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ラングーン爆弾テロ事件の主犯、元北朝鮮工作員、カン・ミンチョル受刑者

2007年05月01日 | ミャンマー
毎日新聞2007年4月27日朝刊での、ミャンマー・北朝鮮国交回復に関する記事は以下。興味深かったのは、ラングーン事件の主犯としてヤンゴンの刑務所で服役中の元北朝鮮工作員についての報道があったことだ。カン・ミンチョル受刑者がいまだに24年間生きつづけて服役中だったことは知らなかった。


北朝鮮:ミャンマーと国交回復 ラングーン事件、政治決着 受刑者身柄で火種も
 【北京・堀信一郎】ミャンマーとの26日の国交回復合意により、北朝鮮は韓国閣僚らを暗殺したラングーン事件(83年)を政治決着させた。同事件を受けて断交されたミャンマーとの関係を改善することで、北朝鮮には、米国による「テロ支援国家指定」の解除に向けた環境を整備する狙いがある。だが、ラングーン事件の主犯としてヤンゴンの刑務所で服役中の元北朝鮮工作員、カン・ミンチョル受刑者の身柄の取り扱いは決着していない。韓国の一部にはカン受刑者の身柄引き渡しを求める声もあり、韓国、ミャンマー、北朝鮮3カ国の火種になる恐れがある。

 ラングーン事件では韓国の全斗煥(チョンドゥファン)大統領(当時)一行がラングーン(現ヤンゴン)のアウンサン廟(びょう)を訪問中に爆弾テロが発生し、韓国の副首相ら21人が死亡した。ミャンマーは北朝鮮工作員3人の犯行と断定、北朝鮮との国交を断絶した。

 工作員のうち、カン受刑者は犯行を自供したため死刑にされず、24年間、服役している。だが、北朝鮮はカン受刑者を含む北朝鮮工作員の存在を認めず、爆弾テロを韓国側の自作自演と主張してきた。国交回復によってカン受刑者が送還されることになれば、北朝鮮は受刑者が実行犯だったことを認めることになる。韓国ではカン受刑者の身柄を引き受け、事件の真相を解明しようという動きもある。

 タイを拠点にするミャンマー関係情報誌によるとカン受刑者は「韓国、北朝鮮のどちらにも行きたくない」と話しているという。これは韓国に送られれば、爆弾テロの罪に問われる可能性があり、北朝鮮に戻っても「罪を自白した裏切り者」と扱われる恐れがあるためだ。

 世界で最も貧しく、国際社会から孤立している北朝鮮とミャンマーの国交回復は、天然資源や食糧などの貿易を促進するためという側面もある。

 だが、核問題を抱え、マカオの銀行バンコ・デルタ・アジア(BDA)の資金問題解決が遅れている北朝鮮にとっては、ミャンマーとの復交は米国との関係改善のためのステップという見方が有力だ。

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 ■北朝鮮・ミャンマーを巡る近年の動き■

1983年10月 ラングーン事件発生
11月 ビルマ(現ミャンマー)が北朝鮮工作員3人の犯行と断定、北朝鮮と断交
12月 ビルマが工作員2人に死刑判決。北朝鮮がビルマ非難声明を発表
00年 7月 北朝鮮が東南アジア諸国連合(ASEAN)地域フォーラム(ARF)に参加
06年春 北朝鮮とミャンマーが事務レベルで国交回復に合意
10月 北朝鮮が地下核実験実施
07年 4月 北朝鮮の金永日外務次官がヤンゴンで国交回復合意文書に調印

ミャンマーと北朝鮮、24年ぶりに国交回復(2007年4月26日)

2007年05月01日 | ミャンマー
[2007年4月27日(金)読売新聞朝刊1面] 関連記事7面

ミャンマーのチョー・トゥ外務副大臣は、2007年4月26日、同国訪問中の北朝鮮の金永日(キムヨンイル)外務次官と主要都市ヤンゴンで会談し、国交を快復する共同コミュニケに署名した。コミュニケは即日発効した。両国の国交回復は、1983年10月に韓国の閣僚ら21人が北朝鮮工作員に爆破されたラングーン(現ヤンゴン)爆破テロ事件を機に断交して以来、24年ぶり。

ミャンマー、北朝鮮両国は、人権問題や民主化政策などで米欧の経済制裁を受け、国際的に孤立しており、国交回復をバネに国際社会の圧力をかわす狙いがあるとみられる。また、北朝鮮は食料、ミャンマーは兵器をそれぞれ相手国から調達したいとの思惑があるとされ、双方の利害が一致したことも国交回復に至った背景にあるとみられる。

両国は、数年前から北朝鮮がミャンマーに働きかける形で国交回復に向けた協議を水面下で開始し、昨年夏までに実務レベルで原則合意された。その後、北朝鮮がミサイル発射実験や核実験を強行したため、ミャンマー側が一時的に協議を中断したが、今年に入って最終合意に達した。

なお、1983年10月9日に起ったラングーン爆弾テロ事件についてのメコンプラザでの紹介記事はこちら。

ミャンマーと北朝鮮の国交回復交渉

2007年04月22日 | ミャンマー
NHKニュース(2007年4月21日)北朝鮮次官 ミャンマー訪問へ

”19日から北京入りしている北朝鮮のキム・ヨンイル外務次官は、21日午後、北京の空港に姿を現し、記者団の質問には答えず、そのまま空港の建物の中に入りました。キム次官は、22日にインドネシアを訪問することになっており、複数の外交筋によりますと、25日にはミャンマー入りして、両国の国交回復について詰めの協議を行うものとみられます。両国は国交回復の交渉を進めていることについて明らかにしていませんが、20日に北京にあるミャンマー大使館に北朝鮮外交官が出入りするのが確認され、事前の話し合いが進んでいることをうかがわせています。北朝鮮は1983年にミャンマーで起きたラングーン爆弾テロ事件への関与を認めておらず、これがアメリカによる「テロ支援国家」の指定を受ける根拠の1つとなっています。このため、北朝鮮としては、ミャンマーとの国交回復を通じてラングーン事件の解決を印象づけることで、アメリカに対してテロ支援国家の指定解除を求めるねらいがあるものとみられます。”