トリックスターをやっていて、
アメリカに留学している人とフレンドになりました。
わたしは外国には行ったことがないので、
日本から外国へ行って感じた違いなどを訊ねていたら、
食べ物の話になりました。
なんでも、お米はそう売っているものではなく、
売っていてもごはんとしてレンジでチンする簡単パック的なもので、
必然、値段が高くなってしまうのだとか。
そこで日本食として、安くて簡単に食べられるうどんを
一週間に一度は食べているそうです。
なにで食べているのかと思ったら、oiガーツオー2U。
めんつゆは普通に売られているらしいです。
日本に帰ったらごはんが食べたいとのことで、
ごはんに生たまごを混ぜてめんつゆ! なんて話になり、
いっそアメリカでもうどんに生たまごを、と言ったら
アメリカでは生たまごを食べないと言われました。
Really? わたしの愛するたまごを?
わたしはうどんを食べるときは生たまごを溶いて
めんつゆを混ぜてつけだれにして食べるというのに。
たまご生で食べざるに、いかにして食べんとす、です。
そこでwikiを見て、と勧められて読んだところ、
日本のたまごは、ほぼすべて生で食べられるように
殻ごと殺菌消毒して流通させているようですね。
もともと生食を考慮されているので、消費期限も早いのだとか。
一方、アメリカなどでは生食を考えておらず、
加熱して食べること前提なので消費期限が長く、
特に殺菌もせず流通しているようです。
そこから発生する感覚として、
・日本人にとっての生たまご→おいしそう
・アメリカ人にとっての生たまご→あぶなそう
というふうになるみたいです。
アメリカあたりの人が、
生たまご(完全に加熱処理しきっていないたまご)を
食べている人を見るとどう思うかといえば、
たとえば、消費期限が2日の生牡蠣を、
5日後に食べている人を見るように、
『だいじょうぶなのか、おい』という感じになるでしょうか。
これはもう、魂の根底に刻み込まれたものなので、
多分どうしようもありません。
日本のレストランがアメリカに進出するとしても、
その壁は乗り越えられません。
たとえば日本のファミリーレストランがアメリカに進出して、
安全なたまごを使って『日本で大人気の月見うどん!』なんて
メニューを出したとしても、現物を見たアメリカ人は思うわけです。
『こいつは食中毒のロシアンルーレットや!』
同じく、ミディアム焼きハンバーグの上に
チーズと半熟たまご焼きを載せたものも、
『半生ミンチと半生たまごで食中毒確率二倍にばーい!』と。
だから、たとえば日本で立ち食いそばを食べている人が、
生たまごをどんぶりの中に落とすのを
外人が見て顔をしかめていたら、
それはそばアレルギーを心配していたり、
そばを音を立てて食べるマナーにとまどったりしているのではなく、
生たまごを食べることが信じられずに心で『まいがっ!』と
叫んでいるのだろうと理解するのがよさそうです。
さて、それはさておき。
いまこうして書いているときに、
そういえば映画『ロッキー』か何かで生たまごを
一気飲みしてるのがなかったっけ? と思い出して調べてみました。
確かにロッキーで、アメリカ映画でした。
アメリカ人にとっても、そんなの普通のシーンだろうと
思っていたのですが、どうやら違うようです。
わたしたち日本人にとっては、ロッキーがガラスのジョッキに
生たまごをたくさん入れて飲み干すシーンは、
『ああ、栄養をつけたいんだろうなあ』で済みますが、
あれはアメリカ人にとっては、
『うわ、あんなもん飲んでやがる。気持ち悪りい!』と
嫌悪感を催すものだったようです。
たとえるなら、トイレで下痢をしたあと手を洗わずに台所に行き、
その手でヨーグルトを取り出し、こねてから一気飲みするのを
見るような感じと言ってもいいかもしれません。
いわゆる、生理的嫌悪感ですね。
さて、もう一つ。
そういえば、ビールとスパイス、トマトジュースと生たまごで
二日酔いの栄養補給やバーテンダーの朝食に。
というカクテルがあったのを思い出しました。
調べてみたら『レッド・アイ』というカクテルで、
こちらもアメリカ産でした。
これ、どう考えてもたまごを生で使っていますが、
そこらへんはどういう感覚なのでしょうか。
バーテンダーは生たまごへの生理的嫌悪感がないのでしょうか。
それともそこらののんべえのように、
「んなもん、体の中でアルコールで消毒よぉ!」
とか、のんべえ科学で解決しているのでしょうか。
所変われば心も変わる。生たまごにも、世界があります。