Jet d’Eau

音楽の噴水

和声法

2010-02-06 | Music lectures
しばらくぶりの更新。このところチェロはおさぼり気味だが、音楽の勉強は(必要に迫られて)頑張っていた。今年度は大阪芸大の通信教育で10単位、放送大学の「音楽理論の基礎」と「アーツマネジメント」で4単位、一年間で計14単位取得予定だ。予定通りに単位が取れればひとまずパートタイム音大生活も一区切りになる。

和声法は色々な大学で受講したり、個人的に先生について「芸大和声(和声1)」の赤本をやったりしたが、とにかく難しくて難しくて、覚えることも多いし頭がパニックになってしまい、興味のあった楽譜のアナリーゼまでいかず、赤本の属九の和音のところで挫折してしまっていた。

でも、一番興味のある近親転調や借用和音が勉強したくて見つけたのが大阪芸大(通信教育)の和声法の講座だ。通信教育だが、スクーリングがあり、和声法1で属七の転回形まで、和声法2で近親転調や借用和音を学ぶ。スクーリングはそれぞれ6日間。
普通の音大で1年間かけて習うことを6日で習うので相当キツイが、この6日間でかなり成果はあったように思う。

まず、芸大和声の本では嫌になってしまった私だが、大阪芸大ではオリジナルのプリントの教科書を用意してくれており、これがとても分かりやすかった。
それぞれのところで、実際の譜面でのベートーベンの使用例などが出てくるので、興味をひかれる。また、先生の講義も分かりやすく、私は先生に言われる通り、全て階名で(ハ長調かハ短調に直して)解くようになってから、第七音が二度下降とか、導音が主音に行くとかそういうことを間違えなくなった。全て階名で解くようになってから、驚く程理解が深まり、チェロやピアノの曲も階名に直せば何の和音が使われているのか、分かるようになり先生にはとても感謝している。

夏に和声法1を学び、冬は和声法の2を勉強中だ。和声法2で借用和音や非和声音について学び、一つ分かったのは、「要するに、臨時記号がついていたら、他の調の音を使っている、など違う和音なのだな」という当たり前のことだ。ベートーベンや、モーツァルト、ショパンなど作曲家によって、非和声音の使い方の癖とか、よく使うパターンなどが分かり、とても面白かった。音楽の美しさは、非和声音と借用和音で作られているのではないかと思うようになった。私はバッハの繋留音やベートーベンの借用和音が好き
和声で挫折していた私でも、何とかソプラノ課題もできるようになったので、大阪芸大の和声の講座は受講してとても良かったなと思っている。
テストは難しかったけど・・

イッサーリス マスタークラス

2006-11-13 | Music lectures
スティーブン・イッサーリスのチェロマスタークラスに行ってきました! すっごく良かった

イッサーリスはイギリスのチェリストで、ダニエル・ミュラー=ショットも師事していた先生。シューマン好きとして有名で、今回シューマンの没後150年ということで、シューマンプロジェクトを立ち上げ、来日中。今回のマスタークラスもそのプロジェクトの一つの企画として、先週末行われた。曲目はもちろん全てシューマン。アダージョとアレグロ作品70とチェロ協奏曲第一楽章を題材に3人が受講しているのを見てたんだけど・・レッスンは非常に面白かった

イッサーリスは私の先生はあまり好きじゃないらしいし、音はガット弦を使ってることもあってつややかな美音という感じではないけれど、とにかくフレージングがうまい。シューマンの音楽への深い理解がそうさせるのだろうけれど、生徒がちょっとでも漠然と弾いてしまうと「Are you sure?」(それでいいと思う?)というつっこみが入る。そして、イッサーリスが弾いてみるとそのフレージングがとても自然で、美しく、流れるようで言葉を話しているように聞こえる。ちょうど、ピアノと対話をしているように聞こえるのだ。音楽は流れることが一番大事、とは聞いていたけれど、本当にそうなんだな~と思った。

シューマンはもともと結構好きだったけれど、今回のマスタークラスを聞いて「こんなに良かったの!?」と目からうろこ状態だった。アダージョのピアノとのかけあいがこんなに美しいとは・・。イッサーリスによると、シューマンの音楽は一音一音、全ての音が彼の詩を構成する大切な要素なんだそうだ。だから、何も考えずに弾くと、きれいな旋律をきれいに弾いて、きれいな曲ね、で終わりなのだけれど、イッサーリスの演奏でそのシューマンの描いた詩の世界があらわされて、こんなに素晴らしいん音楽だったんだ・・と感動してしまった。

きっと、聴いていた人達はみんなそういうことを感じてたんじゃないかと思う。結構たくさんの人が聞きに来ていたけど、3時間弱の休憩もないマスタークラスの中、みんな息をひそめて見守っている感じだった。

細部を少し変えるだけで、こんなに音楽が変わるんだということが驚きだった。こういう細かさはクラシック独特のものだと思うけれど、最高に集中して細部の細部まで丁寧に奏でられる音楽は本当に素晴らしいものだと思う

シューマンを聴きたくなった人にはダニエル ミュラー=ショットのシューマンアルバムがお勧めです。音がとにかく美しいし、フレージングもすごい

前期授業終了

2006-07-15 | Music lectures
前期とっていた音楽史(ロマン派)の授業が終了した。色々な音楽にふれられて楽しかったな~

試験はリスニング問題が主だそう。曲を聴いて、どの時代のどんなスタイルの曲かを記述で答える形式だ。例えとして、最後の授業中に一題出された。女性ソプラノの美しいオペラ  ヴェルディかな、なんて思って聞いていたらワーグナーの「トリスタンとイゾルデ」の最後の曲だった ヴェルディとは対極にあるワーグナー・・・ 前期、私なにを勉強してきたんだろう・・・(汗)

試験まであと10日。これからnaxos music libraryで曲を片っ端から聴いて復習に励みます!
http://ml.naxos.jp/  

音大の授業おさめ

2006-01-19 | Music lectures
和声のテストが終わり、作編曲法の授業も最終回が終わって音大の方も一段落がついた。1年間音楽を勉強してみたけど、反省することも多い。作編曲法の授業では、毎回宿題があり赤本(「和声 理論と実習」という和声の定番教科書)の課題をやっていったのだが、この毎回の宿題がきつく、なかなか大変だった。

和声はけっこう数学に似ているところがあって、毎日少しづつやらないとすぐに分からなくなってしまうのだが、いつも授業の直前までためてしまい、まとめてやるもので先生にはそれがすぐばれ、毎回注意されて大変だった。「新しいことを始める時にはある程度、真剣に取り組むという態度が必要だと思う」と言われ、まさにその通りなのだが、ついついあとにあとになってしまい、しっかり勉強する前に授業が終わってしまったという感じ。あー反省

バス課題といって、バスの音だけが与えられてそこからソプラノ、アルト、テノールを考える問題など、ソプラノの可能性を可能な限り何パターンも作るように、という宿題では、いつもつめが甘く思いつかない旋律があったり、和声の規則(連続5度8度はだめ、並達5度8度はだめ、増音程はだめ、などなど)に反したりと、和声は本当に奥が深く難しい。そのため、課題をやるのは生みの苦しみというか、結構苦しい作業で、例えていうと数学の確率の問題を解くのに似てるかも。しっかり勉強すれば広がっていく世界があるとは分かっていながら、そこまで取り組めないのが歯がゆかった。

とはいえ、この一年でだいぶ分かるようになったこともあるので、これから4月までに1年の復習をしたいと考えている。とりあえず、目標は楽譜を見ただけで頭の中で和音が鳴るようにすること  これは訓練で必ずできるようになることらしく、課題をやるときに必ず音を弾いてみて和音を確認するという、地道な作業でできるようになるらしい。とにかく目の前には壮大な音楽という世界が広がっていて、生半可な勉強ではとても太刀打ちできないのだ。バッハも厳しい先生だったんだろうな~とよく思う今日この頃。。。

和声

2005-10-17 | Music lectures
今日は和声の授業で、ようやく第一転回形に入った。第一転回形とは、バスパートに第三音が来ている形で、ドミソドが基本形だとすれば、第一転回形はミソドドやミソドソなどとなる。先生いわく、第一転回形が分かるようになると世界が広がり、音楽がすごく面白くなるとのこと。確かに基本形だと動きづらいところも、第一転回形を使うと選択肢が増え、けっこう自由に色々な声部を動かせることになる。

そして、ベートーベンのピアノソナタ32番終楽章ハ長調のアナリーゼ。ハ長調なので分かりやすくて助かった。 こういうアナリーゼを行うと、ほとんどがⅠ(ドミソド)やⅤ(ソシレソ)、属七(ソシレファ)などの基本的な和音から作られているということに驚く。シンプルな和声の構成から、美しい旋律が浮かんでくる

今まで音楽は、「旋律と伴奏」という印象をもっていたけれど、最近それが間違っていたことに気付いた。 音楽は「和声の進行」なのだ。どんどんハーモニーが移り変わっていく。その中に旋律が埋まっているというか、その一部としてソプラノの旋律があり、それが特に耳に入ってくるのだ。和声がここまで音楽を支配していたとは  ということで最近、音楽を旋律(横)でなく、和声(縦)で聞こうと努力中。

最近天気が悪いので、ドイツのきれいな空と教会の横で遊ぶ子供の写真
あ~、ドイツ行きたい!

授業

2005-04-29 | Music lectures
今週も和声、作曲、作品分析の授業があった。
和声では、いよいよ和声の進行に入り、8、5、1度の連続は禁、とか、同じ構成音があるときは同じパートで保留にする、とかバスとソプラノは反行するようにする、とかいったことを学び、実際に練習問題を解く。進むのが早くついていくのが大変だけど、すこしずつ和声の進行の規則が分かり面白い!こんな規則にのっとってバッハ先生は書いてたのか~とか思ってしまう。天才だから考えなくても自然に浮かんできたのかと思っていたけど、こういうことをふまえた上で作曲をしていた、それも即興で!すごく頭の良い人だったんでしょうね~

作曲法では楽譜の書き方から出来ていないと、言われてしまった。確かに5線紙に音符を書くなんて、中高以来?調合から、書き忘れる始末だし、おたまじゃくしの頭も大きすぎるとのこと。確かに作曲家の楽譜を見ると、おたまじゃくしの頭はとっても小さい・・
大きすぎると、どの音か見にくくなってしまうんですね。

和声の進行が分かっていないとなかなかキツイ内容。和声、まだ2回しか授業受けてないが、もう少し進めば出来るようになる、と思いたい・・

music lecture!

2005-04-14 | Music lectures
今週から「パートタイム音大」生活が始まりました(祝)。今日は作品分析と作、編曲法の授業。作、編曲法の講座が特に面白かった

バッハが作った編曲用のドリル(?)を用いて行われます。これは、バッハが作曲家のために作った教育用の曲集で、2声(ソプラノ、バス)から成るもの。これに暗号のような数字がふってあり、それに従って編曲して4声(アルト、テノールを足す)にする、というのが課題。例えば数字6がふってあれば、6ということはバスに合わせて1、3、6度の和声を付けよということ。和声の知識のない私はついていくのがやっと。これは「どー音」だから、と言われてハテナ?動音?同音?ド音?・・と慌てていたら後で「導音」と分かりました
→主音に対して7度の音のことだそうです。

難しそうだけど、面白そう
この編曲の過程を通して、バッハの作曲の過程をたどることができるそうです  

音程1

2005-03-22 | Music lectures
今日はちょっと無理をして、ポールカッツ氏(Vc)による「アンサンブルにおける音程について」のレクチャーを聴きに行きました。これが、とても面白く行った甲斐がありました。一生ものの知識をもらいました。

その中からほんの少し紹介・・・
まず、音程良く弾くということはillusion with compromiseである。音程とは、調によって異なるし、ソロかアンサンブルでも、国によってすら違う。

カザルスはその著書‘Conversation with Casals‘で、"expressive intonation"を唱えている。これは、melodic intonation, horizontal intonationとも言われるもので、メロディーを単旋律でうたう時に、音程を少し変えることによって感情をより表現できる、ということを唱えたのだ。例えば長3度は少し広めにとるとよりhappyに聞こえるし、短3度は狭めにとると音楽はよりsadになる。(これは簡単に言えば半音を狭めにとるということになるのだが)7度を弾くときは上の音を高めにとる。音階を弾くときには、オクターブ上の主音を高めに弾く。♯のつく調は高めに、♭のつく調は低めに、と言われる。

・・・ところが、quartetではこのexpressive intonationが大きな問題を起こしてしまうのだ。不思議なことだが、我々は経験からquartetではexpressive intonationとは逆、つまり長3は狭く、短3は広めにとった方が良いということを知っている。こういった調節をするためには、全ての音はflexibleに動かなければいけないわけだが、弦楽器には動かない音が存在する。-----開放弦である。つまり12音のうち、quartetではE,A,D,G,Cの5つの音が動かないのである。その証拠にドミソを開放弦3つで奏でるととんでもない不協和音を生じる。ドボルザークのアメリカでよくでるf major codeドファラはファのみ調節可能だが、ドとラに同時に合わせることは不可能で、これも不協和音。完全5度で調弦した楽器どうしのquartetで実演がなされる。

ホントにひどい音だ~・・・。何も考えずにquartet合わせるとこうなってしまうのね!と実感。

それでは具体的にどうすれば音程が合うようになるかは、また続きで。