ひとねげろ。
ある日、異様なにおいにふと目を覚ましました。
片側を向いて寝ていても不愉快な臭いだったのですが、
反対側を向くと思わず体がぎくりとこわばります。
――寝てる間に、吐いた……?
口元に手をあててみますが、特に濡れた感じはありません。
布団が濡れているかもと、手であたりをまさぐってみても
手に違和を感じることもありませんでした。
じゃあ、この臭いは?
起きてみると臭いの濃さが変わりました。
そして廊下に出てみると、そこらへんが微妙な臭いです。
そこで聞いてみたところ、拾ってきたぎんなんを
家の中でむいたせいだったとわかりました。
いちょうの葉っぱは酸性で、土に落ちると土壌も酸性化するので
土にはあまりよくないと聞いたことがあるような気がしますが、
その実が胃から戻したものと似たような臭いがするのは
胃液が酸性なのとなにか関係しているのでしょうか。
……ぎんなんの臭いは、こもると大変危険です。