テレビでやっていた映画、
『ネバー・サレンダー 肉弾凶器』を見ました。
結果的にはもっとも正しい行動をした軍人が、
それまでの過程で命令違反を起こし、首になります。
そのあと警備員になりますが、これは暴力事件を起こして
首になります。
そこで気分転換にと夫婦で車ででかけたところ
途中で悪者達の騒動に巻き込まれ、妻がさらわれます。
主役の元軍人は、それを追いかけます。
ひたすらおいかけて悪者を殺していき、
最後は皆殺しにして、妻を助けました。
……というお話です。
これは恐ろしく行き当たりばったりで、
見終わったあと思わず空虚な笑いがこぼれました。
まず、この映画の筋は、『偶然さらわれた妻を取り戻す』だけ。
なのに、さらわれるまでに無駄なシーンが多くて
想像している筋を混乱させます。
軍や警備員の時の失敗がらみでさらわれるのかと思いきや、
さらわれるのは本当に意味の無い偶然なのです。
それに、普通の映画であれば、
追いかけて取り戻すという一本の筋に対し、
それを補強する追加の意味合いが与えられるものです。
たとえば、軍を理不尽にやめさせられた主役が、
追いかけて取り戻すことで軍に戻る、
または夫婦仲が悪く、離婚寸前だった二人が、
追いかけて取り戻すことで愛を再建する、といった具合です。
でも、この映画にはそれがありません。
軍をやめた主役は、軍をやめたままだし、
元から愛し合っていた二人は、愛し合ったままです。
この騒動の後でも、主役は無職のままであり、
なにも変わりはしません。
まったく意味の無いことなのです。
それは悪者も同じで、常にいきあたりばったりで行動します。
そのため、主役が計画をつかみ、
ぎりぎりで阻止するといったことも起こりません。
ただ真後ろを追いかけていくだけです。
これでは、悪者にも、主役にも、感情移入ができず、
映画にも入り込めません。はらはらもしません。
画像としては、とりあえずおいかけていくと、
何かが爆発し、主役がそこから飛び出すというシーンが
三回出てきます。
この映画を作った人はその構図がすごく好きで
それをやりたかったのでしょう。
もしかしたらこの映画はそのシーンをやるためだけに
作られたんじゃないかと思わせるほど、
他にはなにもありません。
見終わったあとで、むなしくなる映画でした。