ちょっと前からLEDについて考えはじめたら、
電気回路というものがまったくわからなくなってきました。
前回は『回路は因果が逆転しているように見える異常性がある』という
概念まで行き着きましたが、その後も もやもや考え続けていたら、
その違和感をようやく具体的な言葉にまとめられました。
どうも電気回路の異常性は、抵抗器の役割が大きいようです。
まず、LEDを発光させるもっとも単純な回路図を提示します。
電源は3Vで、抵抗器は100Ωです。
◆◆画像16-07-02◆◆

さて。抵抗器を通った後のVとAはいくつになるでしょうか?
と訊くと、おそらく答えは『多重解のため書けない』とかに
なるはずです。
計算上では、3V電源の回路に100Ωの抵抗を入れたら、
その先にLED(定格2V、10mA)をつけても動くはずです。
R=(3V-2V)÷0.010A
R=100Ω
その一方で、計算上では、この同じ回路のLEDを置き換えて、
LED(定格1.5V、15mA)をつけても動くはずです。
R=(3V-1.5V)÷0.015A
R=100Ω
……でも、なぜ?
回路には一定の電流が流れていて、抵抗器はそれに抵抗をかけ、
その後の電圧と電流を決定しているのではない……のでしょうか。
なぜ抵抗器のあとで2V・10mAが出ている回路に別のLEDをつなぐと
1.5V・15mAが出るようになるのでしょうか?
これがものすごく気持ち悪いです。
抵抗器を入れた回路は2V・10mAが出る可能性も
1.5V・15mAが出る可能性も同時に内包していて、
それを決定するのは観測したとき、なのでしょうか?
とすると、あたかも回路に入れられたLED自体が意思を持って
抵抗や電源に正しい電圧と電流を求めているように見えます。
LEDに対して、2V・10mAを与えるか、1.5V・15mAを与えるかは
誰が決めているのでしょうか?
LED自身が決めているのでしょうか?
それとも抵抗器が決めているのでしょうか?
なぜ抵抗器を通って変更されたはずの電圧・電流が、
その先につけるものによってさらに変わってしまうのでしょうか?
抵抗器って本当はなんなのでしょうか。
何をやる部品なのでしょうか。
電圧や電流を判断させて調整させる部品なんてどこにも入れてないのに、
どこかで何かによる判断が始まって正しい電圧・電流が発生するなんて、
意味がわからなくてくらくらします。
電気も回路も考え出すとものすごく気持ち悪いです。
(1) LEDの電圧・電流特性
抵抗器は、かけた電圧に比例して電流が流れます。
一方、LEDは、以下の資料に説明がありますが、「ある電圧」まではほとんど電流が流れず、
「ある電圧」から急激に電流が流れ出します。
http://www.natural-science.or.jp/article/20100927221422.php
言い換えると、LEDの両端の電圧は、ほぼ一定になる特性があります。
(2) 直列回路における電圧分配の考え方
難しい言い方をすると、「キルヒホッフの第二法則」という話ですが、簡単に言えば、この回路においては、抵抗にかかる電圧(正確には電圧差)とLEDにかかる電圧差の和は、電池の電圧に一致します。
ですので、定格2VのLEDに、直列に抵抗器を接続すれば、抵抗器の電圧差は3-2=1Vになります。
定格1.5VのLEDならば、3-1.5=1.5Vとなります。
ここでは、抵抗の電池側の電圧ではなくて、抵抗両端の電圧差の話をしていますので、ご注意ください。
(3) 直列回路における電流の考え方
これは「キルヒホッフの第一法則」なのですが、簡単に言えば、直列回路では、どの部品に流れる電流も同じということです。
ですので、抵抗器の電圧差が決まれば、流したい電流(=LEDの定格電流)になるように抵抗器を選んであげればよいということです。
上記(2)(3)が理解できると、この回路において、抵抗器とLEDの配置を逆にしても、まったく同じく機能することも理解できると思います。(LEDを電池のプラス側に配置するという意味)
ここで説明しました(2)(3)は、電気固有の話ではなくて、水流でも全く同じ現象が起きますので、置き換えて考えてみてください。
問題を解くためには、一部分(抵抗器)の現象だけでは解けませんが、全体を見れば、一意に解くことができます。
部品(LED)が電流を決め、回路全体がその電流に合わせるので、
抵抗器はその電流に対応する電圧変化を起こさせているだけ、
という感じでしょうか。
もしかしたら電子回路一つ一つに神様が宿り、
『神の見えざる手』みたいなものを発動させているのかとも考えて
もやもやしていたのですっきりしました。
ありがとうございます。