気あいあいと酌しつつ古き友あり新しき友あり
秘密の鍵 2005年05月01日 21時35分26秒 | 短歌 ・理科室の薬品棚に隠された秘密の鍵を覚えているかい ・隙間からこぼれる光幾筋も舞い立つ埃きらめかせをり ・ほろ苦いふたりの秘密いつまでも夏の陽射しと麦わら帽子 ・月光の曲に送られ友が逝く赤い表紙の日記が形見