ふう、やれやれまいったな・・
あ、ごめん。溜息ついちゃって。
いやだってさ、君はフレンチやイタリアンが好きじゃないか。
どこもいっぱいだったとはいっても、
国道沿いの和食屋さんにたどり着くなんてね。。
なんだか最近僕たちすれ違いが多いようだし、
少しついてないよね。
どれくらいついてないかっていうと・・
とある郊外都市に中流階級の夫婦が居た。
とりあえず共働きで子供は小さな女の子が1人。長いローンで買った一軒家に住んでいる。
この不況の世間ではまずまず羨ましがられても良い身分なんじゃないかな。
大多数の皆んなと一緒さ。
朝起きて、ご飯を食べて、子供を保育園に預けて
仕事をして、母親が子供を迎えに行って、
父親が帰宅して少し遅い夕食を家族で食べる。
恵まれてるかもしれないね。
幸せかもしれない。
でもね、少し困った問題がこの家庭にはあった。
父親が大の競馬好きだったのさ。
自宅から地下鉄1本で行ける場所に競馬場があるっていうロケーションも良くなかったかも。
週末は基本的に家族で過ごすんだけど、なんだかんだと理由をつけては競馬場に行っちゃうんだね。
まあ少ないお小遣いの中から馬券を買ってて、家計に負担はかけて無いんだけど、なんといっても勝てない。その事で、すこし落ち込んでしまうんだね。落ち込み過ぎて負けた時は家庭での会話が減ってしまうくらいなのさ。
奥さんもお小遣いの範囲内だから・・と思っていたんだけど、娘と話すのも面倒くさがるように見えて来てからはさすがに
「あなた、そろそろ競馬やめたら?」
というのが口癖になっていた。
けれど夫もなかなか踏ん切りがつかない。
そんな日々の中、社会の事情で各世帯、各個人に10万円ずつ給付されるという政策が為された。
自身のギャンブル依存が気になりだしていた夫は、妻に言った。
「この10万円で最後の競馬に行ってくる。安心して。以降もうやめるから。」
・・もうわかるよね。
夫は連番の万馬券に10万円全てを注ぎ込み、見事結果を当ててしまう。
・・あれ?ついてない話じゃ無いじゃないって?
この話の主人公は妻の方だよ。
まあもしかしたら当たったとはいえ本当にやめてしまうかもしれないけど、その辺は皆さんの想像にお任せします・・と。
そのくらい奥さんにとってはついてないってこと・・
はっ!ごめん。また長い例え話を・・
ん?なんだか嬉しそうだね。
かき揚げうどんもすごく美味しいって?
へええ・・
うん、じゃあ、良かった。良かったよ。
不定期小説 「蚕は夜繭を紡ぎ、カラスは昼巣をばらす」続く
続くなー。
music * picturesque collectors land / the collectors
46才のわたしが高校生だったころ聴いてた音源をまだ聴いてるよ。
俺にとってはエバーグリーンな音楽。なーんにも古くならないね。