北海道弁には、
主体の意志を無視した自発動作を表す『さる』というものがあります。
「泣かさる」
自分で泣こうとしたわけではないが、勝手に泣けてくる
「書かさらない」
自分がどうやってもこの道具のほうが勝手に書けなくなっている
「扉が勝手に閉まらさる」
自分は扉を問題なくあいておくようにしていたが、扉のほうが無視して閉まる
というようなもの。
北海道弁の北海道弁らしいところだと思って
特には気にもしていなかったのですが、
この前、ふと、気づきました。
「合わさる」
「合う」「合わない」ではなく、「合わさる」。
二つの力が合わさって~ などと使われる言葉です。
意味は、自分の意志とは関係なく、
二つの力同士がぴったり合うと、というような。
これ……おそらく標準弁単語なのでは?
古い遊びに『貝合わせ』というものがあります。
これは、貝のかたわれがもうかたほうと
『あわさるか』『あわさらないか』を見る遊びで……
北海道弁単語の『さる』の使い方と同じです。
なんでこんな言葉があるんだろうと調べてみたら、
『さる』は古語で使った、という話がありました。
北海道の歴史なんてそんなに古くもないのに、
そんな新しいときまで『さる』が使われていて、
それが現代まで残っていると思うと、
なんだかしみじみ思わさるものですねえ……。