大山のぶ代は母親になれなかった悔しさをドラえもんにぶつけ、本来、のび太と対等な友人だったはずのドラえもんを「視聴者の母親」にしてしまった。一方、自らはドラえもんという子供を授かった母親のような気持ちで、他の声優の仕事を断った。それで藤子・F・不二雄が倒れた時、また子供を失うような気がして悲しんだのだろう。
しかし大山のぶ代が自ら病気になり、ファンという子供のためにドラえもんの声優を次世代にバトンタッチしようと考えた。声優交代後、大山のぶ代が認知症になったのは、本人がドラえもんの声を単なる仕事でなく、自分の分身か子供の代わりにしてのめりこんでしまったからではないか。
肝付兼太、小原乃梨子、野村道子、たてかべ和也は適度に他の仕事もしていたのがよかった。それでも野村道子はしずかの声と同時にワカメの声から引退し、大山のぶ代の認知症公表と同時期にたてかべ和也は世を去った。
大山のぶ代がドラえもんの声を担当する前の1970年代当時、ドラえもんは1960年代生まれの世代によって支えられていた。しかし1979年からドラえもんの声を担当した大山のぶ代はドラえもんが子供に与える影響を考え、セリフを改変していった。これは1960年代生まれには違和感があっただろうが、1970年代生まれの世代は大山のぶ代のドラえもんからドラえもんという作品を知っていった。大山のぶ代は過去のファンを無視し、80年代以降に育っていった「第2世代」を相手にしていたわけだ。
つまりドラえもんは過去のファンを切り捨てて、リアルタイムの子供のために常に変化していたわけだ。
2005年以降の水田わさびのドラえもんは1970年代生まれや80年代生まれ、90年代生まれを相手にしていないだろう。200年代に生まれた新世代に合わせたドラえもんが作り出されている。
大山のぶ代は母親になれなかったので、ドラえもんを母にして作品を成功させた。
水田わさび、かかずゆみ、千秋は、幸いにして母親として働きながら声優をしている。今の声優陣は本物の母親としてドラえもん、しずか、ドラミに「のび太の友」としての役割を与えているわけだ。
しずかの声を担当するかかずゆみの場合、彼女の子供はドラえもんの視聴者でもある。かかずゆみは声優業の傍ら、ドラえもんファンの母親としてドラえもんのイベントに行ってドラえもんと対面したこともあるらしい。
大山のぶ代がドラえもんを母にし、水田わさびは原作に立ち返って兄弟、友人としてのドラえもんを演じ、しかもリアルタイムで子育てをして自然と作品に「母親の目」を入れることができるわけだ。
参照
鈴木砂羽主演『プレミアムドラマ ドラえもん、母になる〜大山のぶ代物語〜』関連tw(2015年12月下旬) - Yahoo!ブログ
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