A Single Woman

洋画、本の完全ネタバレレビューブログ ※作品を観る前、読む前の閲覧厳禁※

フィフティ・シェイズ・フリード Fifty Shades Freed #1

2014年09月20日 | Fifty Shades
 アメリカ Fifty Shades Freed E L James (訳)池田真紀子 #1





 「フィフティ・シェイズ」ブログを立ち上げたのに更新できずに申し訳ありません。これで本の「フィフティ・シェイズ」は完結します!来年の2015年2月には映画も公開されますね。ではあらすじです。


 ◾︎あらすじ◾︎

 彼はやっぱり、わたしの運命の人ーーそう確信し、クリスチャンのプロポーズを承諾したアナ。家族の愛に包まれた結婚式に、憧れの地へのハネムーンと、愛する人の妻として過ごす夢のような日々が待っていた。でも、そんな幸せと官能に溺れるふたりのあいだにも、やっぱり火種はつきなくてーー。この愛は本当に永遠なの?究極の愛の形って? 世界中をとろけさせたラブ・ストーリー、第三弾(早川書房Riviera『フィフティ・シェイズ・フリード(上)』より)

 信じあうふたりには、もうハードリミットなんてないはずーー刺激的だけれど、ときに残酷なまでに変わるクリスチャンとの愛の行為。アナは過剰な愛と、リッチすぎる世界にとまどっていた。こんなに彼を愛してるのに、なぜ気持ちがすれ違うの? 幸せいっぱいでも波乱ぶくみのふたりの新婚生活に謎のストーカーの影も忍び寄ってきてーー。話題沸騰、全世界的超ベストセラー三部作、ついに完結(早川書房Riviera『フィフティ・シェイズ・フリード(下)』より)


時間があれば人物詳細についても書きたいと思っていますが、今は書けないので本当に申し訳ないです!

フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ Fifty Shades of Grey

2014年09月20日 | Fifty Shades
 2015 アメリカ Fifty Shades of Grey



 本を読んでからかなりの日数が経ちますが、ついに映画公開日が決定しました。私はマット・ボマーが主演ではなくなったことであまり興味が湧かなくなったのですが(苦笑)、ヒロインのダコタ・ジョンソンちゃん、とても綺麗で美人でアナにぴったりだと思います!ここでは演じる俳優さんと本のキャラクターを並べて、映画公開後の比較材料になればいいな~と。リンクは私が以前書いた登場人物のWikipedia並にネタバレしている人物紹介とキャストの名前を並べていて、押すとキャラクターの詳細だけではありますが、一応出てくるので参考にしていただければと思っています。


 ◾︎登場人物◾︎

 アナスタシア・ローズ・“アナ”・スティール(Anastasia“Ana”Rose Steele)/ダコタ・ジョンソン(Dakota Johnson)


 出演作:『ソーシャルネットワーク』アメリア・リッター、『ビーストリー』スローン・ハーゲン


 クリスチャン・トレヴェリアン=グレイ(Christian Trevelyan Grey)/ジェイミー・ドーナン(Jamie Dornan)


 出演作:『マリーアントワネット』フェルゼン伯爵、『ワンス・アポン・ア・タイム』グレアム・ハンバート保安官


 キャサリン・アグネス・“ケイト”・キャヴァナー(Katherine“Kate”Agnes Kavanagh)/エロイーズ・マンフォード(Eloise Mumford)


 代表作:『THE RIVER 呪いの川』リナ・ランドリー


 ホセ・ロドリゲス(Jose Rodriguez)/ヴィクター・ラサック(Victor Rasuk)


 出演作:『ロード・オブ・ドッグタウン』トニー・アルヴァ、『スティーブ・ジョブズ』ビル・フェルナンデス


 カーラ・メイ・アダムズ(Carla May Adams)/ジェニファー・イーリー(Jennifer Ehle)


 出演作:『抱擁』クリスタベル・ラモット、『英国王のスピーチ』ローグ夫人、『ゼロ・ダーク・サーティ』ジェシカ


 レイモンド・“レイ”・スティール(Raymond“Ray”Steele)/カルム・キース・レニー(Callum Keith Rennie)


 出演作:『メメント』ドッド、『沈みゆく女』ゲイリー


 ロビン・“ボブ”・アダムス(Robbin “Bob” Adams)/ディラン・ニール(Dylan Neal)


 出演作:『ドーソンズ・クリーク』ダグラス・ウィッター、『ARROW/アロー』アンソニー・アイヴォ


 ミスター・キャリック・グレイ(Mr.Carrick Grey)/アンドリュー・エアリー(Andrew Airlie)


 出演作:『ニュースの天才』アレック・シャンパート、『50/50 フィフティ・フィフティ』ロス医師


 ドクター・グレース・トレヴェリアン=グレイ(Dr.Grace Trevelyn Grey)/マーシャ・ゲイ・ハーデン(Marcia Gay Harden)


 出演作:『モナリザ・スマイル』ナンシー、『ダメージ』クレア・マドックス


 エリオット・グレイ(Elliot Grey)/ルーク・グライムス(Luke Grimes)


 出演作:『ブラザーズ&シスターズ』ライアン・ラファティ、『96時間/リベンジ』ジェイミー


 ミア・グレイ(Mia Grey)/リタ・オラ(Rita Ora)


 出演作:『ワイルド・スピード EURO MISSION』


 ジェーソン・テイラー(Jason Taylor)/マックス・マーティーニ(Max Martini)


 出演作:『パシフィック・リム』ハーク・ハンセン、『ザ・ユニット 米軍極秘部隊』マック・ゲルハルト


 ドクター・グリーン(Dr.Green)/アン・マリー・デルイーズ(Anne Marie DeLuise)


 出演作:『マウンテン・ウォーズ ホライズン高校物語』ソフィー・ベッカー、『ヤング・スーパーマン』


 ポール・クレイトン(Paul Clayton)/アンソニー・コネツニー(Anthony Conechny)


 出演作:『GODZILLA ゴジラ』サッチ、『ALMOST HUMAN/オールモスト・ヒューマン』


 アンドレア(Andrea)/レイチェル・スカーステン(Rachel Skarsten)


 出演作:『リスナー 心を読む青い瞳』


 ミセス・ロビンソンがまだ登場しないのは意外。本の『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』の中でも二人の会話にしか出てこないので、まあ仕方ないかもしれませんが。この映画のキャスティングは結構話題になりましたよね。マット・ボマーとアレクシス・ブレデルにしてほしい、と女性たちが署名活動までしました。私もそのキャストの方を希望だったので残念。でもジェイミー・ドーナンが『ワンス・アポン・ア・タイム』に出てきたときの衝撃も覚えてますよ、「何このイケメン!」って!グレアムかっこよかったな~(しみじみ)。ケイトのお兄さんであるイーサン・キャヴァナー役の俳優さんは決まっていないのか、それともイーサンはいないのか。どっちなんだろう、イーサン必要だと思うけど(笑)監督を務めるサム・テイラー=ジョンソンさんの旦那さんで俳優のアーロン・テイラー=ジョンソンさん(最近だとアメリカ版ゴジラの主演でした!)も何かの役で出演するみたいですね。かっこいいので、何の役なのかワクワク。個人的に驚いたことは3つあって、1つはクリスチャンのSPであるテイラー役がマックス・マーティーニ。ドンピシャだと思います…テイラー感が凄い(笑)2つめはクリスチャンの母がマーシャ・ゲイ・ハーデン。クリスチャンの母とアナの母、配役逆じゃない?個人的意見だから別にいいのだけど。3つめはドクター・グリーンとポール・クレイトン、出てくるんですか!本の中でもほとんど出てこないのに映画にはいるのか。びっくり。それにしても本当ダコタちゃん可愛い、美人すぎる。アンドレア役のレイチェル・スカーステンも綺麗すぎてびっくりしました。あとツッコミたいのは、クリスチャン役のジェイミー・ドーナンとエリオット役のルーク・グライムスの顔なんか似てるわ~(笑)兄弟だけど一応二人とも養子の設定だから、別に顔は似てなくてもいいはずだけど。2015年2月13日公開なので、興味のある方は観てみてください。

時間があれば『フィフティ・シェイズ・フリード』の記事も書けたらな~と思っています。
 

SHAME ーシェイムー Shame #2

2013年09月13日 | 映画
 2011 イギリス Shame 101分 #2


 ☆ 感想 ☆

 世界中の映画賞を総ナメにし、日本では昨年公開された超話題作。『17歳の肖像』を観て以来キャリー・マリガンに魅了されて、ずっと観たかった映画をついに観ました!一応この一つ前の記事が『SHAME ーシェイムー』の完全ネタバレレビューになるわけなんですが、このタイプの映画は誰が観ても同じ意見・同じ捉え方になるわけではないので、私の書いたネタバレ記事はあくまで参考であり、あのネタバレが正確なわけではないということをまずはご了承ください。

 では感想です。とにかく主人公はずっとセックスしてます。しかもモザイクないし(笑)出演している俳優、女優の根性が凄いと思いました。ただこの映画のセックスシーンの最大の特徴は、あれだけ見えちゃってるのに全然エロくないんです。というのもブランドンは感情を捨てて交じわり合っていて、しなきゃいけない!せずにはいられない!という使命感の元しているため、セックスに対して何の喜びも見出してないし、欲情とか興奮とは別の何かによって彼はしているんです。だからブランドンとしてもお金払ってるから、一晩だけだからというかんじだし、女性側も同じ。なのでエロを期待する人にはオススメしないです。

 ブランドンとシシーは果たしてどんな兄妹なのかというとストーリーでも書いた通り、兄はセックスでしか人と関われないセックス依存症で、妹は常に誰かに愛されていたい振り向いていてもらいたいと渇望する恋愛依存症。全く対極にいるようにかんじますが、どちらも根底にあるのは“愛”だということです。この二人の子供時代など過去の話は一切出ないため推測ですが、シシーの「私たちは悪い人間じゃない。悪い場所にいただけ。」という言葉から察するに、二人は育児放棄されてたのかなと。だから兄は妹を守り、妹は兄を慕って過ごしてきた。しかし年月が経ち、お互いに違った方法で人と関わり始めたけど、シシーが来たことでブランドンにもシシーにも大きな変化があって、シシーの自殺未遂をきっかけに兄は感情を取り戻し、自分のしていたセックスとはシシーのリストカットと一緒だった。それこそが<本当のシェイム>で、決して感情が無いわけではなく、せずにはいられない、自傷することで生きている実感を得る。これが依存症の怖さということではないかなと。だからブランドンは家を飛び出してあらゆる性を処理できる場所を彷徨ったとき、泣いていたのかと。ブランドンが街を彷徨い、シシーが自殺未遂をするのはわずか1日の間の出来事で、映画の中でブランドンの本当のシェイムが分かるとても象徴的なシーンでした。

 正直映画を観る前はDVDを買ってもいいかな~と思っていたんですが、批評家たちが絶賛するだけあって、内容も難しいし観ていて苦しくなるんで買わなくて良かったです。内容の苦しさに反して、映像や音楽がとてもきれいというところで観る者は救われます。なんというか良い映画鑑賞経験ができたなと。『私を離さないで』を読んだ感覚に近いものがあります。イギリス映画の物寂しさを久々に味わいたくて借りたんですが、その使命を充分に果たしてくれる映画でした。

 映画の合間合間にセリフがないシーン、クラシック音楽しかないシーンというのがあって、観ていて苦しくなるのは必須ですが、映像と音楽の美、そして出演した俳優たちの演技を観たいという方にはオススメの映画です。

SHAME ーシェイムー Shame #1

2013年09月13日 | 映画
  2011 イギリス Shame 101分 #1


  ■ストーリー■

  彼は依存していた。
  転がり込んできた妹の存在が、彼のギリギリの均衡を崩していく。
 セックスを隠れ蓑に男がひた隠しにする、本当の恥部<シェイム>とは―。
 NYに住み、仕事もスマートでソツのない独身男ブランドン(マイケル・ファスベンダー)。彼は、仕事以外のすべての時間を<セックス>に注ぎ込んでいる。中毒といっても過言ではなかった。行きずりの女性やプロの女性との一夜限りの情事、シャワールームやオフィスのトイレでのマスターベーション、ネットのポルノ動画の収集・・・ありとあらゆる性欲を処理する行為により、日々をやり過ごしていた。
 そんなブランドンの確立されたシングルライフを過ごすアパートに、妹のシシー(キャリー・マリガン)が転がり込んでくる。他者の愛を渇望し、激情の塊となって生きるシシー。人との心の繋がりを一切求めず、感情を排して生きてきたブランドン。ふたりは激しく衝突し、想いはすれ違い、それぞれの孤独を更に色濃くさせていく。
 そんなある日、ブランドンの元に衝撃的な連絡が届く―。


※※以下ネタバレを含みます※※

 地下鉄で見かけた若い女性(ルーシー・ウォルターズ)を追いかけたが逃げられてしまった…。ニューヨーク・マンハッタン。この一等地に居を構える独身・ブランドンは今夜もプロの女性との一夜の情事に耽る。そして会社に出勤する前に留守電を聞くと相変わらず妹のシシーが留守電を残していた。

 出勤するとブランドンの机からパソコンが消えていた。上司のデイヴィッド(ジェームズ・バッジ・デール)からウイルスに感染していたから修理に出したと告げられる。オフィスのトイレでのマスターベーション、ポルノ収集…独身、ハンサム、会社の稼ぎ頭で高給取りのブランドンの仕事以外の生活は全てセックスに注がれ、また感情の無い肉体関係でしか人と接することができない。

 ある日同僚たちとクラブに足を運ぶ。デイヴィッドは女好きで美人のキャリアウーマンをナンパするが、話術・テクニック共に低く、キャリアウーマンはたまたま通りかかったブランドンに惹かれ、二人は野外でセックスする。ブランドンが家に帰ると音楽がかかっていて、シャワーの音がする…。バットを持ってバスルームへ行くと、そこには妹のシシーがいた。シシーはどうしても泊めてほしいと懇願し、ソファで寝てブランドンの出勤前に起きることを条件に許可する。その日の夜、ブランドンがポルノを見ていると、部屋からシシーの電話の声がした。シシーは恋人に振られ、愛に飢えた激情となっており、人との密接な関わりを欲していた。その電話を盗み聞きするブランドンは悲しい表情を浮かべていた…。翌朝シシーはニューヨークのクラブで歌うことを報告し、ブランドンは出勤する。会社でデイヴィッドに会うと昨夜のことを聞かれたが何も無かったと答え、夜は二人でシシーがステージに立つクラブへ行く。シシーが『ニューヨーク・ニューヨーク』を歌い終えて二人のテーブルへ行くと、デイヴィッドはシシーを口説いてブランドンの家に行き、ブランドンのベッドでセックスする。ブランドンがシーツを剥いで寝ているとシシーが来て、出ていけ!と怒鳴る。後日ブランドンのパソコンが返ってきたがデイヴィッドに呼び出され、ポルノだらけで下劣だ、と自分のことを棚に上げてブランドンは叱られる。

 ブランドンは会社の同僚である黒人女性のマリアンヌ(ニコール・べハーリー)とデートをする。マリアンヌには離婚歴があり、二人の最初のデートは順調だった。会社でマリアンヌを見たブランドンはキスをし、二人は会社を抜け出してホテルへ行く。しかし、心を通わせたセックスではブランドンのモノが全く機能せず、ブランドンは普通の恋愛を諦めた。家でマスターベーションをしているところをシシーに見つかり、大喧嘩になる。これを機にブランドンは家中にあるポルノを全て捨てるが、彼のセックス中毒はそう簡単には収まらなかった。

 シシーがいるため家に女性を呼べないことで自分のバランスが崩れていくブランドンと、人から愛されることに飢えているシシーのすれ違いは日に日に増して行き、ある日ブランドンはシシーに、“どうして上司のデイヴィッドと寝た?彼は既婚者だと知っていただろう。”と問い詰めたことを発端に、二人は言いたかったことを撒き散らし、ついにブランドンはシシーに出ていけと言い、ブランドンは家を飛び出して今までの霧を消すかのように夜の街へと繰り出す―。

 バーで女性を引っ掛けたがその彼氏にボコボコにされ、ゲイのハッテン場へ行って奉仕され、最後にはプロの女性2人との3Pに及んだがブランドンの表情は悲しかった…。携帯電話の留守電に「兄さんお願いだから電話に出て。私たちは悪い場所にいただけ。悪い人間じゃない。」というシシーからのメッセージがあったが聞かずに地下鉄へ乗り込んだ。下車しようとすると事故があったらしく、地下鉄の駅には救急車が来たり担架が運ばれたりしていた。悪い予感を感じ取ったブランドンは全速力で家に帰るとそこには―――

 寂しさのあまりバスルームで手首を切って血塗れになっているシシーの姿があった…。叫び、喚き、取り乱しながらも急いで救急車を呼び、シシーは病院で手当を受けて一命を取り留めた。

 そしてシシーの目が醒めると、ブランドンは雨の中、冬の冷たいニューヨークの港へと行く。そして膝から崩れ落ち、感情を露わにして泣くのだった。彼がセックス依存症を隠れ蓑にした<本当のシェイム>とは、シシーのリストカットと自分のセックス依存症は形は違うが自傷行為だった。ブランドンはセックスをすることで、シシーは切ることで、自分を傷つけ生きる実感を得ていた。

 しばらくして再び地下鉄に乗り込んだブランドン。そこには以前見かけた若い女性が自分を見ていた。前と違い女性からアプローチしてきたが、ブランドンはもう追いかけたりしなかった。

長い酷暑 HEAT WAVE

2013年03月10日 | 読書
 アメリカ HEAT WAVE Richard Castle (訳)入間眞


 本の紹介をする前にこの本が出版されるまでの経緯を説明します。

 ――海外ドラマ『キャッスル ミステリー作家のNY事件簿』シーズン1で、何を書いても大ヒットしてしまうことに飽き飽きしていた人気ミステリー作家リチャード・キャッスル(ネイサン・フィリオン)の本を模倣した事件が起こり、キャッスルを参考人として聴取したことからケイト・ベケット(スタナ・カティック)たちと知り合う。今の生活から抜け出すために、キャッスルのファンであるNY市長のコネを使い、ケイト・ベケットをリーダーとするNY市警12分署殺人課に作品の調査という名目で無理矢理捜査に参加。シーズン1途中でベケットをモデルにした“ニッキー・ヒート”シリーズを執筆中であるとベケットに報告。シーズン2で『HEAT WAVE(長い酷暑)』を出版。その後も『NAKED HEAT』『HEAT RISES』『FROZEN HEAT』を出版し、ベストセラーとなり、映画化も決定する。


 ■あらすじ■

 記録的な熱波に襲われたニューヨークで、高級アパートメントの六階からひとりの男が墜落死する。男の名はマシュー・スター。総額数千万ドルの絵画コレクションを所有する不動産業界の大物だ。検死の結果、遺体から特徴的な六角形の指輪の殴打痕が発見され、殺人の疑いが強まる。NY市警殺人課の女性刑事ニッキー・ヒートは同行取材中の記者ルークとともに捜査を開始。やがて、被害者と齢の離れた若妻それぞれに怪しい過去や愛人の存在が判明し、次々と容疑者が浮かび上がる。二転三転する捜査、果たして犯人は誰なのか……!?(ヴィレッジブックス『長い酷暑』より)


※※以下ネタバレを含みます※※


 ☆ 感想 ☆

 『キャッスル ミステリー作家のNY事件簿』がそのタイトルの通り、キャッスルを中心にキャッスル目線でストーリーが進んでいるのとは対照的に、あくまでキャッスルが書いたということではありますが、この『長い酷暑』ではヒート目線でストーリーが展開されます。簡単にいうともう一つの『キャッスル』の物語といったかんじです。簡単にキャラクター紹介!

 物語の主人公ニッキー・ヒートはケイト・ベケットがモデル。本書が発売された2009年時点で29歳。女性ながら20代でNY市警殺人課まで上り詰める聡明さと行動力のある美人で硬派な刑事。ノースイースタン大学の学生だった19歳の感謝祭の日に、自宅で母親を殺害され、刑事を目指すこととなる。ルークが近づくたびに、頭の考えとは裏腹にドキッとしてしまう自分に困惑している。
 ヒートに同行する記者ジェームスン・ルークはリチャード・キャッスルがモデル。ピューリッツァー賞受賞経験もあり。NY市警殺人課の記事の取材でヒートの班に同行中で、殺人現場で冗談を言ったり、ヒートの皮肉混じりのきついジョークも笑って返す軟派な記者。ヒートには鬱陶しく思われているが、同僚のオチョアとラリーとはクイズを出したり、冗談を言い合ったりと仲が良い。母親のマーガレットは有名な舞台女優。記者らしく事件関係者に鋭い質問をしたり、著名人や判事、裏業界に至るまで、あらゆる記者としての人脈を使い、チームの手助けをしている。
 ヒートの同僚オチョアはエスポジートがモデル(オチョアは既婚者)。同僚のラリーはライアンがモデル。ヒートはこの二人のことを親しみを込めて“ローチ(ゴキブリ)”と呼んでいる。ヒートの親友で検死官のローレン・パリーはラニがモデル。頼れる上司モントローズ警部はモンゴメリー警部がモデル。

 “キャッスルが書いた”ということをかなり強調していて、本の裏にある著者の写真がネイサン・フィリオン(笑)さらにキャッスルから読者への後書きがちゃんとある等、ファンとしてはこれ以上ないほど満足してます。実際は誰が書いたのか分かりませんが、内容も手抜きせずに書かれていました。特に本の魅力は、ドラマのキャッスルとベケットはお互いに惹かれあいながらも仕事のパートナー以上の関係には進みませんが、本書ではそのやきもきを解消出来ます。さらに、ヒートの私生活が垣間見れるのもこの本の魅力です。ある意味、“『キャッスル』の『キャッスル』のスタッフよる『キャッスル』のファンのためのミステリー小説”というわけです。読んでて、「これ、あのエピソードのあの場面に似てる!」なんていうのもあります。そして、チームの“ルークいじり”も健在です(笑)

 本書はドラマのファンもファンでない人も楽しめると思います♪何となく犯人の検討はついてしまうのですが、その巧妙な手口と「ショータイム!」と言わんばかりのヒートたちの証拠の突き付け方は圧巻です。もし“ニッキー・ヒート”シリーズの次回作の日本語訳出版を検討中なのであれば、出版してほしいです。『キャッスル』のファンのために、ミステリー小説のファンのために!(笑)



P.S.『キャッスル ミステリー作家のNY事件簿』と『BONES 骨は語る』って似てますよね~。男女コンビで、どちらかが本を出版していて、片や普通の公務員で、もう一人は印税でリッチなセレブリティ。女性の方の母親は共に殺害されていて、憶測より証拠重視の硬派なタイプ。男性の方は推測や直感、勘を重視する軟派なタイプ。(ブレナンとブースはシーズン6で結ばれましたが)友達以上恋人未満の関係。チーム内で仲間が恋愛関係になっていても、温かく見守る。⇒こういうドラマって好き嫌いがきっちり分かれますが、私は好きです。余談まで読んでくれた方に感謝いたします。