A Single Woman

洋画、本の完全ネタバレレビューブログ ※作品を観る前、読む前の閲覧厳禁※

ブーリン家の姉妹 The Other Boleyn Girl #2

2013年01月30日 | 映画
 2008 イギリス The Other Boleyn Girl 114分 #2


※※以下ネタバレを含みます※※


 ☆ 感想 ☆

 久々にゴシック様式が出てくる史劇映画を観ました。今回レンタルした5本中2本が史劇で、そのうちの1本です。(もうひとつは『英国王のスピーチ』)日本の大奥とかもそうですけど、本当濃いですよね~人間関係が!しかも、この『ブーリン家の姉妹』に関しては、一人の男性を姉妹で共有してるんですから。感想に移ります。

 元々ベネディクト・カンバーバッチ目当てだったんですが、早々にウィリアム・ケリーは地方に派遣されてしまいました(笑)でもナタリー・ポートマンとスカーレット・ヨハンソンがいるからOKです♪Wikipediaによると、アン・ブーリンは〔黒髪・色黒・小柄・痩せ型〕、メアリー・ブーリンは〔金髪・色白・豊満〕だったそうです。この配役、ぴったりじゃないですか!ナタリーは色黒じゃないですけど、ナタリーって実はただの美人役はほとんど演じていなくて、ストリッパーとか一癖も二癖もある美人役が意外と多く、小柄であの妖艶さを演じれるのはナタリーで正解だと思います。“純粋・素直・金髪”役は『真珠の耳飾りの少女』や『理想の女』を観ているので、私の中でもスカーレット・ヨハンソンで完璧に一致してます。あと、この役をやらせたら今英国俳優で一番っていうのが、最後にメアリーと結婚するスタッフォード役を演じたエディ・レッドメインです。遠くから恋い焦がれる純粋な青年役を演じさせるなら、『レ・ミゼラブル』『マリリン 7日間の恋』のエディが本当似合う!撮影は2006年にしたそうなので、この頃からエディは純粋な青年役がハマり役ということでしょうね。

 この物語はアンとメアリーの愛憎劇なんですが、それよりも大人たちが自分の子供を出世のための餌にした陰謀、といった印象のほうが強いです。己の野心のために父と叔父が子供を国王に差し出し、結果、追い詰められた長女アンと長男ジョージは処刑され、次女メアリーは男児を生んだにもかかわらず、爵位さえも得られずに田舎で暮らすわけです。その後ブーリン卿は一気に転落し、不名誉のまま死去、ブーリン家没落。親には出世の道具、国王には世継ぎを生むマシーンとしか思われていないのが、見ていて苦しいです。それからヘンリー8世が本当に嫌な奴!(笑)最初はアンに惚れてたのに、30分看病したらメアリーに惚れ、メアリーの妊娠中ほとんど見舞いにも来ないで、フランス帰りのお上品なファム・ファタールとなったアンを追いかけ、アンが生んだ子が女の子だったから、ジェーン・シーモアに乗り換えて…と。何なのこの人ー!って、凄くイライラします。国王役のエリック・バナはかっこよかったけど(笑)この映画もまたイギリス映画特有のアンハッピーエンドです。唯一良かったのは、最後にメアリーが“朝起きてから夜眠るまで愛してくれる”スタッフォードと結婚したことです。ハッピーなのは、それくらいですね♪評価するとしたら、★★★☆☆

 読んでいただき、ありがとうございました。

ブーリン家の姉妹 The Other Boleyn Girl #1

2013年01月30日 | 映画
 2008 イギリス The Other Boleyn Girl 114分 #1


 ■あらすじ■

 16世紀、イングランド国王ヘンリー8世(エリック・バナ)には男子の世継ぎがなかった。いら立つヘンリーが愛人を求めていることを知った、野心家のブーリン卿(マーク・ライアンス)は聡明な長女アン(ナタリー・ポートマン)を愛人候補に仕立てる。だが王が目に留めたのは、結婚したばかりの気立ての良い次女メアリー(スカーレット・ヨハンソン)だった。


※※以下ネタバレを含みます※※

 ブーリン家にて次女メアリー(スカーレット・ヨハンソン)の結婚式が行われる。爵位を持たないウィリアム・ケリー(ベネディクト・カンバーバッチ)は「爵位を持つ人が良かったのでは?」と聞くが、メアリーは「朝起きてから眠るまで愛してくれる人がいいわ」と答える。メアリーは美しく、気立てが良く、純粋で素直な女性である。一方、先に嫁がれてしまった長女アン(ナタリー・ポートマン)は長男ジョージ(ジム・スタージェス)と踊る。アンは来客のヘンリー・パーシー(オリヴァー・コールマン)に惹かれている、とジョージに言うと、「彼には婚約者がいる」と言われてしまう。アンは黒髪で痩せていて、聡明でお転婆で魅惑的な女性である。

 宮廷では王妃キャサリン(アナ・トレント)が出産をしたが、また死産であり、ヘンリー8世(エリック・バナ)は愛人を作ることにする。この話をいち早く掴んだ野心家のブーリン卿(マーク・ライアンス)とエリザベス夫人(クリスティン・スコット・トーマス)の弟ノーフォーク公(デヴィッド・モリッシー)はアンを差し出すことにする。エリザベス夫人は反対したが、アンが承諾したため、国王を招くことになる。

 ヘンリー8世がブーリン家に招かれる。国王は美しいアンにたちまち魅了さる。2日目に国王とアンは狩りに出掛けたが帰りが遅く、不穏な空気が流れる。するとブーリン家の使用人スタッフォード(エディ・レッドメイン)が落馬の知らせに来る。話によると、周りが止めたにも関わらずアンは峡谷へと下り、追いかけた国王が落馬したという。これ以上はアンには無理との判断で、メアリーが国王の看病にあたる。国王は気立ての良いメアリーに惹かれ、メアリーを侍女にすることを条件にブーリン家に宮廷の仕事を与えた。メアリーの夫ケリーも宮廷の仕事を貰ったが、遠くへ派遣されてしまう。最初は戸惑ったメアリーだが、国王の優しさに惹かれ、ついに懐妊する。

 アンは、ヘンリー・パーシーとの極秘結婚、初夜まで済ませていた。ジョージは喜びながらメアリーにこのことを伝えると、メアリーは「アンの将来が台なし 早く皆に伝えて」と怒り、ジョージは両親と叔父に報告。呼び出されたアンとパーシーは、命令で結婚無効になり、パーシーは婚約者メアリー・タルボット(ティファニー・フレイスバーグ)の元へ返され、アンはフランスの宮廷へ国外追放になる。そのとき、エリザベス夫人はアンに「女性ならわめかずに男を意のまま操りなさい」とアドバイスする。

 メアリーが出産予定よりも早くに出血し、安静に過ごすために隔離される。国王の気を離さないために、急遽アンを帰国させる。食事の席が随分騒がしいため、国王は「何を話している?」と言うと、アンが振り返る。アンは使者たちに話した内容を国王にすると、国王は僅か2か月で洗練された女性になったアンに魅了される。

 国王は高価な物を贈っても突き返してくる一筋縄ではいかないアンの魅力の虜になる。一方で長男ジョージは、「全てメアリーに頼る気か?」とブーリン卿に言われ、エリザベス夫人はジョージに同情したが、嫌々ジェーン・パーカーと結婚する。メアリーが男児を出産した日、国王はアンに誓いを立て、アンは王妃もメアリーも捨てるならという条件を出し、二人は結ばれる。メアリーは怒るが、アンは国王を奪いフランスへ追放した仕返しだと言い、メアリーを田舎へ左遷する。

 その後もアンは国王を意のままに操り、私生児を産むのは侮辱的だから離婚しなければ子供は産まないと宣言。国王は王妃との離婚を決意。やっと結婚出来るところまできたが、メアリー・タルボットが夫とアンが結婚していたことを告発。証人として、メアリーが呼ばれ、事実ではないと証言する。アンはメアリーに今までのことを謝罪し、メアリーもこれは今までの償いだと言い、二人は和解する。アンはお願いだから傍にいてほしいと懇願し、メアリーはそのまま宮廷に残る。元王妃は去り際に「あなたは彼女に操られ、王の威厳がない」と国王に言い残し、腹が立った国王は嫌がり泣いているアンを姦淫する。

 アンは懐妊し、出産するが女児だった。名前を“エリザベス”と名付ける。その後もアンは懐妊するが、流産してしまう。このときすでに国王との関係は冷め、国王は新しい侍女ジェーン・シーモアを連れていた。アンは流産を国王に隠しており、なんとか隠す方法はないかと弟妹に相談し、アンはジョージに泣きつく。メアリーはその場から逃げ出し、アンはジョージに懇願し、ジョージもベッドへ行く。その一部始終をジョージの妻ジェーン・パーカーに目撃されてしまう。結局ジョージは「これだけは出来ない」とアンに謝って出ていく。

 ジェーン・パーカーにアンとジョージの近親相姦を告発され、二人は裁判にかけられる。ジョージはすぐに有罪判決を受け、処刑される。二人の母エリザベス夫人は「あなたたちのせいで子供を失った」と自分の名誉のために子供を餌食にしたブーリン卿とノーフォーク公を責めた。また、アンも有罪判決を受ける。メアリーは、国王に会いに行き、命だけは助けてほしいと頼み、国王も受諾する。しかし、メアリーの願いも虚しく、アンは処刑される。

 あれからメアリーは以前求婚を受けた使用人だったスタッフォードと子供に囲まれながら、幸せな田舎暮らしをした。

裏切りのサーカス Tinker Tailor Soldier Spy #3

2013年01月29日 | 映画
 2011 イギリス・フランス Tinker Tailor Soldier Spy 128分(R15+) #3


 ●裏切りのサーカス《ネタバレ》前編
 ●裏切りのサーカス《ネタバレ》後編


※※以下ネタバレを含みます※※


 ☆ 感想 ☆

 自分の用事がバタバタしていて、ブログ更新をかなりサボッてしまいました。映画や本を読む時間も全然なくて、かなり久々の更新ですが…。そして今回はやっとやっとやっと観れました~『裏切りのサーカス』。私、コリン・ファースの大ファンなので、シリアスなコリン・ファースが見れるということでかなり期待していた映画です。そしてそして!ミステリードラマ『SHERLOCK(シャーロック)』の主演ベネディクト・カンバーバッチがスマイリーの右腕、ピーター・ギラム役で出演してます。ギラムはコリン・ファース演じるビル・ヘイドンよりも出演時間が長いので必見です。では早速感想へ移ります。

 ゲイリー・オールドマンが出演する映画を初めて観たのですが、素晴らしいですね~。紳士風の容姿に、頭脳明晰でじわじわと真実に近づく姿は、彼以外のスマイリーが想像出来ません。ジョン・ル・カレのスマイリーシリーズは作品も多く、人気もあるのでシリーズ化しても面白そうだなーと思いました。

 ジャンルに分類するとミステリーです。ただ冷戦の時代が舞台なんで、暗さが他のミステリーと比べものにならない…。それでも観たくなる魅力は、“誰が〔もぐら〕なんだ?”はもちろんですが、スマイリーがあらゆる人間関係を洗い、過去と現在を行ったり来たりするシーンが多く、久々に2回観ないと完全に理解出来ない映画に出会いました(『インセプション』以来です)。特に悲しかったシーンは、スマイリー(ゲイリー・オールドマン)がギラム(ベネディクト・カンバーバッチ)に1955年の出来事を語るシーンがあるんです。話が終わってギラムが帰ろうとすると、「今日から君も監視されていると思え 色々整理や片付けをしておけ」とスマイリー。スマイリーのホテルを出て、ギラムはそのままプリドーの家に向かいます。プリドーは突然の来客に驚きますが、話を聞き、ギラムに「好きな人がいるなら言え」と言って部屋を出ます。普通の恋愛が出来ない、もうすぐ殺されるかもしれない。ギラムはプリドーの部屋で声を殺して泣きます。これ、ベネディクト・カンバーバッチの名演技。悲しすぎます。もちろん最後のヘイドンとプリドーも悲しかったです。

 暗い内容なのに、不思議と何度も観たくなります。一つはやはり原作者のジョン・ル・カレの力が大きいと思います。原作力の凄さがこの映画をより良いものにしていると思います。二つめは、過去と現在の交錯です。スマイリーが退職したのは、極秘任務の1年前という設定なので、あまり顔が変わっていなくて、今はどっちの世界?ってなります(笑)見慣れるとその過去と現在との交錯シーンが映画にもたらす重要性に気づきます。とにかく無駄な場面が全然ない!全てが最後に繋がっています。三つめは、イギリス映画に多いアンハッピーエンドであるということです。大抵どこの国の映画もハッピーエンドに終わりますが、実際世の中の終わりはハッピーエンドばかりではないです。だからこそ私はイギリス映画の決してハッピーエンドではないけれど、これの終わり方って凄くしっくりくる、といった映画の結末が大好きです。この『裏切りのサーカス』もまさにそうで、かつて一心同体の親友だったヘイドンとプリドーですが、かたや〔もぐら〕を捜して殺されかけ、監禁・拷問された後、スパイの職を失った元スパイと、自分こそが〈サーカス〉を操る〔もぐら〕であり、親友の命を危険に曝し、のうのうと〈サーカス〉幹部として暮らすスパイが最後に対立します。とてもアンハッピーエンドな展開ではありますが、もしこのシーンが無かったら、一回観るだけでいいやってなります。

 今回ネタバレブログを見て、“あぁ、こういう話なのね”と思った方にも一度は観ていただくことをオススメします。読んでいただき、ありがとうございます。

裏切りのサーカス Tinker Tailor Soldier Spy #2

2013年01月29日 | 映画
 2011 イギリス・フランス Tinker Tailor Soldier Spy 128分(R15+) #2


※※以下ネタバレを含みます※※


 スマイリーはギラムに1955年のある出来事を語る。各国のスパイが亡命を希望した大混乱の時期に、スマイリーは勧誘に行った。その一人である自称ゲルストマンは、ソ連への帰途にあったが、帰れば処刑。「西側に来れば快適な生活が待つ 尋問はするが」といつも通り話した。でもスマイリーは彼と自分を投影させてしまい、妻に関することやあらゆることを話した。それから彼に“ジョージへ アンより 愛を込めて”という贈り物のライターを渡した。だが、その男こそが宿敵《カーラ(マイケル・サーン)》だった。ギラムの帰宅後、スマイリーはもう一つの出来事を回想した。〈サーカス〉で行われたクリスマスパーティ。覆面をしたサンタがソ連国歌を歌い始めて、みんなが笑いながら合唱している中、スマイリーは窓の外を眺めた。窓に映ったのは、自分の妻アンと不倫をするヘイドンの姿がだった…。

 スマイリーとギラムはプリドーが殺害された夜に当直をしていたジェリーを訪ねる。ジェリーはあの日、コントロールの命令で電話担当をしていた。深夜、外務省から最新の連絡が入る。書かれていたのは、“偽造身分証を持つ英国諜報員エリスがブダペストでハンガリーの某将軍の誘拐を試み撃たれた 共犯を捜索中”。驚きのあまり、次の指示を出すことが出来ないコントロール。そこでジェリーは緊急連絡網を使い、スマイリーの家に電話するが、スマイリーはまだベルリンの任務から帰国していなかった。困ったジェリーの元に急にクラブの電信機で知ったというヘイドンが現れ、彼に状況を話した。事態を重くみたヘイドンは、ハンガリー大使館に電話を入れ、ジェリーにハンガリー工作員の拘束を指示した。次にジェリーがヘイドンのオフィスに行くと、プリドーが殺害されたことが分かる。そして二人は、プリドーの部屋へ〈サーカス〉に関わる証拠を消しに行く。プリドーの部屋を片付けている最中、ヘイドンはかつて親友だったプリドーと肩を組みながら笑っている写真を見つけ、自分のポケットにしまうのだった。

 ギラムは、午前1時に電信機は動いていないのになぜヘイドンは知っていたのか、彼が〔もぐら〕なのでは?、とスマイリーに話す。スマイリーは「彼は私の家にいた」とだけ話す。(つまり、ジェリーがスマイリーの家に電話したとき、アンと不倫関係にあったヘイドンがいたため、ヘイドンはプリドーの緊急事態を知っていた。)

 スマイリーはエリス(ジム・プリドー)に会いに行く。あの当時何があったのか。コントロールから“ティンカー テイラー ソルジャー ブアマン”の暗号名で幹部を呼ぶことを指示され、プリドーはハンガリーへ行く。撃たれたプリドーは軍病院に運ばれた後、KGBに監禁・拷問を強いられ、あらゆることを白状した。だが、〔もぐら〕に関する話には口を開かなかった。ある時期から拷問が本格化し、司祭風の小男が拷問を始めた。プリドーの前に女性を出し、「彼女を知ってるか?」と聞いた。プリドーは正直に「知らない」というと、小男は目の前で彼女を射殺。その女性こそが、リッキーが捜しているイリーナだった。それからその男は目立つように“ジョージへ アンより 愛を込めて”というライターを持っていた。その後プリドーは英国に帰された。そのとき現れた〈サーカス〉の幹部はエスタヘイス。彼は1000ポンドと車を渡し、「〈サーカス〉には二度と戻るな 起きたことはすべて忘れろ」と告げたという。

 ついに〔もぐら〕の正体を掴んだスマイリーとギラム。スマイリーはレイコンと大臣に会い、アレリンの“ウィッチクラフト作戦”で匿っているポリヤコフが情報を提供すると見せかけ、本当は〔もぐら〕から情報を受け取り、《カーラ》に渡していると報告するが、大臣は信じない。スマイリーも引き下がらずに、イギリス情報部はアメリカの信頼を得るために、アメリカ情報部との提携まで決めたが、それはまさにソ連が望むままに、自由自在に米国の情報を操作出来るということだった。これには大臣もお手上げで、スマイリーたちに後始末を依頼する。

 まずはエスタヘイスを飛行場まで連れ出し、送還用の飛行機を見せて、全て白状させる。スマイリーとギラムは“ウィッチクラフト作戦”の家を捜索、待機する。それからリッキーはパリへ飛び、パリから電信機を使って〔もぐら〕をおびき寄せる。ロンドンの〈サーカス〉の電信機にリッキーからの電報が入り、リッキーを捜し続けている〈サーカス〉幹部がおびき出された。そこに現れた〔もぐら〕は“ティンカー(アレリン) テイラー(ヘイドン) ソルジャー(ブランド)”の全員だった。しばらくして“ウィッチクラフト作戦”の家で待機しているスマイリーの元に証拠隠滅で現れた〔もぐら〕の本当の黒幕は“テイラー(仕立屋) ビル・ヘイドン”。その後、スマイリーとヘイドンは二人で話し、妻アンとの不倫は、スマイリーはかなりキレる人だが唯一の弱点は妻であると見抜いて、《カーラ》の命令で不倫関係になったこと。プリドーを殺さなかったのは、ヘイドンへの心遣いからであること。プリドーはハンガリーへ発つ前にヘイドンに暗号を教えて、警告していたこと。プリドーは親友のヘイドンが〔もぐら〕だと気づいていた。あのクリスマスパーティの回想をして、ヘイドンは柱の隅で怯えているプリドーに微笑み、プリドーも微笑み返した。

 プリドーはヘイドンの自宅近くへと銃を持って行く。外に出て景色を眺めるヘイドン。そのヘイドンの顔に涙を流しながら銃弾を撃ち込むプリドー。

 スマイリーが家に帰るとアンが帰ってきていた。そして、スマイリーは復職し、〈サーカス〉のリーダーとなった。

裏切りのサーカス Tinker Tailor Soldier Spy #1

2013年01月29日 | 映画
 2011 イギリス・フランス Tinker Tailor Soldier Spy 128分(R15+) #1


 ■あらすじ■

 東西冷戦下、英国諜報部〈サーカス〉のリーダーのコントロール(ジョン・ハート)は、幹部の中にソ連の〈もぐら〉がいるという疑いを持ち、ある指令を出す。しかし作戦は失敗し、コントロールは責任を取って右腕のスマイリー(ゲイリー・オールドマン)と共に組織を去った。その後、引退したスマイリーのもとに組織内の裏切り者を捜せという極秘命令が下る。スマイリーは密かに、残った幹部の4人の中から〈もぐら〉を捜す。しかし、それは自分の辛い過去とも向き合うことだった。


※※以下ネタバレを含みます※※

 英国諜報部〈サーカス〉のリーダーであるコントロール(ジョン・ハート)の家に、ジム・プリドー(マーク・ストロング)が呼ばれる。コントロールはプリドーに重要な情報を持つハンガリーの将軍をイギリスに亡命させるという極秘任務の依頼。早速ハンガリーのブダペストへ飛び、関係者に会い、将軍を亡命させるはずだったが、またもやソ連側に情報が漏れ、プリドーは殺害される。

 この一件でコントロールは責任を取り、彼の右腕で同じく〈サーカス〉の幹部であるジョージ・スマイリー(ゲイリー・オールドマン)は引退を余儀なくされた。退職後ほどなくしてコントロールが亡くなる。またスマイリーの家では妻のアンが家を出ていってしまう。

 〈サーカス〉の幹部アレリン(トビー・ジョーンズ)とブランド(キーラン・ハインズ)はソ連の情報提供者を匿う新しい極秘作戦である“ウィッチクラフト作戦”の経費申請を政府情報機関監視役のレイコン次官(サイモン・マクバーニー)にしていた。しかしレイコンに、昨年のブダペストでの失態や常に情報がソ連側に漏洩する〈サーカス〉をアメリカや大臣は不満に思っていると言われてしまう。

 同時期にレイコンに一本の電話が入る。電話の主の名前はリッキー・ター(トム・ハーディ)。スマイリーの右腕であったピーター・ギラム(ベネディクト・カンバーバッチ)のもとで、ギラムの部下として実働部隊で働いている。リッキーは公衆電話からレイコンに電話し、身元はギラムにだけ聞いてくれと言う。そして彼は〈サーカス〉幹部内に〔もぐら〕がいることを告げる。

 事態を重くみたギラムとレイコン次官は、既に引退していた元〈サーカス〉幹部であるスマイリーを家に呼ぶ。今は外部の人間になったスマイリーに〔もぐら〕の極秘調査を依頼するレイコンだが、「君が私をクビにした」と言い残し、帰ろうとする。だが、レイコンは引退前のコントロールから実は全く同じ話を聞いていたと告げ、コントロールの右腕であったスマイリーはこの件を受諾。スマイリーが〔もぐら〕の極秘調査をするにあたり、スマイリーに忠実であるピーター・ギラムと警視庁保安部の元警部であるメンデル(ロジャー・ロイド=パック)が彼のサポートとして加わる。

 まずスマイリーとギラムはコントロールの部屋へ行く。そこには当時の〈サーカス〉幹部の顔写真が貼られたチェスがあった。「ティンカー(鍵掛け屋)」パーシー・アレリン、「テイラー(仕立屋)」ビル・ヘイドン(コリン・ファース)、「ソルジャー(兵隊)」ロイ・ブランド、「ブアマン(貧乏人)」トビー・エスタヘイス(デヴィド・デンシック)、そしてスマイリー自身も「ベガマン(乞食)」として〔もぐら〕の疑惑をかけられていた。

 スマイリーはギラムに〈サーカス〉から解雇記録を持ってきてもらう。そこにはスマイリーが退職した2週間後に解雇されたコニー・サックス(キャシー・バーク)の名前もあり、スマイリーはサックスに会いに行く。サックスはスマイリーと同じく突然解雇された。それはロシア大使館在ロンドン文化担当官のアレクセイ・ポリヤコフ(コンスタンチン・ハベンスキー)の不審な映像を発見し、エスタヘイスとアレリンに報告したことが元で解雇されたのだった。彼女はプリドーとヘイドンが一心同体の親友だった頃の写真をスマイリーに見せ、古きよき〈サーカス〉を懐かしむ。

 徹夜で調査していたスマイリーは秘密作戦経費の支払い請求書類を見ていた。そこには、ハンガリーで死んだはずのジム・プリドー(偽名:エリス)に対して1000ポンドの支払いがされていた。彼が死んだとされるのは1年前の10月21日。しかし支払われたのは2か月後。実は生きているのではないか…?

 その頃ジム・プリドーは偽名のエリスとして小学校で先生をしていた。学校の担当クラスに彼の死を目撃していた冴えない少年ビル・ローチがおり、プリドーは彼を一目置いて見る。
 極秘調査にあたるスマイリーとギラムのもとについにリッキーが現れる。リッキーがソ連に寝返ったと思っているギラムは、リッキーをボコボコに殴ってしまうが、実は違っていた。昨年リッキーは、ギラムの命令で亡命しそうなソ連使節ボリスの監視のためにイスタンブールに来ていた。ボリスは毎晩遊び歩き、無駄な任務だと思ったリッキーは任務終了とギラムに報告する。そのとき、ボリスの妻イリーナ(スヴェトラーナ・コドチェンコ)を見かけ、彼女が重要になると思い近づくのだが、リッキーは恋に落ちてしまい、普通のデートを楽しみつつ、彼女から秘密も聞き出そうとする。しかしイリーナの正体はKGBであり、〔もぐら〕の話を〈サーカス〉に教える代わりに、イギリスへ亡命させてほしいと言う。だが、あと一歩のところで彼女は何者かに殴られ、オデッサ行きの船で連れ去られてしまう。初めは信じなかったギラムだが、リッキーが〈サーカス〉に〔もぐら〕に関する情報を報告したとされる11月20日のページが破られていた。果たして〈サーカス〉に潜む〔もぐら〕とは誰なのだろうか。