ふと、台所に近づいたとき、
なんだかそちらのほうからがさがさと変な音が聞こえます。
なんだろ、と思って電気をつけると、
黒い塊と、しっぽの残像が暗いほうに向かいます。
——ねずみ!
おそろしさに飛びのいて、電気を消して扉を閉めます。
台所の窓を開けて、どうにか追い出すべきでしょうか?
でも今なら窓を開けたら、虫のほうが入ってくるかもしれません。
どうしようか悩んだのちに、また台所に行って電気をつけたら、
またがさっと走っていくかげ。
手前のパンは袋が破られてかじられています。
虫とは違い、すごいパワーです。
ひとつだけしっかり全部食べて帰るならともかく、
適当に、袋に入ったものまで食い散らかしていく……。
米蔵に昔の人がねずみ返しをつけた気持ちが
言葉じゃなく心でっ! 理解できた!
暗くするとまた我が物顔で出てくるかもしれないので、
とりあえず電気をつけて、ドアを閉めます。
これですこしでも、人の気配を感じてよけいなことを
しなくなってほしいと思います。
それから考えて、ネットを調べ。
スマートフォンで鳴るねずみ嫌がらせ音というのが
あるらしいので、鳴らしながら台所においてみて。
いやな一夜をすごしました。
とても憂鬱です。