余桃之罪、もしくは電光朝露

関西フィル、日本センチュリー、京都市交響楽団、大阪フィルの定期会員です。アイドルやら声優やら。妄想8割、信憑性皆無。

大阪シンフォニカー交響楽団 第133回定期演奏会 本邦初演!「Doller 交響曲」

2009年03月18日 | 大阪シンフォニカー交響楽団
09.3.18(水)19:00 ザ・シンフォニーホール
大阪シンフォニカー交響楽団 第133回定期演奏会 本邦初演!「Doller 交響曲」
指揮/児玉 宏
ソプラノ/佐々木典子
曲目:
エルガー/セレナードホ短調op.20
R. シュトラウス/4つの最後の歌
アッテルベリ/交響曲第6番ハ長調op.31(日本初演)

アッテルベリの録音持ってたかな、と探したら広上さんが録れたものが出てきた。解説書裏のフッサフサな写真がステキ。
作品自体は派手なのにほんのり寂しい旋律が聴きモノなんだろうとは思う。楽しみにしたい。

暑い。服のチョイスを間違えたかも知れん。インナーは薄手にすべきだった。会場前では花石さんとの間で起きた労働争議についてのビラ配りあり。まだやってたんか。お客様は8割居ない位・・・有名曲とは言いがたい曲目なのに有難いですなあ。ですがね、センチュリーさん同様に会社や組織にチケットを渡されて義務的に来ちゃった集団が1階サイド2階後方に結構おるんですわな。スーツ姿の男女などが「とりあえず最後まで居なくちゃ」と椅子にしがみついてるのは悲哀そのもの。彼らを社会の軛から解放してあげて「クラシックって結構いいじゃん」と思ってもらえる演奏しようね。
とか言うても、今日のプログラムでどこまで引っ張れるかは分からん・・・児玉さんの公式HP見てもらえば分かるけど、アッテルベリ以外はCDも出してるんですね。やるな宏。

エルガー。メンバーの入れ替えやら大山さんの薫陶もあって、ここだけの話だが関フィルよりも良い音がするようになったシンフォニカーさんの弦。問題があるとすれば経験が足りない若手が多いからなのか誤魔化しが無くて、間違ったら間違った音が素直に出ちゃう。本日も後ろのほうはキュッキュッキャッキャッ聞こえてましたし、見た目にも弓が指が止まるわ縺れるわ。まあプログラムもきついから仕方ないか。にしても指揮棒を持たない児玉さんの両手から繰り出される音楽は実に優美で聴きやすい。その分、エルガーらしいくすんだ詩情の表出という点ではちょっと物足りなかった。モーツァルトっぽくなってたね。

R・シュトラウス。グラマラスな美熟女の佐々木さん。出てくる御声も豊かで高音が少し硬さを見せる以外は素晴らしかった。また児玉さんの伴奏がバランス含めて巧い。オペラ畑の人だけあるわ。ホルンは音は良かったけどここぞというところはだいたいトチっちゃったね・・・(違う方だったっぽい。削りました)。あとね、フルートとオーボエはなんとかなりませんかね。入れ替わりが激しいセクションのようでどうも安定してません。

休憩挟んでアッテルベリ。渡辺和さんによる簡潔で分かりやすい解説がプログラムには書いてあったが、紙面の都合なのかシンフォニカーの楽曲解説DBで見たものの要約になっていた。端折られた部分で大事なのは“最終的な要項には「完璧な古典的様式を不可欠としないものの、作品は力強い旋律が支配的で、シューベルト時代の古典的管弦楽を遙かに凌駕する規模の楽器編成であってはならない」とあるが、特にシューベルトを意識する必要は求められていない。”かな。終楽章の副主題にはシューベルトの弦楽五重奏曲から引用されてるところがあるらしいが、気にせず聴けということで(笑)
ホルンソロから始まる第1楽章、金管の出方がノルマン系の勇壮さを湛えていてかっこいい!ファゴットにそのメロディは最強にファンタジー過ぎるやろ。行進曲風
のコーダはバックスにも似てますよね。第2楽章はシベリウスの作品です、と言われてもたぶん信じてしまうような神秘的な雰囲気から始まる。中間部からヴァイオリンソロも交えて連綿と歌われる情景は力強く盛り上がりつつも、最後は雪のかなたへ消え行くように幽かに終わる。息を呑む客席の空気が心地よい。
終楽章はこれまでの流れにはちょっとそぐわない内容。冒頭の管楽器はショスタコーヴィチのような諧謔が入っていて戸惑う。シューベルトから引用した楽句を基に軽いフーガ風の世界に突入するんだけど、これの中に出てくる金管のマーチは無駄にかっこいい。第1楽章の終わりでも感じたけど、目の詰まった急速な終曲部はシンフォニーホールでは響きすぎてゴチャゴチャしちゃう。広上さんのCDでは最後にシンバルとグランカッサの一撃がスカッと決まるんだけど、実演では最後の音群に繋がって隠れてしまってそこは物足りなかった。この作曲家の全作品の中でも最も知られている作品の終楽章としては残念な出来ですわな。これで終わり?みたいな。アッテルベリの他の曲が聴きたくはなったね!広上さんのCDに入っているヴェルムランド狂詩曲&無言のバラードはロード・オブ・ザ・リングみたいなハイファンタジーが好きな人はたまらないんじゃないかな。おぢさんは氷と炎の歌が好きです。
少数ながら異常なブラボー。20日は同一プロで東京公演だそうな。東京に出しても恥ずかしくない内容だと思うので、是非頑張ってください。各曲が短かったのでホールを出ると8時50分ぐらい。

来季については次の、キンボーの首席客演就任の回にでも書こうと思ってたんだけど、「2009年度定期演奏会の曲目について」で児玉さん自らご説明なさっているのを見て欲しい。「弦楽オーケストラだけで演奏する作品をプログラムに含める」という条件を客演指揮者陣にお願いしたということだが、今回のエルガーでそこを先取りしてみせている。音楽監督として引き出せる水準をまず聴衆に示したということで、継続的にこのオケを聴く方は客演指揮者の力量を感じるいい機会になるだろうし、オケの刺激も違ってくるだろう。また、音楽監督就任公演のマクベス、今回の4つの最後の歌に引き続いて管弦楽伴奏歌曲集、ディヴェルティメントとR・シュトラウスの数ある作品の中でも取り上げられる機会の比較的少ないものをやるところもなかなかいやらしいプログラミング。今季のセンチュリーのヒンデミットと合わせて近現代のドイツ音楽が楽しめるのは有難い。こういうことが出来るのも自前の名曲シリーズを持っているからこそ・・・ちゃんと差別化が出来ている。細かいことは以下の記事でも読むといい。
立ち読みしたレコ芸の読者投稿欄の初っ端が「児玉宏を聴け!」で思わず笑った。

【舞台通信】大阪シンフォニカー交響楽団 音楽監督、児玉宏


コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。