ふと見ると、食卓に見たことのない海苔の缶が
置いてありました。
お歳暮にでももらったのかなあと缶を眺めながら
ごはんを食べていたら、缶の頭がくすんでいるのに気付きます。
このくすみ具合は半年とか一年とか、
そんな甘いものではありません。
というところで裏を見たら、賞味期限が2000年の10月。
丸々9年前の品です。
……十年前の、のりが、今!
これが出ているということは――台所の整理をしていて
発掘したという感じでしょうか。
こんなものを放っておいてまた歴史の闇にまぎれてはたまりません。
とりあえず封印をやぶってみると、
消石灰の湿気取りはまださらさらのまま。
小分けになっている海苔を一袋ちぎって中身を食べてみましたが
普通に海苔の味がします。
そこで驚いたのですが、この海苔、
プレパラートの上に載せるカバーガラスみたいにぱりぱりで、
曲げるとぱきんと折れるのです。
さらには味海苔と同じ見た目をしているのに、
味の無いただの海苔です。
わたしにとって海苔とはあの大きな一枚のもので、
昔はなんとなく変なものが食べたくなった時に
おおきなのを取り出してぱりぱり食べていた印象です。
それが、こんな小さい海苔。
ごはんに載せて食べるには味が無いし、
おにぎりに使って食べるには小さすぎます。
普通の人は、ちいさいただの海苔は
いったいどうやって食べているのか不思議です。
いろいろ悩んだ結果、納豆巻きなら普通の海苔で
食べられそうということに思い至ったので
ごはんに納豆を載せて、それを包んで食べてみました。
今回、海苔はまさに保存食品だった……とわかりましたが、
どうせならどんなものでも
賞味期限がすぎないうちに食べたいです。