毎週土曜日に為替トレンド確認のために個人的に行っているトレンド分析の10月28日分(10月2日~10月27日)。
分析結果と各ペア動きのまとめ
トレンド分析のサマリ部分(見方の説明は2020年2月3日の記事参照)。
分析結果と各ペア動きのまとめ
トレンド分析のサマリ部分(見方の説明は2020年2月3日の記事参照)。
各通貨ペアの日足チャート
出所:セントラル短資FX|為替チャート一覧
ドル円は高値圏での横ばい気味の動きの中、10月26日には150.78円の高値を付けた。9月の上げ基調を受けて、ISM製造業景況指数が約1年ぶりの高水準となった10月2日に149.8円台を付け、求人件数が予想外に増加した110月3日に150.1円台まで上げた。しかし、直後に147.2円台まで下げる3円幅の一時的な急落があった。小規模な為替介入があったのか、150円到達によるテクニカル動きなのかは不明で、日本の財務省等は介入に関しては「答えない」というスタンスだった。
10月6日の雇用統計は雇用者数が予想を大幅に上回る伸びで、追加利上げの論拠が強まったがドル円の反応は鈍かった。長期金利が反落したためで、週明けにはドル円は少し下げた。10月10日にFRB高官らの発言が再び利上げ見送りに傾いているとみなされて148.1円台を付けたが、その後はその安値を下回ることなく推移した。
10月12日にFOMC議事要旨が公開され、高水準の政策金利を当面維持することが必要と判断、ということで高金利は続くが利上げは終了と解釈された。10月12日のCPIは8月と同率の伸びで予想を上回り、少しドル高に振れたが149.8円台止まりだった。10月17日の小売売上高は予想を上回る伸びで消費者の底堅い需要を示唆してドルは堅調だったが、翌日の149.9円台止まりだった。
その後、米長期金利の上昇が続き、10月25日にはついに150円台に到達し、10月26日発表の7-9月期GDPが2021年以来の急成長となったのを受けて150.78円を付けた。ただ、強いのは予想通りだったので長期金利は大幅に低下し、149.6円台に反落して終えた。
ドル円相場は、円金利の絶対的水準が低いため、ドル金利の影響で動きやすい。以下に年初からの米10年債金利のチャートを示すが、かなり上げてきている。ドル高が進むのは当然で、昨年10月の円安ドル高時には4.3%台だったことを考えると、最近の円安でも抑制気味の感じすらする。ただ、金利は過去の結果として公表される各種経済指標ではなく、相場参加者の今後の予想に基づいて動くため、先行きは分かりづらい。
出所:TradingView|US10Y
ユーロドルは9月までの下げトレンドを終えたような動きになり、10月3日に$1.0448の安値を付けた後、10月24日には$1.0695まで戻した。しかし、10月26日にECBは予想通り金利据え置きを決めた。ECBはインフレ抑制を見極めるというスタンスだが、2022年7月から10回連続で利上げした後の据え置きで、金利はピークに達したとの見方が多くなっている。そのため$1.056台に反落して終えた。
ユーロ円は横ばい気味のドル円と戻り歩調のユーロドルの影響で戻り歩調になり、10月3日にドル円の一時的急落につられて155.8円台を付けたものの、10月24日には159.91円まで戻した。その後は反落して158.0円台で終えた。
各国の動きとニュース
米国関連
10月2日 ISM製造業景況指数
10月3日 求人件数
10月6日 雇用統計
10月10日 FRB高官らの発言
10月12日 FOMC議事要旨
10月12日 消費者物価指数
10月17日 小売売上高
10月26日 7-9月期GDP
EU関連
10月26日 ECB
日本関連
10月3日 円の一時急伸と介入観測
介入警戒感は続いているが、日本の金融政策が利上げに転じない限り、介入しても一時的な影響しかないだろうという見方が一般的だ。逆に、金融政策を多少変更したところで、絶対的な金利差は大きいし、貿易赤字となっている日本では大きく円高にはなりえないという見方もある。
日銀の金融政策の修正を巡る観測記事はしばしば流れ、為替相場にわずかな影響は与える。しかし結局は関係者の観測に過ぎず、今月30、31日に開かれる金融政策決定会合での結果待ちにしかならない。
【2023.10.31追記】
結局、介入はなかったことが確定した。アルゴリズム取引の影響のようだ。
日銀の金融政策決定会合では、イールドカーブ・コントロールの再修正を決めたが、マイナス金利政策などの金融緩和は引き続き継続されることになった。