Toshiが行く

日記や趣味、エッセイなどで描く日々

世界一を争う日

2020年12月03日 06時00分00秒 | エッセイ

九州最大の繁華街、福岡市・天神地区に正午になると教会の鐘の音が鳴り渡る。
天神地区と道路1つ隔てただけの隣町、大名町にあるカトリック教会の鐘だ。
天神と言っても、それなりの広さのエリアであり、
おまけに普段はデパートやショッピングモールなど大型商業施設が賑わい、
また交通量も多いから全域にまで届いているわけではなさそうだが、
繁華街に鐘の音が鳴り響くというのは、何とも趣があるものだ。

   この鐘は福岡ソフトバンクホークスの優勝パレードにも欠かせない。
   ホークスがリーグ優勝、あるいは日本シリーズを制し日本一になると、
   この天神地区でパレードを行うのだが、教会の前を通る際には、
   鐘が打ち鳴らされ選手たちを盛大に祝福するのだ。
   3年ぶりのリーグ優勝、そして4年連続日本一を果たした今年も……と
   思っていたのだが、残念ながらコロナのため取り止めになってしまった。
   仕方ない。来年を待つことにしよう。
            
                           昨年の優勝パレード
ホークスの強さについては、評論家諸氏がさまざまに語っているが、
個人的には最大の要因は王貞治・球団会長の存在あってこそと思っている。
「一流選手必ずしも一流の指導者にあらず」とはよく言われることだが、
それは王さんには当てはまらない。
指導者というのは、いかに人材を育成できるかによって評価される。
王さんはホークス生え抜きの中から小久保、松中、井口、城島、柴原など
一流選手を育たばかりか、西武ライオンズから移籍してきた
秋山、工藤を選手としてのみならず、自らの後継監督としても育て上げている。
このことこそが、一流の指導者であることを立派に証明していると言えるだろう。
           
   もちろん順風満帆だったわけではない。
   1995年に前身のダイエーホークスの監督に就任した当初は成績が低迷。
   怒ったファンから生卵を投げつけられるという事件もあっている。
   人一倍負けん気の強い王さんは、その悔しさをバネに勝つための
   努力を惜しまなかったという。
   そして、先に挙げた選手を育て、1999年にリーグ優勝を果たし、
   日本シリーズも制し常勝軍団の道を歩み始めたのである。

2008年に監督を退き、後を秋山、工藤に託し、
自らは球団会長としてチームづくりに、それこそ心血を注いでいる。
まさに「王あればこそのホークス」と言っても過言ではない。
「金は出すが、口は出さない」孫正義オーナーの信頼も厚く、
2人してメジャーリーグの優勝チームと世界一を争う日を夢見るのだ。