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ミャンマー視覚障害者医療マッサージトレーニングセンターの日々の記録 「未来に向かって」

NPO法人「ジャパンハート」が、ミャンマーの視覚障害者の社会的自立を目指して立ち上げた新たなプロジェクト

子どもの力

2010年03月20日 | 日記
ミャンマーの学校では、この時期から新年度が始まる6月まで夏休みとなり、子どもたちにとっては今が一番楽しい時期だ。室内でゲームに没頭するのではなく、毎日暑さに負けず外で遊ぶミャンマーの子どもたちの元気な声がとても清々しい。
 ジャパンハートのキッチンスタッフにも14歳・9歳・3歳の子どもたちがおり、夏休みの今はトレーニングセンターでお母さんの手伝いをすることもある。
 先日、かかってくる予定の電話を待ちながら、私がトレーニングセンター内の部屋で仕事をしていると、「セヤー フォン(先生、電話)」と言って、9歳と3歳の子どもたちが呼びに来てくれた。そして、電話の部屋へ向かっていると、子どもたちもついてきて、子どもたちの方から私の手を引いてくれた。階段では、「セヤー OK?」と言って、私の手を手すりに持って行ってくれた。
 電話の所に着くと、不運なことに電話がすでに切れていた。これに気付いた瞬間、9歳の子がとても申し訳なさそうにして何か言いたそうだった。だが、言葉は通じない。私は、そんな彼女に最高の笑顔と「チーズーデンバーデーノー(ありがとうね)」と言う言葉を返して、部屋に戻った。その後、電話をかけなおすために再度電話の所へ戻ると、なんとその子が電話をかけなおそうとしてくれており、いつも騒いで走り回っている3歳の妹もおとなしくその様子を後で見ていた。電話先の相手にあせったように大変真剣な話し方で何かを伝えていた。しばらくして、「セヤー フォン」と言って私に受話器を手渡してくれた。そして、私の電話が終わって、子どもたちはようやくほっとしたようないつもの様子に戻った。後で、ミャンマー語のできる日本人スタッフに聞いてみると、子どもたちはジャパンハートのヤンゴン事務所に電話をかけ、私に用のあるスタッフに変わるように一生懸命交渉していたそうだ。
 このことは、子どもたちのご両親も全く知らなかったようだ。このように誰が教えた訳でもなく、誰が頼んだ訳でもない。もちろん言葉も通じない。しかし、たまたまかかって来た1本の電話からこんな行動が自然に取れる子どもたち ・・・。教育に携わっていると、こんな場面に遭遇することは良くあるが、何度遭遇してもほんっとに嬉しい。毎回、子どもたちや生徒たちの潜在力に驚かされる。今回の子どもたちは、大変素晴らしい行動力と判断力、そして何よりも自己責任感があった。
これからも引き続き子どもたちは日常生活の中で私たち大人が忘れがちな「基本的で大切なこと」にもっともっとたくさん気付かせてくれるに違いない。それだけに、いつも人間として教育者として自分自身の襟を正さねばと感じている。

塩崎

一情報

2010年03月14日 | 日記
桜の綺麗な季節、みなさん、いかがお過ごしでしょうか?
私は日本から帰国してちょうど1ヶ月が過ぎました。ずいぶん長い感じがします。日本のみなさんも懐かしく思っています。
今朝は今まで連絡がなかなか取れなかったミャンマーの北部にいる親戚と連絡が取れました。仕事ができてみんなが喜んでくれました。
今週からは、インターネットが十分ではないけど、少しは使えるようになりました。それで、すご-っく喜んでいましたが、私のパソコンが電源が入らなくなって修理に出すことになってしまいました。パソコンが壊れたかもしれないと心配しましたが、1日で帰ってきて本当に良かったと思いました。
 先日はミャンマー盲人協会会長のティンルイ先生といろいろ話しました。ミャンマーでも最近マッサージが流行ってきていて、今まで仕事がない視覚障害者の人たちが仕事ができて嬉しいと話しました。マッサージができる人たちは収入があるからと言って結婚したいと思う人も増えてきたと話しました。(笑い)良い事ですね。ティンルイ先生も、マッサージはミャンマーの視覚障害者にとって「バラの花」の様だとおっしゃっていました。私の母校であるMCFBの盲学校ではマッサージを2種類に分けています。一つはリラックスのための全身按摩で、もう一つは医療マッサージです。
私は毎週末、母校に行って日曜日は教会が終わった後にトレーニングセンターのほうにタクシーで帰ります。トレーニングセンターは道路から少し離れた角にあるから、タクシーの運転手さんがなかなかわかり難いらしく、迷わないと着かないと言う感じです。
今の時期だけ、トレーニングセンターは、ジャパンハートの宿泊場所も兼ねているので、ヤンゴンを通る先生たちがあちこちから忙しく出入りしています。昨日もカンボジアからお医者さん一人が帰ってきました。一晩泊まって、今朝は6時15分発の飛行機に乗って、ミャンマー中部にあるワチェ病院へ帰られました。私とトレーニングセンターの責任者の河野さんと4時半に起きて見送りに行こうとして下に行ってみたら、もう既に先生は見当たらず出発していました。本当に大変な中でも元気に頑張っています。
みなさんこれからもいろいろとご協力ください。
ダンクンチャン ミャンマー

ミャンマー旅行

2010年03月10日 | 日記
先月末、全国の盲学校を訪問するため、約1週間かけてミャンマー各地を旅行した。仕事も充実していたが、同時に私にとっては、ミャンマー地方部の生活を体験する絶好の機会ともなった。
「三輪車の二台に載るタイプのタクシーでは走行中道に落ちないように集中!」「道端にイスとテーブルを置いて営業するレストランでは蚊やハエが頻繁に飛び回る」「人が手動で動かす踏切では電車ではなく汽車がレトロな音を立ててゆっくりと通り過ぎる」・・・。
そんな旅行中、ミャンマー中部の農村部を通りかかったときに牛車と出会った。「いつか乗ってみたいですね」と言っていた私のために、ドライバーがすぐに車を止め村人に交渉してくださり、初めて牛車を体験した。私たちを乗せた牛車はゴトゴトと静かな音を立てゆっくりと進んだ。空気もきれいで夕暮れ時の農村部の風は肌に心地よく感じられた。
映像や車窓を見て情報を得ることの出来ない全盲の視覚障害者にとって、車から降りて実際に手で触れて感じる経験は大変重要である。視覚以外の全感覚をフルに活用し体全体で様々な経験を積み重ね、時間をかけて知識を増やしていくからだ。時には、視力のある人が見落としている部分に気づくこともある。
それゆえに今回の経験をさせてくださった皆さんに感謝の気持ちでいっぱいだ。まだまだ海外が身近でないミャンマー農村部の人たちにとって白杖を持った日本人に出会うのはおそらくあまりないことかもしれない。だが、すぐに乗せてくれしかもきれいに荷台を掃除しゴザまで敷いてくださった。この村人たちの最大限の心使いが本当にうれしかった。
そして、ミャンマーのためにぜひ自分が出来ることを精一杯したいと改めて思う瞬間でもあった。
塩崎

日本のみなさんへ

2010年03月03日 | 日記
こんにちは。ダンクンチャンです。日本に留学中は4年間大変お世話になりました。感謝の気もちでいっぱいです。寒さが厳しい冬が終わり、日本人みんなが心待ちにしている桜のきれいな暖かい季節になりますね。いかがお過ごしでしょうか?
私は日本で4年間便利な生活をしたので、帰国後は思ったとおりすごく不便な思いをしています。暑い毎日で食欲もなくなるし、日本ではあちこち自由に動いたけど今はどこも一人で白杖を使って移動できません。ミャンマーでは点字ブロックや信号もありません。もう一つの問題はインターネットや電話が日本のように十分普及しておらず、メールなど簡単に連絡が取れないことです。本当に閉じ困られた感じです。先週は日本の先生とJapan Heartのstaff4人とミャンマー全国の盲学校を回ってきました。全国と言っても8校しかありません。又、その中でも学校と言えないところもありました。かなり頑張らなければならないなと思いました。医療マッサージトレーニンセンターの準備もだいぶ進んでいます。勉強にとても強い興味を持っている人もたくさんいます。嬉しいことです。これから医療マッサージトレーニンセンターが始まるのですが、いろんな意味で未熟ですが、できるだけ頑張りたいと思いますので、みんなさんご協力くださるようにどうぞよろしくお願いします。それでは、次回