地理B問題解答解説 2013年センター試験/附:地理A

問題用紙の余白に解説・解答を書きました。合理的・省力的ではありますが、どことなく不精者の講義のような気もします。

般若谷の扇状地  [地理学基本用語事典 は]

2011年11月28日 | 日本地理
岐阜県海津市南濃の揖斐川支流、般若谷(般若川)は、田代越(640m)から揖斐川まで流れる。流路は短いが、急傾斜地であり、揖斐川との合流点近くに扇状地をつくる。養老山地は隆起を続け、濃尾平野は沈降しているので、その高度差を埋めるように扇状地ができた。
般若川のような小河川が洪水を起こすと、合流する揖斐川の洪水、あるいは揖斐3川(揖斐川、長良川、木曽川)の大洪水の原因ともなるため、般若川の治水が重視された。
 

江戸時代、薩摩藩が徳川幕府に命じられて、木曽3川の改修をほぼ完成させた。しかし、中小河川の改修には手が回らず、この中小河川の改修が、明治政府の大きな仕事となった。明治政府のお雇い技術者デ=レーケ(オランダ)は、堤防建設中心の近代的治水工事を、木曽3川で指導した。般若谷や羽根谷のような支流の治水事業を行った。扇状地を流れる河川の洪水を、堤防と砂防ダムで防ごうとした。


般若谷に砂防ダムと堤防をつくり、流路を直線にして、洪水のない農地を作り出した。般若谷の両岸には果樹園ができ、農家が集まった。


近鉄養老線は扇端の地下を通り抜ける。般若川はその上を流れる天井川である。しかし、近鉄養老線の地下を通り抜ける地下水量が多く、般若川と揖斐川とは、水中で合流している分が多い。
 

扇頂周辺には採石場が広がり、泥水が砂防ダムを越えて流れるが、砂礫質の扇央で伏流し、扇央は砂防ダムはあるが流れる水のない水無川である。
 

揖斐川対岸からの般若谷の光景。コンクリート製の砂防ダムが階段状に見える。



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