なあんおばはんの日常

不思議な老婦人の件

もう10年以上前の事だ。

冬の日だったと思う。



東京の某百貨店高級婦人服売り場で

販売員をしてた時に出会った不思議な老婦人のことを

ふと、思い出した。




その日は、平日でかなり閑な日だった。

店内は人通りもほとんどなく。売り上げもかなり低かった。




もう一人の販売スタッフは休憩中で

このままだと自分で何か買わなきゃダメか、なんて思いながら

私はひとりで売り場でぼーっと立っていた。




すると、一人の小柄な老婦人が歩いてきた。



彼女の服装は

私が所属していたブランドとは全然、異なるタイプ。


そのまま通り過ぎるのか、と思っていたら


彼女はふと立ち止まって


わたしに話しかけてきた。



「あなた、そんな、ぼーっと立ってたら、誰も買いに来ないわよ。もっと

笑顔でないと。お客様に来てほしいなー、って勢いのある顔してないとだめよ。」


と。


よほど、私はその時、さえない感じでぼさっと立っていたようである。



そして、彼女はしょっていたリュックから

ゴージャスな毛皮を出して私に見せ、

(小さなリュックからまるで魔法のように毛皮が出てきた)

さらに彼女の指の石ころのように大きな宝石をきらめかせて言った。

(指には石ころのような宝石がいくつもゴロゴロはまっていた)



「これはね、私がずっとほしいなと思ってたけど、なかなか手に入らなかったの。

だけど、ずっと諦めずに思ってたら、丁度一件、不動産が動いて、それでこれが手に入ったのよ!

なんでも、心からこうしたいって願っていると必ず叶うのよ!」



「あなたもね、こうしたいなー、と思うことがあれば、心から思い続けると実現するわよ!

とにかく、笑顔でないとだめよ。」


と、

いまでいう「引き寄せの法則」みたいなことを言って、

くしゃくしゃっとほほ笑むと


去っていった。





今思い返しても、

不思議な、どことなく魔法使い的なご高齢の老婦人だった。





私は半年くらい、その売り場に勤めていたが、



彼女と会ったのは、それっきりだった。







A Time for Love, Bill Evans, Alone










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