ピエロの綱渡り

お勧めできない綱渡り人生

Manga その二

2008-06-25 | 文学
 高橋留美子は、例によって愛すべき男たちの妄想を描くのがうまい。『うる星やつら』も『めぞん一刻』も、話の軸は、思春期の男の恋愛(または色欲)妄想だった。女性であってこれだけ男の妄想に理解があり、それが絵も話もうまいマンガ家なのだから、じつに稀有な存在である。作中の女はそれに対し、だいたい芯の通った気の強いのが多い。男女ともに紋切り型といえば紋切りなのだが、男のほうが妄想がハッキリしているぶん精彩に . . . 本文を読む

Manga その一

2008-06-23 | 文学
 フランスの図書館は漫画が充実している。日仏ともにあるものの、お国柄フランス製のほうが圧倒的に多いが、じつはこれは本屋の現実(は売り上げの現実だろうが)を反映していないように思われる。フナックという、いわばフランスの紀伊国屋書店のような大型書店の本店へ行くとハッキリしているのは、客がいちばん立て込んでいるのは、どこよりも日本のマンガの書棚だ。『ドラゴン・ボール』とか『北斗の拳』など見慣れたものから . . . 本文を読む

道徳と超越 その十

2008-06-16 | 哲学
 私はカントの専門家ではないので、彼についての私の意見はおそらく未熟きわまりなく、専門家からすれば一笑に付されるような幼稚なもの、あるいは一面的なものかもしれない。それを省みずにあえて述べれば、彼が哲学史の中で特筆される位置にあるのは、まことに大雑把に云ってしまえば、ひとえに「人間の中にある普遍的な偉大さを理論的に体系づけ、それによって人間に、自身と社会についての希望を抱かせたこと」、これにあるの . . . 本文を読む