なさん

「なさん」の日常です。「えさん」「こゆ」「かの」は、なさんの家族です。

20周年 エピソード・ワン ハイビジョン その2

2009-04-10 01:30:06 | お仕事

まんまと希望通り、『ハイビジョン用CCD開発』の仕事についた なさん の奮闘???が始まります


開発は、200万(2M)画素(1920H×1035V)2ch & 1ch、130万(1.3M)画素(約1300H×1035V)2ch & 1ch 、4品種同時進行です


NTSC(普通のテレビ)用(40万弱画素)CCDに比べて最も難しい問題は駆動周波数の高さ。一番遅い 1.3M 2ch で約25MHz、一番速い 2M 1ch で約75MHz


ちなみに NTSC が約14MHz、2009年現在のデジカメ用CCDでも約40MHzです
更に、1989年当時、最新CPU 486は30MHz程度。メインメモリDRAMは、シンクロナス(基準同期駆動パルス有り)にすらなっていない時代です
だから、最大約75MHzという周波数は、メチャメチャ速くて、シリコンMOSの世界では、たぶん最速デバイスであったと思います


もう一つの難しい問題は、2ch(チャンネル)分割。これは駆動周波数を低くするための工夫ですが、ch間のゲイン差調整が難しく、現在でも極少数のCCDでしか実現(商品化)されていません


とはいえ、そこはCCD。初回サンプルから『動作します』
CCDのとてもありがたい特長です。致命的な配線ショートとかが無ければ『とりあえず動き、絵だしができます』
CCDの難しさは、『絵だしできた』あと『カメラとして堪えられる画像にまで開発期間内に改善させること』です


なさん の仕事は、カメラ・ボードによるCCD評価です
完成したチップをカメラ・ボードに取り付けて、絵だしをして、動作電圧や、駆動タイミングを微妙に変えたり、大きく変えたりしながら、そのチップの特性を引き出し、問題点を見極め、改善方法を考えます


最初にとても難しいCCDを評価したことは幸運でした
『動作する』と言っても、まともな絵は出ません!!
絵だしにこぎ着けるまで、カメラ・ボードを作ってくださって、駆動変更に対応してくださる回路技術の先輩のところに毎日通います
『絵がそこそこ出る』ようになったら、製品の不具合を全部ひどくしたような現象やら、特有の現象がいっぱい出てきます。とにかく、開発部の先輩や、研究所の先輩に聞いてまわります


新人の仕事はフットワークに尽きます!


そして、なんとか形になってきたころには、たくさんの人のつながりができて、経験値も少々上がります

とかいいつつ、なさん、今も昔もおんなしで、フットワークは軽快ですが、見た目程、器用じゃないのです
特に、電気・機械系の作業って苦手です。とにかく下手なのです!

昔っから、途中で見かねて、『な は、もう触らなくていいから!』って、誰かが助けてくれちゃいます


ありがたやーーーありがたやーーーでございます


一年後、なんとか展示会用のカメラができあがり、新聞発表にこぎつけました
なさん は、測ってただけで、開発してたなんて言えませんけどね


1990hdtvcameranews


130万(1.3M)画素(約1300H×1035V)1ch 駆動周波数 約50MHz 3CCD, 1/2ピッチ画像ズラシ方式です


お値段はレンズ付きで約5000万円。CCDは3枚で約500万円です。一番高い部品はレンズで、約1500万円です


開発なんてなんもしてない なさん ですが、『自分が直接関わった物が、商品として世の中に出ること』これは感動しましたねー


※1/2ピッチ画素ズラシ方式によって解像度を上げる技術は、現在、民生品でも「クリアビッドCMOSセンサー」「スーパーCCDハニカム」などで使われています


199102skikan

T師匠(右)の指導で、スキーに目覚めた なさん
さすがに時代感じるねー これ!


たぶん神鍋(兵庫)。関西の雪ってメチャメチャ重い!
オンシーズンでもゲレンデのくぼみが『水たまり』になってたりする不思議ワールドです!

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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
難しい用語が並んでて、到底理解はできないaraです... (ara)
2009-04-10 09:03:20
難しい用語が並んでて、到底理解はできないaraですが、
やっぱり、「形」になる仕事ってすばらしい。エンジニアってかっこいー。

araは技術者じゃないけれど、でも、結果のある仕事、いや仕事で結果を出すこと・・・したい。
>araさん  (な)
2009-04-11 02:22:55
>araさん 

マニアックなネタ読んでくれてありがとう!

>エンジニアってかっこいー

『理科離れ』って昨今ですけど、理科(特に物理)と数学が、な は、好きですね
これは、計算するとかじゃなくて、『論理的に物事を考える』ということなんだよね

とはいえ、物余りの時代に、大量におもちゃを生産して流し続ける事に後ろめたさもいっぱいあります

な は、ちゃんと考えて作る。できた物からはできるだけ、しっかりデータをとって、無駄にしない、次にきっちり繋げるというエコを心がけて研究してます

あとねー、若い頃、世の中に自分の関係した製品が出ることってとてもうれしかったですが、今は、微妙に違いますね。うれしいけど、きっちりやれた仕事じゃないときは、うしろめたいよね。重要なんは、自分が満足できてるか?自分の物差しで測ることだと思ってます

あ じじくさいね
懐かしいこと書いてますね~ (大阪のオヤジ)
2009-04-11 08:38:58
懐かしいこと書いてますね~

まだまだ放送用は、CCDが主流ですが
今後の高速性を考えるとMOS系が主流に
なるかもしれませんね。

                   b
>大阪のオヤジ さん ごぶさたです (な)
2009-04-11 20:19:22
>大阪のオヤジ さん ごぶさたです

ボンと呼ばれた な が20周年
大阪のオヤジ さんは、2X周年っすよね

>開発部の先輩や・・・聞いてまわります

↑の先輩のメインのひとりが大阪のオヤジ様でございます。ほんとにお世話になりました。ありがとうございます

さてさて、

>今後の高速性を考えるとMOS系が主流に
なるかもしれませんね

↑これはねー、な 世代の少し前、大阪のオヤジ様世代やその上の世代の方々が成し遂げた、撮像管からCCDへのシフトとは全然別の次元で、目くそ鼻くそと な は思っております
『PDP vs 液晶』と比べても目くそ鼻くそと な は思っております
(再三の汚い表現失礼しました。ごめんなさい)

CCDとMOSセンサは、両方ともシリコンMOSデバイスで、ぶっちゃけ、どっちでもいーやんってのが、な の正直な気持ちです

とはいえ、な の会社で、両方できるか?は別問題で、な 自身の職業生活・現実生活には大きな影響を与えることはたしかなんですけどね

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