親友は基本的に雨憑きです。
一人で旅行へ行ったりすると、
たいてい降っている気がします。
また、最近思ったのですが、
親友がうちに来る日、なぜか家の中で
黒い悪魔に遭遇するのです。
最近はもう夏も終わり、夜に台所へ行く恐怖も
だいぶ薄れてきました。
そんなこんなで友達が来ることの意味も
かなり忘れていたのですが、
ゲームをしていたら二人で同じ場所を見て、
二人で飛び上がりました。
通常、わたしからは見えない床に、
黒い悪魔が出現したのです。
ちょっと見た感じ、あれもとまどっているのか
すぐさまどうにかするような動きはみせては
いませんでした。
わたしは思うさま後ろに飛びのき、
ただひたすらに友達に頼みます。
「叩くもの!」
なんていわれますが、それは部屋の外です。
扉の前のところにいるので取りにはいけません。
「それは? それ」
とわたしが叫ぶのは、さっき買って来た
ガラスを包むのに使っていた、
二三枚かさねの新聞紙。
「薄いけど……」
と渋りながらも、
友達はそれを手に取り折りたたむと、
扉の前の床をばしばしと叩き始めました。
そして。立派にやり遂げました。
「まだ生きてる」
と言うそれを、でもトイレに流して捨ててくれます。
あとはつぶれていやな感じの汁が出た床も
拭いてくれました。
もしわたし一人のときに遭遇していたらと
考えると、ほんとうに恐ろしいです。
部屋の外ならまだしも、
どこか部屋の中にいると思ったら
気が気じゃありません。
足なんか床に下ろせずに、
物音に跳ね上がる時間をすごすことになります。
友達が来るとあれが出る、と思ったら
すごくいやな感じですが、
何とかできる友達がいるから、
あれが出てくると考えると、
友達の存在がとても心強いです。
いやー、友達っていいものですね。