連続スキャンができないと部屋の片付けが進まないので
紙送りスキャナの新しいものを買いました。
買ったのは、今となっては一機種前の、
scansnap S300です。
かつて使っていたscansnap fi-4110EOX3からの
乗り換えのような形になりました。
scansnap S300の一言感想は、『会社人のおもちゃ』です。
対象比較有りの感想となってしまいますが、
まず良い点としては、ずいぶん小さく軽くなりました。
主な原因は、紙を置くトレーです。
今まではプリンタの背面給紙トレーのように
差しっぱなし立ちっぱなしでしたが、
今回のものは折りたたんで収納できるようになっています。
実はそれが悪い点でもあります。
給紙トレーが折りたたみになったことで、
紙の幅に合わせるガイドの厚みが減軽されました。
かつては50枚載せられたはずなのに、
いまはセットしておける紙は10枚だけ。
つまり、今までは500枚の冊子をスキャンするのに
10回スキャン対象の紙を追加するだけで済みましたが、
今回のものでは50回作業が必要になるということです。
……このばかばかしさが、わかるでしょうか?
つまり、これを考えるに、新しいscansnapは
ヘビーユーズどころか、そんなことにすら
向いていないということです。
機能面から、考えられる使用状況を推測するなら、
ちょっと開いて10枚以下のものをスキャンする……
たとえばオフィスで、出先の説明会でもらった資料を
さっとスキャンしてデータ化する、
個人宅に来た年賀状などをすっとデータ化する、
そういったライトもライトな層を狙ったものでしょう。
わたしはそもそも紙送りトレーは使わないで
1枚1枚手差しでスキャンするので置ける枚数は
関係ないのですが、用紙ガイドの厚みだけは気に入りません。
ガイドの厚みが無いため、気をつけて置かなくては
ガイドから外れてしまってまっすぐスキャンされないことが
たびたびあるからです。
また、紙送りトレーの問題は他にもあります。
このscansnapの想定される使い方としては、
ぱっと開いてさっとスキャンだと思うのですが、
そのために電源は常時通電状態であることが
求められています。
でも常に電源オンでは電気代がかかってエコではないため、
使わない時は電源オフにする仕様になっていると
考えられます。
その仕様を満たすためでしょうが、
電源は用紙トレイを起こした時にオンになるのです。
個人的に、これが一番困りました。
たとえば連続スキャンしていて50ページほど読んだとします。
データは読んだ瞬間にリアルタイムで
ファイル化されるわけではなく、
読み終わったあとも処理にしばらく時間がかかります。
スキャンで手元の紙がなくなったので
次のものを取りに行こうなどとして、
うっかり電源スイッチに当たる角度まで
用紙トレイを動かしてしまうと――
電源が落ちて、処理がすべて飛ぶのです。
20枚までファイル化して、残り30枚が処理中でも、
処理を中断するかしないかの選択ボックスさえ出ず、
データはすべて一瞬で破棄されます。
思わず本体を殴りつけたくなる瞬間です。
せめて蓋の開け閉めで物理的に電源が落ちるのではなく、
ソフトで電源処理を管理してくれればよかったと思います。
また、悪い面としては、全体として機能などが
貧弱になったのがあげられます。
言ってしまえば、全体的に安っぽいです。
とにかく廉価を追求した結果行き着いた、というような
安っぽさはどうにも気になりました。
たとえば紙を押さえるパッド。
これは消耗品扱いですが、プラスティックで作った
ばね的なものに、薄い消しゴムをくっつけただけと
いうような作りをしています。
しかもそれも、紙送りのローラーも、
真ん中に一箇所だけです。
こんなのでは簡単に重送してしまいます。
これも正直、がっかりです。
コピー用紙を50枚入れても重送せず、
一枚一枚剥離してから印刷する、
プリンターの紙送り機構はすでに確立しています。
技術的には利用できないものではないのです。
たとえ本体が大きくなっても、値段をほぼ変更せずに、
中身がほぼ同じものは作れるはず。
基本的に重送はしないと確信できれば、
わたしは手ざしスキャンなんてやりません。
プリンタに年賀状印刷命令を50枚出したら
あとは放置するように、スキャンだって便利に放置します。
紙送りスキャナの一番の問題点をどうにも解決せず、
こんな安いゴム一枚に任せようとするのが
どうにも納得できませんでした。
加えて、スキャンボタンが一個になっているのも
マイナス評価です。
今までは片面スキャンボタンと両面スキャンボタンがあって
どちらかを押すことで簡単にスキャン方法を
選ぶことができました。
でも今は、ボタンが一個のため、片面だけスキャンしたいと
思えばマウスに手をのばして変更するしかありません。
よかった点は、前回の結構大きな不満だった、
エラーボックスがスキャンボタンで
消せるようになっていたことです。
今回のスキャンスナップでは本体が小さくて
どこまで入れれば原稿があると認識するのかわかりません。
紙をさしてスキャンスタートボタンを押したのに
『原稿がありません』表示が出ることがかなりあります。
でもそのとき、昔みたいにエラーボックスをクリックせずに、
もう一度スキャンボタンを押せばエラーボックスが消えて
読み取り動作を再試行するのはよかったです。
もう一つよかった点は、読み取り設定を
保存しておけるところです。
例えば本によって、A4変形のサイズ決めうちや
A5片面のみ、というようなよく使う設定を
保存できるのは便利です。
ただ、それはCドライブの変な場所に、
変な参照でとびとびに保存されているのが残念でした。
あとは、まだどうなるかわかりませんが、
スキャンのガラス面がぐらぐらしてすごく頼りないです。
なんとなく紙の粉塵が入りやすい気がします。
もしかすると、読み取り装置に異常が発生した時、
交換しやすいようなユニット構成になっているせいかもと
考えたりもしますが……。
と、今のところはそんな感じです。
改めてまとめるなら、台スキャナは場所をとっていや、
でも簡単にスキャンはしたい、というような
ライトユーザー向けの商品でしかありません。
がっつり段ボール箱何箱分も処理したい、
というような人には向かない気がします。
それからもしこういう製品を買おうと考える人がいるなら、
保守契約には必ず入るべきです。
この手のスキャナはスキャン枚数が増えると、
手の届かないところに必ず粉塵が入り、
修理が必要になります。
それは、単発で修理を頼んだのでは絶対料金が
高くつくのです。
買った後1か月以内であれば、
メーカー公式の3年保証にも入れますし、
購入店によっては独自の保証を設けているところもあります。
稼動できるのは保証が効いているあいだで、
切れたら新しいのを買う、くらいの気持ちが必要だと思います。