翻れ、橋下維新旗

地方自治改革に取組む 橋下徹氏と大阪維新の会、並びに橋下氏と共に自治体改革に取り組む大阪府職員、同市職員を応援します。

大阪維新の会 敵なし 統一地方選後半戦結果

2011年04月25日 | 日記
 統一地方選の後半戦が昨日行われた。即日投開票の結果、民主が伸び悩みを見せ、国民の期待が同党から離れていく結果が見て取れた。自民党は候補を絞り込むなど守りに徹した選挙を行い民主より優位には立ったが、流れを引き寄せるには至らなかった。自民・民主の対決型市長選では8選挙区のうち、民主が4、自民が2となり、現職の強みを生かした民主がかろうじて面目を保った。しかし、民主単独候補及び国民新党との推薦による5つの市区長選挙では全敗した。

 衆院愛知6区の補欠選挙では、民主が候補を擁立することができず不戦敗となった。補選は、自民元議員、減税日本、共産、その他の候補による5人の戦いとなった。結果は、自民元議員の圧勝。2位の減税日本候補に対し、ダブルスコアを超える大差をつけた。

 国政に勢力拡大をもくろんだ減税日本だが、今回は手痛い敗北となった。愛知県民の判断は、必ずしも減税オンリーではなかったようだ。東日本大震災の復興のためには、増税策もやむをえないものと考えた結果かもしれない。

 もう一つの注目点が地域政党の伸張。特に大阪の統一地方選前半戦で大旋風を巻き起こした大阪維新の会の勢いが継続するか否かに関心がもたれていた。吹田市長選には橋下知事が率いる大阪維新の会が、地方選後半戦で唯一の公認候補として井上前府議を送り込んだ。

 橋下知事は吹田市を大阪市に並ぶ全国一給料の高い「役人天国」と訴え、その支持を受けている現職候補では市政改革はできないと主張。その是正にはそれを成し遂げることができる人を選ばなければならないと市民に訴えた。一方、知事の提唱する大阪都構想に真っ向から反対する現職の阪口市長は、「吹田市を大阪都構想から守らなければならない。」「一人くらい大阪都構想に反対するものがいても良いだろう。」などと、徹底して戦う姿勢を見せていた。

 結果は、維新の会の井上候補が橋下知事の人気をかって現職の壁を打破。8千票余りの差をつけて快勝した。読売新聞は社会面で、「維新の看板敵なし」との大見出しをつけた。「政党不信票 吸収」「橋下知事 『秋の陣』攻勢」のサブタイトルもそのものズバリの表現だ。

 敗れた現職の阪口市長は、「私の力不足。市長選まで風で決まってしまうのは不本意」とのコメントを残した。これは半分当たっていて、半分はハズレだ。何故なら橋下改革は『風』ではなく、実質だからだ。大阪府政における改革の実績を知っているからこそ、橋下知事に住民の支持が集まっているのだ。その点ではハズレ。

 一方、維新の会としては知事の人気による支持が集まっているだけで、ほとんど実績はない。この点では当たっている。だから、維新の会は先行する人気に「実績」と言う肉付けをしていかねばならない。そのためには議員のあるべき理想像を自分たちのものにしていかなければならない。さもなければ、風だけで政権政党の座に着いた民主党と同じ轍を踏むことになる。

 当選した井上氏には、このことを銘記しておいてほしい。橋下知事と同様の手法で市政運営を行う上では、かなりの困難が予測されるからだ。知事が府政改革に臨んだときは、誰もが『様子見』だった。しかし、橋下知事は果敢に改革を進めた。はじめは「お手並み拝見」「いずれ泣きがはいる」と甘く見ていたものたちの予想は大きく覆されてしまった。

 その上で、地方自治を住民の手に取り戻すために結成された大阪維新の会。

 維新の会が橋下知事の指導の下にある以上、改革は必ず実施されるものと考えるならば、既得権益を持っている者たちは強力な抵抗勢力となる。井上新市長には、「様子見」からではなく、はじめから徹底した抵抗を示すだろう。何より市長の手足たるべき市職員が真っ向から立ち向かうだろう。これを粉砕するのは並大抵ではない。今から心しておいて欲しい。

 さて、地域政党では大阪維新の会が「向かうところ敵なし」の勢いをみせたが、他の地域政党は全く振るわなかった。実績がないことや支援組織を持たないことが敗戦の要因だろう。地域政党としての支持基盤を、議員活動という実績を積み上げることにより形成していく必要があるだろう。或いは、地域政党同士で手を握り合っていくことだ。

 吹田市長選に挑んだ「龍馬プロジェクト×吹田新選会」は、「橋下知事のようにトップダウンで物事を決めるのではなく、住民サイドからのボトムアップ型の市政運営」と呼びかけた。この考え方は一見、正しいのだが、組織が爛熟期にあって既得権が特定の集団にばら撒かれるようになっていると、その集団の結束を破り、あるべき政治運営に戻すのは並大抵のことではできない。

 今は橋下改革の手法がベスト。一定の改革が進んだ後、今後どうするかの選択の際には龍馬プロジェクトの手法が望ましくなる。どちらも現状打破を目論んでいる地域政党だけに、ばらばらに活動するのは惜しい。龍馬プロジェクトは若さがあり、教育の重要性も理解している。吹田市を、そして大阪を変えていくために龍馬プロジェクトは大阪維新の会と連携していくべきだ。

府市再編に向けて橋下知事動く

2011年04月19日 | 日記
 統一地方選前半の戦いで大きく躍進した「大阪維新の会」を率いる橋下知事は、昨日、報道陣に府市再編についてのスケジュールを示した。知事と市長のダブル選挙を描いている橋下知事の考えでは、府民に再編案の内容を理解してもらえる時間的余裕も含めて、11月選挙実施までの全体の時間配分を逆算し設定している。

 それによると、府議会と市議会で7月までに各会派が再編についての「たたき台」を提出する。これを両方の議会で議論し、9月までに再編案の「大綱」として取りまとめる。(大綱が一本化できるなら、その内容の是非を住民に問うことになる。仮に一本化できなかった場合はどの案で行くことにするのか、その決着を選挙での住民の判断に委ねることにしている。) 9月から選挙が行われる11月までは、住民への周知期間とされている。

 維新の会はこれまで橋下知事の主唱する「大阪都構想」を支持してきているので、再編案はその名称を変えたものになるだろう。その他の主要会派も大阪都構想に対抗する大阪の新しい自治形態案を提唱してきているから、7月までという「たたき台」提出の期限は決して短いものではない。

 これまで大阪都批判や傍観を決めこんでいた会派も、この機会に独自の案を提唱すると議論をより深めることになる。できるだけ早く再編案を示してほしい。あるいは、すでに出されている案のどれかへの支持を明確にして欲しい。そうすれば議論が整理しやすくなるし、我々住民にとっても理解しやすくなるからだ。

 各会派には、7月までという期限が短すぎるなどとの、議論を逃げるような発言はして欲しくない。大阪都構想が提唱されてから今日まで対案を考慮する時間は十分あったし、その是非を考える時間もあった。大阪都構想の内容が明確でないとの指摘もあったが、橋下知事の説明では都構想が大阪の将来のあり方の方向性を示すものであり、住民の賛同が得られた暁には、具体的内容を官僚が肉付けしていくものとの考えが示されている。

 大阪都構想の具体的内容は、住民のGoサインが出れば、議会や住民集会の議論、パブリックコメントなど住民の意向をより反映した形で、官僚たちの手によってその肉付けが行われる仕組みが示されている。つまり、政治と行政の役割分担が明確に示されているのだ。

 政治家が行うべき仕事と行政の行うべき仕事が混同されると、両者ともに機能の低下を招くことになる。政治主導の穿き違えや課題の先送りの結果が、先進国から取り残されるようになった日本の現状だ。

 これは地方でも同じこと。いつまでも手を拱いているばかりではよくない。国が動かないのなら地方から動き出していく必要がある。明治維新から144年。制度疲労が限界に達しつつある現行地方制度を大きく見直すべき時期に来ていると言えるだろう。その過程で、法律の新設や改廃が必要になるのなら、積極的にそれを求めていくべきだ。

 政治形態の変化について見てみよう。国と地方。どちらが変わりやすいか。考えてみるまでもなく地方だ。都市と田舎。どちらが変わらねばならないか。都市であることは明白だ。地方都市が政府や霞ヶ関の言いなりになっていては、日本は後進国にも置いてけぼりを食らわされてしまいかねない。

 地方都市大阪を変える手段として、大阪都のようなものがよいのか、広域連合の形がよいのか、あるいはもっと別の形態があるのか。しかし、議論だけでは変わらない。期限を切って、より良いと考えられる方法を実行してみることが大切だ。良かれ悪しかれ結果は出る。その結果を次の改善につないでいくことが重要なのだ。

 改革や改善には終わりは無い。時の経過とともに必ず課題は生じてくる。問題は、生じた課題に果敢に立ち向かっていく能力の有無だろう。気力、体力、知力。どれも必要だ。壁の厚みや抵抗力の強さに対する柔軟性も求められる。橋下知事は、その両方を兼ね備えた稀有の政治家だ。

 知事3年の任期中、橋下知事は従前の知事たちにできなかった府政改革をやってのけた。気力、体力、知力ともに充実していた結果だ。柔軟性も高い。先日の選挙で大躍進したものの、大阪都構想は受け入れられていないとして、敗北宣言。他会派の議論参加を促すため、大阪都構想の名称も引っ込めた。橋下知事の柔軟性の表れだ。

 政治家は民意を具体の政治に反映させ、課題の解決に当たるのが仕事だ。そのことをよく理解し当然のごとく問題を解決していくからこそ、橋下知事にかける府民の期待は大きいのだ。

 大阪の将来像となる青写真。どのようなものが出てくるか分からないが、「大阪秋の陣」までに示されることを期待したい。

統一地方選後半戦始まる

2011年04月18日 | 日記
 全国88の市長選、293の市議選、東京都の13の区長選、21の区議選が昨日告示された。統一地方選後半戦の始まりだ。19日に告示される町村長選、町村議選とともに今月24日に投開票される。

 後半戦で注目されるのは東日本大震災の影響で、原発立地地域の選挙戦がどのようなものになるかだ。どの政党も防災対策、原発対策の見直しを争点の中心とするのだとしたら、選挙戦は単調なものになるだろう。もっと広い視野での論戦を望みたい。

 もう一つの注目ポイントは地方政党の伸びだ。前半戦を終えて、多くの地域政党や首長新党が出現した。それらの中には、地域自治運営に影響力を持つほどの支持を得たものもあれば、泣かず飛ばずに終わったものまでいろいろあった。

 大きな支持を得た地域政党の一つが、橋下大阪府知事の率いる「大阪維新の会」だ。大阪府議会では定数の過半数を獲得するに至っている。後半戦では吹田市長選が注目の的だ。3期続いた現職市長に対し、維新の会は同会の総務会長をぶつけた。共産党も例のごとく候補者を途切らせないための新人候補を擁立。これに諸派の「龍馬プロジェクト×吹田新選会」が候補者を立てた。実質上は現職対維新の会候補の対決になるものと予測される。

 維新の会が前半戦の勢いそのままに結果を出すのか、親の代からの強い基盤をもつ現職がその強みを発揮するのか、大阪では多くの人々が注目している。それは、とりもなおさず、橋下知事が主唱する「大阪都構想」なるものについて、吹田市民が賛否の意思表示をする結果につながる、ということだからだ。

 前半戦吹田地区での維新の会の得票率から予想するならば、維新の会の勝利は疑いの無いところだが、現職には3期続けた実績がある。大きな失政を犯したわけでもない。目ぼしい自治行政改革をできていない点でも他の首長たちとどっこいどっこいだ。しかし、地元住民の根強い人気を誇っている。

 維新の会が大阪都構想を推進し、将来の関西州につないでいくためには、ここはどうしても落とせない。橋下知事も初日から舌戦に加わり、口角泡を飛ばした。維新の会の議員たちも続々と応援に駆けつけている。結果が見逃せない。

 他の地方政党でも注目したいものがある。河村名古屋市長率いる「減税日本」の動向だ。神奈川県平塚市と愛知県田原市の両市長選に候補者を擁立した。減税日本も前半戦で勢力を大きく伸ばしており、後半戦の結果が注目される。

 既成政党による変化に乏しすぎる自治運営に対し首長新党が大胆に切り込んでいくことを、それぞれの地域住民が賛成していくのか、それともブレーキをかけようとするのか、住民の判断が明確になるというところが後半戦の見所だ。前半戦の投票率は、前回と比べてあまり伸びていなかったが、今度は前回を大きく上回る投票率の中で住民の判断を見てみたい。何はさておいても必ず投票に行こう。

福島原発の事故評価、最悪のレベル7に

2011年04月13日 | 日記
 東日本大震災の直撃を受けた東京電力福島第一原子力発電所では今も復旧作業が続いている。原発事故の深刻度については、国際原子力事象評価尺度(INES)が0から7まで8段階の暫定評価を定めている。

 過去の原発事故では、1986年に生じた旧ソ蓮のチェルノブイリ原発の事故が最悪のレベル7とされ、1979年に米国のスリーマイル島で生じた事故がレベル5とされている。今回の福島原発の評価レベルは、当初、「レベル4」と政府は公表していた。

 しかし、3月15日頃には、フランス原子力安全局がレベル6と判定。米国の化学国際安全保障研究所もレベル6又は7と判定していた。このような国際世論に押された形で、政府は18日になってから評価を「レベル5」に引き上げた。しかし、原発事故の影響に神経質な諸外国では、福島原発の事故がもっと深刻なものであると認識されていた。

 これまでの政府や東電、経産省原子力安全・保安院などの説明は全くちぐはぐな印象で、世界中から「情報提供が遅い」「正確でない」などと批判を受けてきた。1週間前からは、国際的評価判断はチェルノブイリとスリーマイルの中間に当たるレベル6に該当するとされ、今後、チェルノブイリと同じ方向に進むだろうと予測されていた。

 事故から1か月を経た12日、経産省原子力安全・保安院などは福島原発の暫定評価をこれまでのレベル5から最悪の「レベル7」に引き上げると発表した。保安院の調査で、昨日までの1か月に大気中に放出されたヨウ素131とセシウム137の総量をヨウ素に換算すると37万テラ・ベクレルに達していたことがわかった。また、内閣府原子力安全委員会の推計でも4月5日までで63万テラ・ベクレルに上っていたと発表した。同委員会の発表では、3月23日の時点で既に10万テラ・ベクレルに達しており、INES暫定基準の数万テラ・ベクレルを大幅に超えていたことが分かった。これらの数値から、遅ればせながら暫定評価がレベル7に引き上げられたものだ。

 保安院は、「現時点までの放射性物質の放出量はチェルノブイリの1割程度で、被爆量も少ない。」と違いを強調しているが、放射性物質は今も毎時1テラ・ベクレル程度放出されている。決して安心していられる状況ではない。このまま復旧作業に手間取るようなら、限りなくチェルノブイリ事故に近付いていく。炉心の状況が安定していないからだ。

 海外の一部にはチェルノブイリを越えることを予想する専門家もいるように伝えられている。海外の報道のあり方には偏りがあったことが知られており、この予想を真に受ける必要はないが、かといって、政府や東電からの情報も盲信するわけにはいかない。政府や東電、その他の機関は、もっと早く正確な情報を国民に知らせるべきだ。海外に向けても正確で強力な発信をして欲しい。それが無用な不安を払拭する最善の方法だからだ。

 確かに政府の情報提供のあり方には、国民の間にパニックや混乱を生じさせないとの配慮があったとも解釈されるが、そう好意的にばかり受け取るわけにはいかない。避難対象区域の設定とその時期、区域の拡大の時期と対比までのタイムリミットの設定など、今も不明確なものが多い。説明も依然として不十分だ。

 放射性物質の放出が3月中旬の最悪の時期の1万分の1程度にまで減少した今になって、なぜ30キロ圏より外への避難が必要なのかなど、政府や東電の説明は分かりにくい。原発事故の被害はひとつ間違えると、とんでもない災害につながることを政府も関係者も、もっと深刻に考えるべきだ。後になってから、「あれは大変な人災だった」と言われることのないよう対策には万全を期して欲しい。

貫禄の4選、石原都知事

2011年04月12日 | 日記
 統一地方選前半の注目選挙区のひとつ、東京都知事選。現職の石原都知事に前宮崎県知事の東国原氏や外食大手「ワタミ」の創業者である渡辺美樹氏らが挑戦した。結果は現職の石原慎太郎氏が貫禄の4選を果たした。

 石原知事の去就については、本人が3選時に「これが最後」と明言していたことや、任期満了間際まで出馬には否定的な発言を繰り返していたことから4選出馬はないものと思われていた。その石原知事が4選に踏み切ったのは、後継者として納得のできる候補者がいなかったことによる。意にかなう候補者が現われるのなら、石原氏は身を引いていたことだろう。残念ながら後事を託すにふさわしい候補者は現われなかった。

 自ら3期にわたり都政運営に当たってきたが、大東京が抱える課題はまだまだ沢山残されている。その上に何ともだらしの無い政権与党の存在は、わが国の行方に不安を抱かせるばかりだ。このような現状の中では、都政運営の安定がもっとも求められる。かといって、後事を安心して任せるに足る後継者も残念ながらいない。一度は都政から身を引く心算であった石原氏も4選出馬の断を下さねばならなかった。

 石原氏の4選については78歳という高齢であることや多選の弊害と言う批判もあるとおり、決して望ましいものではない。しかし、「他の誰を知事にするよりも石原氏に知事を続けてもらうほうが、はるかに安定した都政運営が得られる」と東京都民は判断した。変化よりも安定を、そして強い指導力を選択したのである。

 今度こそ「最後のご奉公」と石原知事が出馬表明をしたのが去る3月11日。その表明の直後に東日本大震災が東北地方太平洋側で発生した。東京都内でも九段会館の天井が落下するなど、地震の被害が各所でみられた。このため石原知事は、災害対策など公務を優先。街頭演説に立ったのは選挙戦最終日の9日だけというものだった。

 石原支持者の中には、「十分な選挙戦ができないのでは、当選できても次点候補者との票差がかなり接近するのではないか」と危ぶむ者もいた。それでも結果は・・・。投票が終了したのは10日午後8時、それとほぼ同時刻に「石原都知事、当確」の一報が流れた。正に「貫禄の」と言っても良い勝利だった。それは、強力な対立候補である東国原氏の選挙事務所に集まった支持者の間から、「えっ!! もうこれで終わりなの?」との驚きの声が上がったことからも窺われる。

 東国原氏は前宮崎県知事で、1期ではあるが知事として高い評価を受けている。タレントで、TVタックルなどで人気のビートたけし氏 (国際的な映画監督としても著名な北野武氏)、の弟子としてもよく知られており、気さくな人柄は多くの人をひきつける魅力となっている。知名度も抜群に高い。その東国原氏でさえも、石原氏には100万票近い差をつけられた。

 民主党の支援を受けた外食大手「ワタミ」創業者の渡辺美樹氏も100万票を超える支持を得たが、石原氏には遠く及ばなかった。民間企業経営者としての手腕に期待する声もかなり高かった。当選していれば、石原知事とは全く異なる都政運営を目指したかもしれない。渡辺氏はワタミを退職し政治家として活動されるようだが、今回の敗戦にめげず政界入りを果たして欲しい。それが政界の活性化と改革につながると思うからだ。

 さて、4選を果たした石原知事だが、取り組むべき課題は多い。急がれるのは防災対策。そして現に発生している災害への対応だ。東京一極集中の弊害が指摘されるようになってから久しいが、一向に首都機能のバックアップ体制がとられているようには見えない。

 産業部門でも同様だ。今回の東北地方の震災では自動車部品や鉄道車両の部品調達ができなくなったことから、自動車の生産制限や車両運行の間引き運転に踏み切らざるを得ない事態をまねき、産業界や国民生活に少なからぬ影響を及ぼした。これが首都圏で発生していたらどれほどの打撃を及ぼすものか、考えただけでも恐ろしい。対策が急務である理由だ。首都圏における防災対策の総点検が必要だろう。

 首都機能の分散は、東京都自身から主張すべきものだ。一自治体である東京都だけで巨大化した首都機能を担うには、その限界をはるかに超えている。想定はしたくないが、首都圏が大震災に見舞われた場合や、近年取りざたされるようになった富士山の噴火などが生じたと考えるならば、現在の東京の防災対策は万全なのであろうか。

 少なくともバックアップ機能は、最低でも2箇所が必要だ。東京と他の1箇所が壊滅的打撃を受けても、もう一箇所が無傷ならば機能的には問題ないからだ。3箇所以上にできれば安全性は飛躍的に高まる。石原知事には、都内の現実的な防災対策を取られる一方、国家的視点からの首都機能分散を提唱してほしい。老齢に鞭打って4選に立ち上がったのであるから、わが国の将来を見据えた首都圏の新たな機能の確立に取り組んでいかれることを期待したい。あわせて、その機能の多極分散化を目指してほしい。

大阪維新の会、大躍進

2011年04月11日 | 日記
 第17回統一地方選の前半戦が10日に実施された。大震災の被害を受けた東北地方の一部を除き、東京都など12の知事選、広島市など4つの政令指定市長選、41の道府県議選、大阪市など15の政令指定市議選の即日投開票が行われた。

 注目された大阪選挙区では、大阪都構想を訴えた橋下知事の率いる地域政党「大阪維新の会」が大阪府議会の過半数を制する勢いを見せた。大阪市議選では、目標の過半数に達することはできなかったものの、定数86のうち33の議席を獲得し第一党となった。堺市議選では候補者を十分にたてることができなかったが、定数52のうち13の議席を確保し、ここでも第一党の座を占めた。

 大震災の影響で投票率が伸びない中、既存政党に有利に働くとの選挙前の予想に反し、住民の審判は既存政党に厳しいものになった。大阪都構想に批判的で民主党候補の応援に力を注いできた平松大阪市長には、特に厳しいものになっただろう。今後の市議会運営では、大阪都構想を「妄想」とか「夢想」と切捨てにすることはできないからだ。

 橋下代表と維新の会の主張には真摯に耳を傾けなければならない。市議選では過半数に満たなかったものの、大阪府議会で過半数を占めた維新の会への住民の支持は、大阪都構想にかけてみようとの意思表示に他ならない。既存政党は今回の結果を真摯に受け止め、自治体のあり方や国と地方の関係の再構築に真剣に取り組まねばならないだろう。

 今のところ、大阪都構想の形と実現に向けてのスケジュール案は橋下知事の頭の中だけにあるようだ。維新の会の全員が知事と同レベルまで構想内容を速やかに理解することが必要だ。大阪、堺、両市議会を大阪都構想の土俵に挙げ、その実現に向けて取り組んでもらうためには、まず自らが構想の中身を理解していなければならないからだ。

 橋下知事は選挙結果に一応満足されていると思うが、大阪市議会の議席がやや少なかったのを懸念されていることだろう。決して手放しで喜べることではない。大阪都構想の実現はそんなに生易しいものではないからだ。第一のハードルは、大阪市議会と堺市議会だ。既存政党に協力を求めていかねばならない。

 第二のハードルは国政レベルだ。構想を実現するには、法律の改正が必要となる。国会議員の過半数の賛同が必要なのだ。行政権限の配分を改めていくためには各省庁との調整と合意が必要だ。だが、霞ヶ関の官僚たちは、そう簡単に地方の申し出を受け入れることは無いだろう。このハードルも相当高い。

 今後、大阪都構想を具体的に議論する中で、既存政党や霞ヶ関の無理解と抵抗は明白になっていくだろう。橋下知事が選挙結果を手放しで喜べないのも、そのあたりのことが頭に入っているからだ。維新の会幹部との電話のやり取りの中で橋下知事は今後の対応について、「選挙結果を分析して方向性を決めたい」と語ったのはその表れだ。

 橋下知事と維新の会には、府議会と2つの政令市議会で大阪都構想の実現に向けて積極的に取り組んでいただきたい。既存政党にも民意が大阪の未来のために大阪都構想にGOのサインを示したことは分かったことだろうから、協力を求めたい。政府がだらしない現状では、地方自らが頑張らなければならない。その頑張りを具体的な成果につなぐには、地方制度の大きな改革が必要だ。民意を反映できる地方行政の仕組みづくりが今最も求められている。そしてその中身には、高い効率性と透明性が求められている。

 ハードルは高いが、「One Osaka」を大阪が一丸となって進めることができるか、国会と霞ヶ関をその気にさせることができるか否かが、大阪都構想実現に向けてのカギだ。大阪維新の会に日本の新しい国と地方の形作りを期待しているのは、維新の会に投票した人たちだけではない。すべての国民が現状打破に期待しているのだ。

思いは見えないが、思いやりは誰にも見える

2011年04月04日 | 日記
 統一地方選が始まった。大方の予想どおり、国民の関心は盛り上がらない。東日本大震災の衝撃が国民の心理に影響していることは間違いない。

 このような時、多くの日本人は物事を「自粛」の方向へと向けていく。隣人の不幸に配慮し、被災者の心の傷に塩を擦り付けるようなことをしないためだ。日本人的な心配りと言うべきだろう。

 しかし、別の側面から見れば、この対応は必ずしも良い結果ばかりをもたらしてくれるわけではない。国家全体の経済活動を引き下げ、国民生活の多くの面で活性化をそぐ結果につながるからだ。それは結果として、被災民のためにもならない。それでも国民感情としては、自粛ムードを支持するというのが大勢を占める。

 このような中で始まった選挙が盛り上がらないのは当然だ。国民の関心が被災者支援と被災地復興、そして、原発事故の推移に向けられている現状では、確かに選挙どころではないのだ。それでも始まった以上、各党候補者は支持を訴えていかなければならない。

 公約として何を訴えていくのか。今の有権者の関心の的は、「防災対策」と「危機管理」だ。「東日本で発生した地震と同じような地震が発生した場合、自分たちの地域はその災害に耐えることができるのか否か、行政の防災対策は十分か」といった住民の心配に答えていくことが一番の支持確保になる。既存政党はいずれもこの方向に走っている。

 大阪の各選挙区でも既存政党の動きは全く同様だ。防災対策と被災地支援の訴えだけと言っても良いのかもしれない。少なくともマスコミの情報では、既存政党候補者の主張にそれ以外のものは示されていない。

 一方、大阪都構想を推進したい橋下大阪府知事と大阪維新の会は、防災や危機管理だけでなく、大阪都構想も選挙の争点にしていこうとしている。既存政党との主張の違いは対照的で明白だ。それでも府民の関心の的はやはり防災対策なのだ。橋下知事の言動には、大阪都構想が争点の中心にならないもどかしさを感じさせるものが現われてきている。

 府民の知事に対する支持率も57%程度に激減した。大阪都に対する支持も積極的支持が減少し、「どちらかといえば賛成」を含めて、かろうじて過半数を維持しているという状況だ。

 維新の会支持は、既存政党をしりめに第一党の地位を不動のものにしている。しかし、無党派層の関心が盛り上がらない今回選挙では、議会の過半数を確保することは最早困難になっている。

 被災地の復興が議員の任期であるこれからの4年以内に完了することは無い。少なくとも2期8年は最低でも必要だ。同様に、地方改革としての道州制確立に向けては今から直ちに取り掛かったとしても、更に長い期間を必要とするだろう。

 目先のことしか追わないのでは、大きな課題であっても手付かずのままにされてしまうことになる。これまでの政治が正にそうであった。「ことなかれ」と「先送り」。それがわが国を国際間競争から脱落させ、経済の停滞を招くもとになった。

 政治家は国民のうけを狙うより、国家や地方をどのように維持発展させ、国民をいかに幸福にさせるか、に意を用いるべきだ。時には住民の反発を招くような政策提示も必要だろう。その内容が正しければ、いずれは国民の安定した支持の確保につながるからだ。それが、政治への信頼回復にもつながる。

 とはいえ、現実の政治を担当するには選挙に勝たなければ始まらない。将来を見据えた「しつかりとした政策」を打ち出しうる候補者こそは、なにを置いても当選してもらわなければならない。そのためには、勝てる選挙をすることだ。正論だけを振りかざしていても、住民の支持は得られない。情にも訴える必要があるのだ。

 「思い」は目に見えないが、「おもいやり」は誰にも見ることができる。「心」は見ることができないが、「心づかい」は誰でも見ることができる。

 さて、有権者の「情」に響き渡る候補者の訴えとは何であろうか。賢い候補者であれば、それを見つけることは容易なはずだ。その結果は1週間後に見ることができるだろう。

人参を追う馬にはなるな

2011年04月01日 | 日記
 統一地方選前半戦が今日告示され、スタートする。大阪では定数109の府議選、同86の大阪市議選、同52の堺市議選の幕が切って落とされる。選挙に挑む各党の思惑もさまざまだ。

 東日本大震災の余波が継続している今、選挙の争点の一つが「防災対策」になることは間違いない。これを府民に訴えていくことは大きな意味がある。阪神大震災から16年を経て、府民の防災意識が薄らいできていると感じるからだ。

 大地震発生への備えをするよう警告を発し注意を喚起しておけば、予測されている「東南海地震」「南海地震」発生時の被害を確実に小さくすることにつながるだろう。

 だが、争点のメインが「防災対策」一辺倒というのではいただけない。それでは、目前にぶら下げられた人参を追う馬と同じだ。視野狭窄といわれても仕方あるまい。住民代表である議員の見識がそれでは困る。
 
 行政運営は多岐に渡っているが、問題点もそれに見合うだけ多いものだ。それぞれの事務事業の実施においては、実施の是非が問われるもの、実施の範囲の適切性が問われるもの、予算の大小が問われるもの、効果の有無が問われるものなどがあり、その適切性を問われれば「はてな」と思うものもあるはずだ。

 現在の地方行政の実態を招くに至った要因は、多くの識者の指摘するとおりであったと思う。補助金や交付金を餌に地方をコントロールしようとしてきた霞ヶ関。その仕組みの改善に立ち向かわず、ひたすら餌に飛びついてきた地方。その構図を横目に、その地方には必要の無いものであっても、国の打ち出す補助金に食らいつかせてきた議員たち。

 その過程で、補助事業には地方の負担が必要であること、「箱物」施設は後年度の運営コストがかさむことなどは考慮されてこなかった。借金を重ねることで対応できたからだ。おいしそうな「餌」は、住民の福祉全般に向けられ肥大化していった。その結果が、再建団体に転落しかねない財政運営を招いてしまった。

 多額の地方債返済のため、多くの自治体が四苦八苦している。この状態がよくないのは子供でもわかる。行財政の健全化こそが、今もっとも急がれる課題だ。

 残念なことに日本では、この問題は何十年も前から指摘され続けながら、遅々として改善が進んでいない。変化を嫌う国民性なのか、獲得した利権を手放そうとしないハエどものせいなのかは分からないが、このままにしておくのは良くない。

 統一地方選挙では、候補者の言に積極的に耳を傾けてみよう。有権者としての厳しい目で候補者を吟味しよう。特定会派の特定主張のみのバッシングに走ったり、防災対策一辺倒といった「人参追い」の候補には一票も入れたくない。「道州制実現」に向けて取り組むなどの発言者には、いつまでか? 組織機構は? 区域の設定は? その機能と権限は? 国や基礎的自治体との税配分は? などを突っ込んで尋ねてみよう。本気で取り組む気がある候補者なら、独自の腹案を持っているはずだ。

「人参」の一つとしての争点しか持ち合わせていない候補者は、お断りだ。大勢が目を向けている問題を争点に選ぶのはよいが、その本質をしっかり把握し、解決のための方策をもった候補者を選別しよう。

 立候補する皆さん方は、決して「人参を追う馬」であってはならない。地方議員とはいっても、その地域の住民を代表し、地域行政のあり方を正すべき立場であるからだ。目前の「人参」ばかりに目を取られるようでは、方向を大きく誤らせることにつながりかねない。

 立とうとされる地域の本質的な課題が見えていない方や、「人参」しか争点にするものを持たれていない方には、立候補を思いとどまられるよう進言したい。