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2011年、水戸黄門終了決定、里見浩太朗の記者会見から3年

「水戸黄門」終了で…里見浩太朗「斬られた思い」 ― スポニチ Sponichi Annex 芸能
[ 2011年7月15日 19:34 ]


里見浩太朗は「脚本は前よりよくなっているのに、なぜ(視聴率)が10%なのか」と不思議に思って落胆していた。脚本がよくて、他の配役をどう変えても数字が改善しなかったのなら、自分(里見浩太朗)自身が主役であることが視聴者に受け入れられないと思わないのか。

里見浩太朗が主役になってから周りのレギュラー陣の変更はめまぐるしく、鬼若(照英)、アキ(斉藤晶)、原田助、合田格、お娟の時代が里見黄門の個性の明確な時期だったが、ナショナル劇場の『水戸黄門』で光圀役が変わらないままた助挌が2度交代したのは後にも先にも里見黄門だけである。

大河ドラマで徳川家康をフランキー堺や滝田栄が演じたように、徳川光圀を里見浩太朗が演じていけないわけはない。ただ里見浩太朗は東野英治郎の時代にできたナショナル劇場の『水戸黄門』独自のイメージを重視しており、それで石坂浩二のヒゲなし黄門を批判していたが、自分がそのナショナル劇場の『水戸黄門』のイメージに合わないとは思わないようだ。
なお、里見黄門は石坂浩二降板を受けての苦肉の策に見えたが、実は里見浩太朗が助三郎役だった時からスタッフが考えていたことのようだ。

一部で、逸見稔存命時は『水戸黄門』の王道が守られていて、中尾チーフになってそれが崩れたという評があるが、里見黄門のアイデアは逸見存命時からあったもので、簡単にどこまで良くでどこから悪くなったなどとで線引きできるものではない。

石坂・里見と中尾チーフは『水戸黄門』を終わらせた戦犯のように思われることがあるが、実は佐野浅夫の時代に終わって不思議はなかったシリーズを約10年も延命させた功労者と見るべきであろう。
里見浩太朗は石坂黄門で王道から外れたシリーズを元の路線に戻したつもりだっただろうが、世間は里見黄門を石坂黄門と同類の異端と見なしたのだろう。
そして『水戸黄門』は王道が飽きられたのか、王道からずれたのがいけなかったのか、そこの総括ができないまま終わった。

『水戸黄門』が42年で終わることを知った時、個人的には正直、ほっとした。
徳川光圀の晩年の10年を42年かけて描いた本作は時間が進んだり戻ったり、時系列が滅茶苦茶になっていた。助三郎が美香と結婚したら、俳優が原田龍二から東幹久になった途端、独身に戻ってまた、志乃と結婚。お娟がお銀でないならうっかり八兵衛や弥七とどういう知り合いなのか。お娟の卒業と助挌コンビ結成が同時に描かれるなど、まともな頭で考えた脚本とは思えず、スタッフも半ばヤケになっていたのではないか。

『水戸黄門』終了時「勧善懲悪が飽きられた」と評するメディアが多かったが、2年後に『半沢直樹』が高視聴率を記録すると「現代版水戸黄門だ」と評したのだから勝手なものだ。
すると勧善懲悪は時代劇なら受けず、現代劇なら受けるということか。
先の見える予定調和は時代劇なら許させるはずだったのではなかったか。
『半沢直樹』は時代劇に例えると両替屋の奉公人による店内での復讐劇で、『水戸黄門』とは大きく違っていたが、最終回で、頭取の判断で大和田常務への処分が軽く、半沢直樹が他所へ飛ばされた展開は『水戸黄門』に似ていた。

『水戸黄門』終了後、東京のTBSは『Mスタ』を4時台スタートにして、『水戸黄門』や『江戸を斬る』の再放送をBSに回した。
C.A.Lはパナソニックと手を切り、『大岡越前』をNHKでリメイクし、東山紀之が主演となった。
東山紀之は松方弘樹の『遠山の金さん』で同心を演じたことがあり、『必殺仕事人2007』以降のシリーズでも同心を演じている。

『水戸黄門』で里見浩太朗が助三郎役だった時、当初は『大江戸捜査網』、次に『長七郎江戸日記』と掛け持ちだったが、東山紀之も北大路欣也と同様、21世紀の時代劇では昔からのシリーズを守る助っ人のように起用されている。
また、里見黄門、原田助、合田挌の布陣は舞台で一時、復活しており、これが示すのは、『水戸黄門』終了は民放とスポンサーによる判断であり、民放とスポンサー抜けてC.A.Lまたは出演者が揃えば『水戸黄門』や『大岡越前』はリメイクされるわけだ。
ただ、重要なのは視聴者が金を拂うシステムだということだ。

『水戸黄門』終了で民放の連続時代劇が減った。テレ東『逃亡者おりん』、NHK『あさきゆめみし~八百屋お七異聞』などで少しずつ続いているが、多くは『だましゑ歌麿』『みをつくし料理長』のようなスペシャルか『武士の献立』『利休にたずねよ』のような映画だ。
2014年には『超高速参勤交代』『るろうに検心』の新作もある。

『水戸黄門』終了決定時、多くのメディアは日本文化の危機のように大騒ぎしたが、それは『水戸黄門』そのものの消滅でなく、単に時代劇が減って、撮影所の裏方の仕事が減ることへの危惧だった。それならスペシャルでも映画でも時代劇が増えればいいだけの話だ。
『水戸黄門』終了は時間の問題だったし、むしろもっと早く終わっても不思議はなかった。

『水戸黄門』終了で時代劇の裏方の仕事が減るとしてもそれは『水戸黄門』スタッフや出演者の責任ではない。
むしろ1996年か97年ごろから潮が引くように時代劇から撤退を始めた他のテレビ各局の責任である。
『水戸黄門』は気付いたら民放の連続時代劇が自分だけになったので、引くに引けなくなっていただけの話だ。
西暦2011年まで続いた方が奇跡的だった。

BS-TBSで「こちら本池上署」の再放送をやっていた。これは2002~2005年のナショナル劇場で放送された水戸黄門の各シリーズの間の現代ドラマ。1970~90年代当時、この枠は大岡越前、江戸を斬る」などの時代劇だった。
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水戸黄門の後番組(月曜夜8時TBS)
2012
ステップファザー・ステップ
ハンチョウ5
浪花少年探偵団
パーフェクト・ブルー
2013
ハンチョウ6
確証
名もなき毒
刑事のまなざし
2014
隠蔽捜査
ホワイト・ラボ
ペテロの葬列
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前後一覧
2014年7/15

関連語句
水戸黄門 半沢直樹
Yahoo!ブログ - [水戸黄門 終了 43部] の検索結果(記事)
Yahoo!ブログ - [水戸黄門 終了 42年] の検索結果(記事)
水戸黄門 終了 里見浩太朗(twitter)
水戸黄門 里見浩太朗 斬られた思い(twitter)
黄門 里見 斬られた思い(twitter)

参照
『水戸黄門』が第43部で終了 - Yahoo!ブログ
『半沢直樹』最終回を『水戸黄門』に喩えた場合 - Yahoo!ブログ
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