こんばんは。
小麦句会、ご参加ありがとうございました。
暑さが戻った関東地方ですが、夏バテしないようにお過ごしください。
兼題:月 |
出発は海抜ゼロや月の富士 春生 |
○(アネモネ)夜を徹しての富士登山。「月の富士」がナイスです。 |
○(藤三彩)頑張らないで五合目から登ればいいのに。 弾丸登山やって心拍停止になる登山者が毎年。 |
月餅の餡子が足りぬ終戦忌 幹夫 |
○(藤三彩)砂糖も菓子もなんにも無い、残らない戦は嫌。 |
◯(道人)「餡子が足りぬ」にペーソスと俳諧味あり。 失くしたもの、今あるもの、色々なものの大切さを噛みしめたい終戦忌です。 |
○(吾郎)甘いものに対する希求、満たされなかった日々への思い。 |
〇(まきえっと)今って贅沢ですね。 |
有明の月に善知鳥は羽広ぐ アネモネ |
◯(アゼリア)美しい夜明けの光景が目に浮かびます。 |
○(敏)「うとう」という鳥については写真で見たことがあるくらいでほとんど知識の外ですが、 有明の月に羽を広げ、「親がうとうと呼べば、子がやすかたと答える」という伝説を彷彿とさせる 一景に心打たれています。 |
老人と海が宿題八月尽 藤三彩 |
〇(珠子)そういう時代がありました。「人間失格」とかね。 |
○(餡子)「老人と海」の感想文?それとも・日本の老老介護や過疎地域、などのことを調べよ という宿題でしょうか? |
○(ちせい)季語は「八月尽」。ヘミングウェイですね。イメージ喚起力があります。 |
(選外)(道人)ヘミングウェイは不滅ですね。 本ではなく「ミングウェイが生きていたら」で宿題を出したら如何でしょうか? |
国会の追及かわす海月かな 泉 |
(選外)(藤三彩)結局は誰も責任を取らないのが歴史 |
電柱の直立続く月の道 敏 |
○(アネモネ)遠近法の効いた絵画的でいい景です。 |
〇(春生)図形化された構図がが面白いです。 |
◯(宙虫)遠近法の良く効いていて画がすっきり。さびしさも。 |
○(吾郎)シンプルなシルエットの美しさ |
〇(まきえっと)美しい景ですね。 |
手を重ねしっぺという罰星月夜 餡子 |
〇(多実生)こんな罰則がありましたね。 |
(選外)(ちせい)季語は「星月夜」。歴史的仮名遣いだと「しつぺ」でしょうか。 |
月餅を割って夕凪ぐ防波堤 宙虫 |
○(幹夫)作者の立つ位置がよく分かり、景に好感です。 |
◯(アゼリア)穏やかな海を眺めながら 、美味しい月餅をいただくなんて最高ですね。 |
○(敏)季語「夕凪」に防波堤を配し、スクッと割った月餅を口にしようとしている 作者の姿が見えてきました。 |
熱き血を冷ますが如く夏の月 仙翁 |
〇(多実生)どんなにカッカしても月を見ると冷静になれそうです。 |
故郷で誇れるものは峰の月 多実生 |
星月夜一人で入る水族館 ルカ |
○(藤三彩)夜行性の見学者一名さま、奇怪な生き物 |
◯(宙虫)夜の水族館。いろいろな想いを抱えて。 |
◯(あちゃこ)水族館大好きなのですが、まだ夜に一人の経験はありません。 何故?様々に想像を掻き立てられます。 |
指占いなどしておりぬ盆の月 道人 |
○(餡子)指占いって、どうやって何を占うのでしょうか? |
八月の猫と宮司の長説法 あちゃこ |
○(幹夫)兎角長く茄子説法です。まだ暑さが残る「八月の猫」という 表現には横長になっている猫が想像されました。 |
○(泉)何となくユーモラスな俳句だと思います。 |
酔ひ回る遅さに月を見上げたり ちせい |
◯(あちゃこ)あれこれと思う事の多い一日だったのでしょう。わかるなぁ。 |
桔梗の間隣萩の間星月夜 珠子 |
○(アネモネ)ことば遊びにしても面白い。 |
◎(アゼリア)先日日帰り温泉に行って来ましたが、やはり一晩泊まって ゆっくりしたかったです。 気持ちが良く表現されていると思いました。 |
○(ちせい)季語は「星月夜」。旅館でしょうか。和風ホテルの魅力。 |
抱きついた身の苦楽呑みたい月だ 吾郎 |
◯(道人)月を呑みたい、に何となくアニミズムを感じる。 |
○(宙虫)月もまとめて抱きつきたくなる夜がある。多分大きな月かと。 |
◯(あちゃこ)身の苦楽が効いています。呑みたくもなりますよね。 |
○(餡子)あらあら、ちょっと悩ましい。 |
〇(まきえっと)月を呑みたいってことあります。 |
正座してニュース見てをり八月十五日 アゼリア |
○(泉)正座する人も、次第に少なくなってゆきますね。 |
○(餡子)八月十五日はそんな気分になります。9日の長崎市長の言葉は 納得できました。正座して聴きました。 |
窓越しの顔洗う猫盆の月 まきえっと |
○(藤三彩)岩合光昭の世界ネコ歩き(NHK)という番組を見ている。 猫をずっつと見続けるのに人の人生時間を使うのもアリと発想転換させられる。 |
○(吾郎)今日は猫の宴会でもあるのだろうか |
テーマ:雨 |
あまだれの音のいろいろ秋に入る ルカ |
〇(多実生)隣近所の雨だれ音の様です。考えた事も有りませんでしたが、 ずばりこの通りです。 |
◎(仙翁)確かに、雨垂れの音の変化は何となく楽しいですね。 |
〇(春生)確かに「あまだれの音のいろいろ」ですね。発見があります。 |
○(泉)秋になると、雨音もいろいろと変化する。鋭い観察だと思います。 |
◎(吾郎)こういうゆるりとした時間はとてもいいものだ、音のいろいろ?が秀逸 |
〇(まきえっと)心のゆとりを感じます。 |
秋の雨ときに悪戯する茶目っ気 多実生 |
初秋の仏間雨粒の気圧は 吾郎 |
◯(アゼリア)爽やかな初秋の仏間、もう雨粒の気圧はどうでもいいという気になってしまいます。 いつもながら名回文に感心しています。 |
(選外)(道人)古びた仏間と秋雨前線の停滞感がよく合っている。 |
いうれいの少し受け口夜の雨 アネモネ |
〇(珠子)ゆうれいなんだからドってことないじゃん!しかし、ゆうれいになっても 受け口だった哀しさと思えばあわれかしらん。 でも受け口は個性です。 |
◎(敏)この幽霊は円山応挙描くところの両足の無い軸絵のようですね。 「少し受け口」がなんとも色っぽいです。 |
○(泉)何となくユーモラスな俳句だと思います。 |
◎(まきえっと)受け口が何とも言えないです。 |
蟬時雨戦死の伯父に妻子なく アゼリア |
◎(餡子)辛いですね。先の大戦で人生を狂わされた人の数たるや・・・。 蟬時雨がまさにそれをあらわしています。 |
◎(ちせい)季語は「蝉時雨」。蝉時雨が戦争の記憶を呼び覚まします。 |
秋驟雨父は木霊の許にいる 宙虫 |
◎(道人)抒情豊か、の一言に尽きる。 |
ひとところ青田濡らして狐雨 餡子 |
◯(ルカ)狐雨の雰囲気が出ています。 |
○(アネモネ)「青田濡らして狐雨」のリズムがなかなか。 |
〇(仙翁)こちらでは狐の嫁入りといいます。少しだけ一所に降ることが多いですね。 |
雨蛙啼かせて蛇の無言劇 珠子 |
〇(多実生)友部市の北山公園の中央部に水芭蕉が見られる水場があり、 句の様な情景が見られます。但し、蝮に注意の札が有りご注意の程を。 |
(選外)(道人)「無言劇」が眼目。じっと雨蛙を見つめる蛇の不気味さ、に臨場感あり。 |
降りぶりのしなやかにして盆に入る 敏 |
〇(春生)「しなやかな」降りぶり、分かるような気がします。 |
◎(あちゃこ)ここのところの長雨には閉口。今日は沢山洗濯を外に干しました。 しなやかな雨は、故人を忍には相応しい。降りぶりの表現は、少し気になりますが。 |
秋の雷激し誰にも罪なきも 道人 |
〇(仙翁)人の力の及ばない所で自然は動いているのでしょう。 |
○(泉)自然災害は突然に起こります。誰にも罪は有りません。 |
(選外)(ちせい)季語は「秋の雷」。普(あまね)く妥当する考え方。 |
初秋の雨に草草直立し ちせい |
人生は雨の日晴れの日流れ星 泉 |
〇(珠子)標語のようですが「流れ星」のフェイントで決まりました。 |
◎(多実生)まさに、人生いろいろです。流れ星が良く効いています。 |
かなかなや水難の相現れる まきえっと |
秋雨やあなたの傘は小さすぎて 幹夫 |
〇(珠子)なるほどなるほど。このあとはどういう展開に? |
蝉時雨それが題名指揮者なく 藤三彩 |
◎(泉)「蝉時雨」を音楽と捉えた。見事な発想だと思います。 |
○(ちせい)季語は「蝉時雨」。季語が題名と言う気の利いた句。 |
病葉の涙となりて雨流る 仙翁 |
◎(幹夫)雨の日の病葉が物がなしい。軽快なリズムで詠まれており共感です。 |
秋時雨阿弥陀に会いに濡れていく あちゃこ |
◯(アゼリア)阿弥陀様と秋時雨が良く似合うと思いました。 |
〇(仙翁)秋時雨、阿弥陀、しっとりしていていいですね。 |
○(敏)私方のお寺では、今ごろ御施餓鬼の真っ最中。秋雨の中、檀家衆が集まって来ました。 |
(選外)(道人)本来かくあるべきでしょう。ただこの「阿弥陀」とは? |
夜の更けて雨となりけり盆踊 春生 |
○(幹夫)盆踊の熱気が雨で流されそうです。俳句のリズムも佳い。 |
詠題 |
圓朝忌明けて庭掃く竹ばうき アネモネ |
◯(ルカ)竹ぼうきがいい味出してます。 |
かなかなや介護タクシー空いたまま 道人 |
◯(ルカ)介護タクシー、色んな人が様々な事情で利用するのでしょう。かなかなが、沁みます。 |
龍尾なる山霧尾根を飲み込める 藤三彩 |
〇(春生)壮大な山岳の変化を捉えて妙です。 |
◯(道人)水墨画の世界、心身とも霧の中にとけてしまいそうです。 |
○(吾郎)大きな景色 |
木漏れ日を掛けて昼寝の獏残暑 珠子 |
○(敏)昼寝と残暑、季重なりがちょっと気になりましたが、「木漏れ日を掛け」た 獏の姿にほれぼれしました。 |
◯(道人)木漏れ日が掛布団とは、上手い! |
○(ちせい)季語は「残暑」。獏は架空の生き物ですが、河童みたいな実在感を持たせた佳句。 |
武器を持つ逢えば懐かし放屁虫 多実生 |
風涼し煉瓦造りの天主堂 まきえっと |
◯(ルカ)この天主堂は、大浦天主堂のような気がします。長崎忌に思いを馳せました。 |
◎(藤三彩)何処とも何とも書いていなくても天草辺りのキリシタン天主堂という風情が感じられます。 |
◯(アゼリア)何処の天主堂でしょうか。行ってみたくなります。 |
◎(春生)長崎の天主堂ですね。季語「風涼し」がいいですね。 |
かなかなや昨日に戻りたき一日 ルカ |
◯(道人)しみじみとしたひと日ひと時がよく伝わって来る。 |
猫じやらし新設病院見えて来る ちせい |
○(宙虫)病院に期待する?しない?でも、新しい病院が気になる。 |
(選外)(道人)空き地が彼方此方に目立ちますね。猫じゃらしは逞しい。 |
なめくぢら鎧を捨てて一人旅 仙翁 |
〇(珠子)はだかんぼのナメクジにも捨てたい鎧があったんだね。身につまされます。 |
◯(あちゃこ)ユーモラスであり、少し切なくもあり。 |
〇(まきえっと)頑張れ。 |
選外 (多実生) なるほど、無防備で一人です。一人旅は作者でしょうか? |
地芝居や月代や傘刃指示 吾郎 |
○(餡子) おもしろい。時代劇に初めてでる村人でしょうか。汗をかいて演じている様子が目に浮かびます。 |
まるごしで国境越ゆる秋の蝶 アゼリア |
○(藤三彩)アサギマダラは渡りの蝶として知られている。秋には台湾などへ南下してしまう。 |
◯(あちゃこ)まるごしは、漢字の方がよいのでは? 力尽きても、行かざるを得ないと言っているようです。 |
○(ちせい)季語は「秋の蝶」。蝶をまるごしとは面白い表現だと思いました。 |
戦ひは日暮に終はる敗戦忌 幹夫 |
初秋や鎧に風を通はせて 春生 |
◎(ルカ)実物の鎧とも、心の鎧とも。少し風が通り、ホッとした気分が漂いました。 |
○(アネモネ)背筋の通ったしっかりした句だと思いました。 |
◎(珠子)「秋風が通う」という句は多いですが、鎧という発想は重く静か。 |
○(宙虫)夏の間にまとった鎧。汗臭いし。いろいろがんばってきた心情風景も。 |
出目金の水槽深く影を抱く 敏 |
◯(ルカ)下五が意味深です。 |
○(幹夫)元気な出目金が詠まれています。 |
〇(仙翁)情景が浮かびます。影を抱くように金魚が穏やかにいる。 |
秋空を仰ぐ四つ角みたらし団子 宙虫 |
○(吾郎)なんかいいな~と思わせてしまう。アイテムがいいのだな |
捨てられぬ衣服ばかりや土用干 泉 |
◎(アネモネ)いやあご同輩。まさしくそうです。 |
〇(多実生)土用干しは毎年実施してはいますが、仕事を辞めてからは着る事ない物が多いです。 |
○(敏)「土用干」は断捨離のチャンスだと思うのですが、なかなかそうはいきませんね。 |
(選外)(ちせい)季語は「土用干」。断捨離を検討するのか、それとも・・ |
空見つつ饂飩を啜る終戦日 あちゃこ |
みな腹を見せ八日目の蝉むくろ 餡子 |
○(幹夫)情景が佳く詠まれています。 |
〇(仙翁)蝉は七日のいのちとか。確かに、羽を上に死んでいる蝉はあまり見たことがない。 |
◎(宙虫)生きた証。精一杯の蝉の一生。 |
広島は雨も降らない、暑い毎日が続いています。天気予報を見ていると、この暑さは当分の間、続きそうです。雷とかゲリラ豪雨は無いので、今のところ暑さに我慢の毎日です。広島の広陵高校は、またしても準優勝でした。しかし、選手たちは良く頑張ってくれました。感謝です。