A Single Woman

洋画、本の完全ネタバレレビューブログ ※作品を観る前、読む前の閲覧厳禁※

フィフティ・シェイズ・ダーカー Fifty Shades Darker #6

2013年03月05日 | Fifty Shades
 Fifty Shades Darker E L James (訳)池田真紀子 #6


※※以下ネタバレを含みます※※


 ☆ 感想 ☆

 まずは『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』リストを作りました。今までの記事のまとめです。ネタバレ記事なので、まだ読んでいない方などの閲覧はご遠慮いただいたほうがよろしいかと思います。

 いや~、ついに発売されました『フィフティ・シェイズ・ダーカー』。前作よりも面白かったです!なぜなら、最初から最後までとにかくドラマチック。あんなに色々事件が起きたのにわずか一週間弱しか経っていないという(笑)それに前作では、契約内容についてばかり話し合っていて先が全く見えなかったんですが、今作ではクリスチャンがアナを取り戻すために契約を放棄します。晴れて普通の恋人同士となりますが、そこには過去の亡霊が付きまといます。クリスチャンの元サブミッシブや元ドミナント、そして生い立ちです。前作はどうにかしてクリスチャンを手に入れたかったアナが葛藤しますが、今作では語り手がアナであることには変わりませんが、クリスチャンの葛藤がメインです。15歳の思春期のときから大学中退までミセス・ロビンソンに身を捧げたクリスチャンには、純粋な青春時代がありませんでした。そして恋愛経験ゼロの純粋なアナに会い、ある意味精神年齢が合ったのだと思います。あのクリスチャンがアナに心を捧げたのです。

 今作のポイントは、前作の謎だった部分があらゆる人の話を通し、点と点が繋がるところです。そして、ミセス・ロビンソンはやはりキー・パーソンでした。喧嘩ばかりして2度も退学処分を受けたクリスチャンが、どうやってハーヴァード大学政治経済学部に入学できるほどの優秀な学生になったのかなど、ミセス・ロビンソンの教えた新しい発散の方法はクリスチャンに効果覿面だったようです。華麗な振る舞い方やダンス、音楽、言葉遣いからビジネスに至るまでほとんどがミセス・ロビンソンのおかげでした。読んでて「まるで、男版マイ・フェア・レディみたい♪笑」と思って笑ってしまいました。笑ったといえば、クリスチャンの財力の凄さ!何でもかんでも買収(笑)スケールが毎度大きすぎてもはや面白くかんじます。そして作者のE・L・ジェイムズさん、今回も謎を残してくれました。2つあるのですが、1つは、ジャックを解雇して、ジャックのコンピュータの中にアナとクリスチャンの私的なメールとは別に、もっと重要なデータを保存していたそうですが謎のまま…。2つ目はクリスチャンの〈チャーリー・タンゴ〉墜落事件で電気系統を破壊した犯人はもはやあの人しか思いつきませんが、どうやって侵入したのかというところが謎のままです。なので、完結編で暴いてほしいところです。

 今作で婚約したアナとクリスチャンですが、私は今回登場出番の少なかったキャラクターたちの恋愛模様が気になって仕方がありません。例えば、ケイトとエリオットのバルバドス旅行での思い出とか、『Twilight』のアリスとジャスパーにあたる、ミアとイーサンの恋の行方。特にイーサンの気持ちは分からなくもない。だって、妹の親友がグレイ家の次男と付き合っていて、妹が長男と付き合っていて、さらに自分が長女と付き合うとなると…ここまでの“THE 世間は狭い”ってなかなかないですもん(笑)それから、ドクター・フリンと妻リアンのやり取りは面白かったです。本を読むのと同時に映画の空想もしていたのですが、私の中で、ドクター・フリンが実は結構若くて、イギリス人と読んですぐに浮かんだのが、白衣を着たユアン・マクレガー!端役すぎて絶対に断るだろうけど。ドクター・グレース・グレイは、ヘレン・ハントとかが似合いそう。エリオットはチャイニング・テイタムとかどうだろう?ミアはパッと浮かんだのがクリステン・リッターだけど、もっと若い黒髪が似合う人が思いつかない。ミセス・ロビンソンはマリア・ベロなんてどうかな~?逆にクリスチャンはマット・ボマー以外思いつかない!!アナはアレクシス・ブレデル!!!他の面々はまだ悩んでます。まあ、偉そうに俳優たちの名前並べて私は何様なんだ(笑)

 なんと今月にも完結編『Fifty Shades Freed(原題)』が発売されるそうなので、また楽しみに待ちます。


P.S.書き忘れた!上巻の前半でアナとクリスチャンはヨリを戻すんですが、そのときにクリスチャンはアナに大きなプレゼントを渡すんです。アナが帰宅して中を見ると、別れたときに返したものが…。そしてクリスチャンは新たにipadをあげます。ipadにはクリスチャンの想いがこれでもかというほど詰まっていて、新たに追加された曲を見ると、COLDPLAYの『The Scientist』が入っていて、これを聴いてアナは号泣してしまいます。それで何が言いたいのかというと、この『The Scientist』の歌詞!私はCOLDPLAYのファンなので幸いにも歌詞を知っていまして、これを読んだとき、クリスチャンの気持ちが痛いほど伝わってきました。『フィフティ・シェイズ・ダーカー』のためにあるような歌詞で、今までもただでさえこの曲にジーンとしていたのに、より感傷的な気分になってしまいます。一度聴いてみてください。

フィフティ・シェイズ・ダーカー Fifty Shades Darker #5

2013年03月04日 | Fifty Shades
 アメリカ Fifty Shades Darker E L James (訳)池田真紀子 #5


 前作同様、『Fifty Shades』シリーズ第2弾の本文中にある詳細な情報を(Wikipedia並に詳しく!)書きます。これから本を読む方はネタバレ記事の閲覧はご遠慮下さい。


 *登場人物(クリスチャンの関係者)*

 ジェーソン・テイラー(Jason Taylor)
 クリスチャンの付き人。元軍人で、あらゆる乗り物の運転や武器の扱いに精通し、さらにはレイラがアナを狙ってストーカーを始めてからクリスチャンがセキュリティを強化した際にセキュリティ・チームの指揮を執った。クリスチャンの家に住み込んでいて、テイラー専用のオフィスやキッチンとバスルーム付きの部屋がある。離婚した妻との間に7歳の娘がいる。アナとテイラーが軽くお喋りをしたら、嫉妬したクリスチャンに激しく叱られた模様。レイラがアナとケイトのアパートメントに侵入した日、午後にも部屋を点検したのにレイラを見つけられなかったためにアナを危険に曝した、と自責の念を感じていて、これにはクリスチャンもアナもテイラーのせいではないと励ました。今作でもどこからともなくクリスチャンと共に現れ、アナを危険から何度も救った。

 エレナ・リンカーン“ミセス・ロビンソン”(Elena Lincoln“Mrs.Robinson”)
 クリスチャンの師であり、友人であり、ビジネスパートナーである。〈グレイ・エンタープライズ・ホールディングズ〉の美容部門を運営していて、自身も一部のサロンに顔を出している。ボブカットで天使の輪のように艶のあるプラチナ・ブロンドの髪、整った顔立ち、抜群のスタイル、小麦色の肌をした年齢不祥の超絶美女。クリスチャンに連れられて行ったサロンで奇遇にもアナと会い、以来事あるごとにアナに接触しようとしてくる。製材業大手会社の社長と結婚したが、いわゆる“トロフィー妻”でミセス・ロビンソンの外出や外で仕事をさせないなど、全て支配する男だった。クリスチャンがまだ15歳のときに、このままでは刑務所暮らしも有り得るような生活から違う選択肢があることを教え、性的関係を持つ。その後、長年の関係がミセス・ロビンソンの夫に知られ、結婚生活は破綻し、元夫にクリスチャンは仕返しされた。そういった関係ではあるが、二人は友人でもあり、大学を中退したクリスチャンに会社設立のために10万ドル出資した。クリスチャンからは友人であり、ビジネスパートナーと認識されているが、本人は自分はクリスチャンの救世主で今でも友達以上恋人未満と思っているようである。最終的にアナに接触を試みるだけでは済まず、婚約について口を出し、アナにカクテルを顔にかけられ、罵られた。そのあと、クリスチャンも割って入り、ついにはビジネスパトナー解消という結果になってしまった。最後は異変に気づいたドクター・グレイによって、家から追い出される。

 レイラ・ウィリアムズ(Leila Williams)
 クリスチャンの元服従者(サブミッシブ)。整った顔立ちで、血の気のない青白い幽霊のような肌をしていて、髪はブルネットで、バーボンのような茶色の瞳をしたアナにそっくりな女性。アナとクリスチャンが自分には許されなかった恋愛関係を築いていることに嫉妬して、アナとクリスチャンが州立大学の卒業式で撮った写真が出回り始めてからストーカーになった。明るい性格だったが、2年半前にクリスチャンに普通の恋愛関係を望んだため、拒絶されて関係が破綻。すぐに別の男性と結婚するが、4ヵ月前に他の男性と駆け落ちした。しかし、その男性が3週間前に交通事故死してしまい、以来精神を病んで、以前関係があったクリスチャンと恋人アナをストーカーし始めた。初めはアナとクリスチャンがジョージアにいたときに〈エスカーラ〉に侵入して、ミセス・ジョーンズの前で手首を切った。6月9日に〈SIP〉の前でアナを待ち伏せ、その日銃所持許可の申請がくだり、クリスチャンはセキュリティを強化した。11日深夜には非常階段から〈エスカーラ〉のクリスチャンの部屋に侵入して、クリスチャンのベッドで眠るアナを観察していた。13日にイーサンを迎えに来たアナを部屋の中で銃を構えて待っていた。異変に気づいたクリスチャンとテイラーが部屋に突入して、最終的にはレイラをドクター・フリンのいる精神科病院に入院させた。

 ドクター・ジョン・フリン(Dr.John Flynn)

 クリスチャンのセカンド・オピニオンで精神分析医。グレイ夫妻宅での慈善パーティに来場していて、クリスチャンを妬かせるためにわざとアナのダンスパートナー・オークションを吊り上げた。背は高く、年齢は若い。イギリス・ロンドン出身で、イギリス訛りが特徴。リアンという妻がいる。

 ミセス・ゲイル・ジョーンズ(Mrs.Gaie Jones)

 クリスチャンの〈エスカーラ〉で働く家政婦。ミセス・ジョーンズ専用のキッチンとバスルーム付きの部屋がある。朝食から夕食まで素晴らしい料理をクリスチャンとアナに提供する。基本的に働くのは、平日のみである。

フィフティ・シェイズ・ダーカー Fifty Shades Darker #4

2013年03月04日 | Fifty Shades
 アメリカ Fifty Shades Darker E L James (訳)池田真紀子 #4


 前作同様、『Fifty Shades』シリーズ第2弾の本文中にある詳細な情報を(Wikipedia並に詳しく!)書きます。これから本を読む方はネタバレ記事の閲覧はご遠慮下さい。


 *登場人物(クリスチャンの関係者)*

 ミスター・キャリック・グレイ(Mr.Carrick Grey)
 クリスチャンの父親。アナといるクリスチャンが昔の姿とはまるで想像がつかないくらい生き生きとしていたため、グレイ夫妻の自宅(クリスチャンの実家)で行われた仮面を付けた慈善パーティでアナにうっかりクリスチャンを家に迎えた頃の話をしてしまった。

 ドクター・グレース・トレヴェリアン=グレイ(Dr.Grace Trevelyn Grey)
 クリスチャンの母親。クリスチャンにとっては母である以上に、どん底にいた自分を救い、引き取ってくれた天使で、尊敬している。クリスチャンが家族の中で一番最初に婚約を伝えたのもドクター・グレイ。クリスチャンとミセス・ロビンソンの仲は薄々察していたようで、婚約にまで口を出すミセス・ロビンソンをパーティから追い払った後、突然喧嘩をやめたクリスチャンの思春期に何があったのか、クリスチャンの口から全て聞くこととなる。クリスチャンたちの子供時代によく言っていた教育方針は、“楽器・語学・武術”。

 エリオット・グレイ(Elliot Grey)
 クリスチャンの兄でケイトの恋人。キャヴァナー家のバルバドス旅行に一緒に参加して、その明るくて温かい性格はケイトの兄であるイーサンにまで影響を与えた。語学面ではスペイン語し、楽器はギターを弾き、武術は柔道が出来る。ノリの軽い人物で、クリスチャンにも家族にしか通じないような軽いノリの言葉で話しかける。

 ミア・グレイ(Mia Grey)
 クリスチャンとエリオットの妹。グレイ家に引き取られてもなお、心を開かなかったクリスチャンにとって、小さくて可愛い完璧なミアは希望の光であり、ミアが来たことは嬉しくてたまらなかった。得意な語学はフランス語で、ヴァイオリンを演奏することが出来る。慈善パーティでアナに会い、寄付金集めのダンスパートナー・オークションにアナを半ば強制的にステージに立たせた。そのときに、10代初めの頃のクリスチャンがどれだけ荒れていたか、そして15、6歳のときにピタリと反抗がとまったことを話した。6月16日にアナとランチを取る約束をしていたが、昇進して忙しくなったアナに代わってランチに来たケイトの兄イーサンに一目惚れした。次の日、クリスチャンの安否確認のために〈エスカーラ〉に来ていたイーサンに告白するが、ミアの兄エリオットと妹ケイトが付き合っていて、さらに自分たちが交際するのはあまりにも近すぎて近親相姦みたいだ、と深く考えられてしまい、断られた。断られてもなお、イーサンを諦められなかったミアは、18日のクリスチャンの誕生日兼婚約披露パーティでアナにどうしたらイーサンを振り向かせることができるか相談。アナからは「私よりもケイトのほうがイーサンを知りつくしてるわよ」とアドバイスされた。

フィフティ・シェイズ・ダーカー Fifty Shades Darker #3

2013年03月04日 | Fifty Shades
 アメリカ Fifty Shades Darker E L James (訳)池田真紀子 #3


 前作同様、『Fifty Shades』シリーズ第2弾の本文中にある詳細な情報を(Wikipedia並に詳しく!)書きます。これから本を読む方はネタバレ記事の閲覧はご遠慮下さい。


 *登場人物(アナの関係者)*

 キャサリン・アグネス・“ケイト”・キャヴァナー(Katherine“Kate”Agnes Kavanagh)
 アナの親友でルームメイト。家族と恋人であるクリスチャンの兄エリオットとバルバドス旅行に行っていた。予定を延長して16日間バカンスを楽しみ、帰国して前より痩せているのに輝きが増したアナを見て驚嘆した。みんなで再会を楽しんでいるときにクリスチャンが〈チャーリー・タンゴ〉ごと行方不明であるとエリオットから連絡を受け、クリスチャンの家に安否確認に行った際、アナとクリスチャンが以前結んだ“契約”の断片ともいえる紙を発見してしまい、次の日のパーティで問い詰めたが、アナから「婚約発表を台無しにしてほしくないし、私は幸せだから」と説得され、二人を祝福した。

 ホセ・ロドリゲス(Jose Rodriguez)
 アナとケイトの友人。写真を撮ることが好きで、ポートランドで個展を開いた。まだアナに対して未練がある模様。以前アナに無理矢理キスを迫ったことから、クリスチャンからは相変わらず嫌われている。しかし、互いに趣味が釣りだと分かってからは打ち解けた。

 イーサン・キャヴァナー(Ethan Kavanagh)
 ケイトの兄。ケイトと両親とクリスチャンの兄エリオットとバルバドス旅行に行っていたが、ケイトとエリオットより早く帰国した。6月13日に帰国し、ケイトとアナのアパートメントに一緒に住む予定だったため、アナの会社に部屋の鍵を取りに行き、帰りに友人に会ったため、帰宅が若干遅れた間に、家にレイラが侵入し、アナを待ち構えていた。イーサンに何かあったらと考えていたアナは、テイラーに部屋から引きずり出され、エントランスで待機させられていたイーサンを見て、安堵で泣き出してしまう。その後何度かアナの勤務する〈SIP〉に会いに行き、その度に受付嬢クレアをクラクラさせている。6月16日に編集長代理になり、忙しくなったアナに代わって、クリスチャンの妹であるミアとのランチに行った際、ミアに一目惚れされる。イーサンも満更ではない様子だったが、妹ケイトとミアの兄エリオットが付き合っていることを考え、その妹と付き合うとまるで近親相姦みたいだと深く考えすぎて、ミアからの告白を断ってしまう。クリスチャン目線だと、イーサンもアナを狙う脅威と見なされ、敵意の目を向けられている。バルバドス旅行でエリオットの影響を受けて、“またな(レーターズ)”が口癖になってしまった。

 ジャック・ハイド(Jack Hyde)
 〈SIP〉の編集長でアナがアシスタントをしている上司。クリスチャンは以前からジャックのアシスタントが3ヵ月以内に退職していることに目を付け、アナを守るために〈SIP〉を買収した。案の定、ジャックはアナとクリスチャンの私的なメールを盾に性行為を強要したが、アナに蹴られ、ちょうど駆け付けたクリスチャンとテイラーに取り押さえられ、その場で解雇された。腹いせにクリスチャンへ報復を企てている模様…。

 クレア(Claire)
 〈SIP〉の受付嬢。アナと同年代で、アナが会社で親しくしている同僚の一人。アナを訪ねてくる友人(ホセとイーサン)が揃いも揃って美男であるため、クラクラしている。

 カーラ・メイ・アダムズ(Carla May Adams)
 アナの母親。今は4番目の夫ボブとジョージア州で暮らしているが、LAに戻るか検討中である。3番目の夫の名前はスティーヴ。アナから電話で婚約したことを聞き、娘を祝福した。

 レイモンド・“レイ”・スティール(Raymond“Ray”Steele)
 アナの義父でアナの母の2番目の夫。アナが認める唯一の父親。元軍人であるため、アナが小さい頃から銃の扱いや相手を倒す武術を仕込んだため、アナはジャックから逃げることができた。クリスチャンはレイに直接電話して、アナとの結婚の承諾をもらった。6月18日にホセとその父親で軍時代の仲間だったホセ・シニアと釣りに行った。

フィフティ・シェイズ・ダーカー Fifty Shades Darker #2

2013年03月04日 | Fifty Shades
 アメリカ Fifty Shades Darker E L James (訳)池田真紀子 #2


 前作同様、『Fifty Shades』シリーズ第2弾の本文中にある詳細な情報を(Wikipedia並に詳しく!)書きます。これから本を読む方はネタバレ記事の閲覧はご遠慮下さい。


 *登場人物*

 アナスタシア・ローズ・“アナ”・スティール(Anastasia“Ana”Rose Steele)

 語り手。前作『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』の最後にクリスチャンの性的嗜好に耐えられなかったため、自ら別れを切り出す。しかし、別れて5日間、ショックで食事ができず、2kgも痩せてしまい、自分には彼が必要なのだと気づく。6月9日に以前から約束していたホセの写真展に一緒に出席した際に、5日間同じように苦しんでいたクリスチャンから復縁したいと告げられ、復縁する。〈シアトル・インディペンデント・パブリッシング〉(以下SIP)という会社で編集長ジャック・ハイドのアシスタントをしており、彼のアナを見る目に困惑している。〈SIP〉の買収やアナにボディガードを付けたりと、クリスチャンの過保護を少々疎ましく思っている。クリスチャンの元サブミッシブであるレイラにストーカーをされていて、『Audi A3』のタイヤを切り裂かれりした後、最終的にはアナとケイトのアパートメントに侵入し、銃を持ってアナを待っていた。だが、異変に気づいたクリスチャンとテイラーが部屋に突入し、レイラはドクター・フリンのいる精神病院に入院した。クリスチャンの師であるミセス・ロビンソンもサロンでたまたま会ったことをきっかけに、事あるごとに近づこうとしてくる。6月14日にクリスチャンからプロポーズされ、クリスチャンの誕生日である6月18日に承諾し、誕生日パーティで婚約を発表する。

 クリスチャン・トレヴェリアン=グレイ(Christian Trevelyan Grey)

 物語の主人公。本来のクリスチャンはかなりネガティブな性格。フランス語を流暢に話し、キックボクシングが得意。ハーバード大学政治経済学部中退。アナと別れてから5日間絶望を味わい、自分の性的嗜好が原因だと分かったため、嗜好の放棄を決意。ホセの個展で再会し、復縁してほしいと告げる。その後、〈SIP〉の編集長ジャック・ハイドの悪評を聞き、アナを守るために買収。買収の件をアナは疎ましく思っていたが、案の定ジャックに手を出され、間一髪で抜け出したところにクリスチャンとテイラーが来て、その場でジャックを解雇した。元サブミッシブのレイラがアナをストーカーしていることを掴み、警備の強化とアナにボディーガードを付けた。追い打ちをかけるように事あるごとにミセス・ロビンソンがアナに接触しようとするため、接触をやめるよう説得を試みる。クリスチャンにとって体に触れられることはハードリミット(絶対にやめてほしい行為)で、それには悲しき生い立ちが――。コカイン中毒で娼婦だったクリスチャンの母にはヒモの男がいた。その男は母に暴力を振るうだけでなく、クリスチャンも虐待した。いつもタバコを吸っていて、灰皿が見つからないとクリスチャンの体に火を押し付けた。肉体的な接触は暴力のみで、クリスチャンが抱えるトラウマであり、今でも愛されるべき人間ではないと考える根本的な原因。母はクリスチャンを一度も愛さず、助けずに、自ら命を絶った。4日間誰も部屋を訪れず、飢餓に苦しみ、クリスチャンが病院に運ばれたときはひどい脱水症状と骨と皮ばかりに痩せていて、その日当直だったのが母のドクター・グレイ。心を閉ざしていて、2年近く口をきかなかった。その後6歳でピアノを弾きはじめたことや生後半年のミアが家に来たことで心を開いた。ミア曰く「10代初めの頃、クリスチャンは喧嘩ばかりしていて、目の周りの痣や唇からの流血はしょっちゅうで、2度も退学処分になったの。だから、私の友人の間では“好ましからざる人物(ペルソナ・ノン・グラータ)”って呼んでた。でも、15、6歳の時に急に喧嘩しなくなったの」。10代の頃のクリスチャンの部屋には、『マトリックス』『ファイト・クラブ』『トゥルーマン・ショー』のポスターやキックボクシング選手のポスター、机前の掲示板にはシアトル・マリナーズ戦の半券や家族旅行の写真と謎の女性の写真が貼ってある。大学中退を両親は納得していないが、そのときミセス・ロビンソンがクリスチャンの会社設立のために10万ドル出資してくれたため、ビジネスパートナーに迎える。そして、クリスチャンがブルネットの女性とばかり付き合うのは、母に似ているから。支配者、服従者という関係を築き、母に似た女性を痛めつけることで快感を得ることができるからである。元々はアナもそうだったが、クリスチャン自ら服従者のようにひざまずき、去ろうとするアナに6月14日にプロポーズした。6月17日に〈チャーリー・タンゴ〉に乗っていたら電気系統に異常が発生し、危うく墜落しかけた。6月18日にアナから誕生日プレゼントとして結婚の承諾をもらった。その日行われた誕生日パーティで、前日〈エスカーラ〉にエリオットの恋人として安否確認に来ていたケイトに、性的嗜好の一部を知られてしまうが、アナの説得で丸く収まった。その後、来客に婚約を発表すると、ミセス・ロビンソンとまた一波乱あり、ドクター・グレイの介入で事なきを得るが、ドクター・グレイに過去にミセス・ロビンソンと何があったか全て告白することになる。帰り際にアナをボートハウスに連れていき、花で埋まった部屋にて改めてプロポーズした。