地理B問題解答解説 2013年センター試験/附:地理A

問題用紙の余白に解説・解答を書きました。合理的・省力的ではありますが、どことなく不精者の講義のような気もします。

陸前高田市の震災復興計画 [地理学基本用語事典  り]

2012年02月10日 | 日本地理
陸前高田市の21012年度一般会計予算案(2012年2月22日公表)

総額 660億5,800万円(12%増)
    ※うち、東日本大震災復興事業 303億5,247万円(48事業)
    ※2,012年度末の市債残高176億8,131万円(市民一人当84万円)

歳入
市税     7億8,895万円(55%減)
地方交付税 134億9,613万円(170%増加)
市債     14億0,890万円(87%増加)
繰入金    8億0,459万円(399%増加)
財政調整基金 2億円


歳出
人件費    25億3,376万円(2%増)
扶助費    20億5,949万円(19%増)
公債費    16億2,075万円(11%増)
建設事業費  299億6,679万円(2179%増)



低地にあった市街地の一部を高台に移転し新集落を建設する費用、一部を現在の市街地に再建する費用とで、陸前高田市の予算の大半が消えてしまうことになる。復興が単なる復旧に終わらず、陸前高田市の再生となることが期待されている。
高台移転計画の素案が新聞に掲載された。
5戸を単位として高台に移転する計画について、陸前高田市は、独自予算と政府の復興予算とを合わせて支出し、津波被害のない集落を建設する計画である。
また、2011年の東日本大震災前から市街地に生活拠点を置いて、高台移転に同調できない市民には、土盛りして津波被害を軽減できるようにし、市街地にとどまることができることも計画されている。しかし、この土盛り計画は、巨額の費用が必要で、市街地残留希望者の経済負担が大きくなる。
いずれにしても、陸前高田市には自由に支出できる独自予算はなく、結局、政府の復興予算が便りである。
政府復興予算の大半は、道路・鉄道・港湾などのゼネコン型公共事業に傾斜配分され、5戸単位の集落移転への補助金には適していない。また、地元土建業者はゼネコンの下請けとして、利益の薄い仕事に走ってしまう。地元企業は、ゼネコン下請けよりもさらに利益の薄い地元独自の集落移転構想には、見向きもしない。実際に、地元自治体の小規模事業の入札に応札参加する地元企業がない、という現実がある。
復興庁長官は岩手県出身であり、陸前高田市は138億円の交付金を得た。ほぼ満額であり、復興が進むだろうが、10年、20年の長い年月をかけなくてはならないだろう。


(asahi)

千昌夫の建てたリゾートホテル。歌う借金王時代に、名義上は他人のホテルになった。高田松原から、高台に移転して営業を再開するそうである。
最初からホテル経営のプロがいなくて、付近の民宿同然の管理経営が続き、評判が芳しくなかったが、今度は本格的リゾートホテルとして高台に再建する予定である。成功を祈るのみである。



地元では、堤防と松原は津波への効果が小さいと認識しているが、多分、堤防と松原は復旧されるだろう。

2010.7(大震災前の陸前高田市)

海があり、山があり、眼前にはきれいな海の広がる静かな町であった。

2011.3(大震災・津波から3日後)

海抜20m以下の、地形でいえば沖積平野部分が巨大津波に襲われ、死者1795名、全壊家屋3000戸の被害を受けた。

7万本の松原が、1本を残して、津波に倒された。残る1本も立枯状態である。地震と津波で破壊された建物は、老朽化のために2か月前から休館していた陸前高田ユースホステルである。もし営業をしていれば、宿泊客は津波被害を受けたであろう。





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