ダイキン工業は、同社独自の空気清浄技術「光速ストリーマ」で部屋の空気とエアコン内部をキレイにするエアコン「うるるとさらら Rシリーズ」を、11月19日に発売する。価格はすべてオープンプライス。店頭予想価格は198,000~338,000円前後。
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● 光速ストリーマで室内の空気と本体内を清潔に
無給水で加湿運転ができるエアコン「うるるとさらら」の最新モデルで、Rシリーズはラインナップで最上位に当たる製品。今回は、ダイキン独自の空気清浄技術「光速ストリーマ」を、室内機に搭載した点が特徴。光速ストリーマとは、菌やウイルス、アレル物質などを除去する活性種を生成する技術で、同社の空気清浄機にも搭載されている。
この光速ストリーマが、室内機のフィルター「光触媒チタンアパタイトフィルター」に捕集されたウイルスやカビ菌、細菌を照射することで、活動を抑制。ウイルスの場合、前年モデルはフィルターで24時間かけて抑制していたところを、本製品では1時間で99.9%抑制できるという。
加えて、前年モデルから搭載されている、室内機の上下左右から風を吹き出す「4方気流」との併用により、ストリーマで除菌・脱臭した風を部屋の隅々まで届ける効果もある。同社では、部屋の隅に浮遊するカビ菌の残存率は、4方気流なしの従来機と比べ、約半分になるという試験結果を発表している。
さらに、運転停止後に室内機内部へ光速ストリーマを照射することで、熱交換器やファンに付いたカビや、悪臭の原因となる菌も分解・除去できるという。また、エアコン内部に発生した結露水も光速ストリーマで除菌することで、結露水が除菌効果のある水「除菌水」に変わり、この水が熱交換器に付着している細菌を1時間で99.9%除去するという効果もあるという。
空調営業本部 事業戦略室の多田裕之 商品企画担当課長は、光速ストリーマを搭載した理由として、市場背景にエアコンの空気清浄ニーズが拡大しており、特にニオイに関する問い合わせが多くなっている点を指摘した。
「昨年のインフルエンザの世界流行が(空気清浄ニーズ増加の)きっかけにもなったが、もともとエアコンは昔からニオイの問題があった。コンタクトセンサーに入ってきたお客様の電話でも、『カビや菌を取りたい』ではなく『ニオイをとにかく取りたい』という直接的な声が多かった。それなら、ニオイの原因は何かというのを突き詰めて、それをやっつけることを商品のコンセプトにした」
また、空調生産本部 小型RA商品グループリーダーの小泉淳 主任技師は、エアコンのいやなニオイの原因が黄色ブドウ球菌であることを指摘したうえで、「除菌水」を利用することで同菌が除去できる点を強調した。
「エアコンは冷房運転を行なうと、熱交換器に結露水など水分が発生するが、これが残るとカビや菌が繁殖しやすくなり、ニオイが発生する。今回、奈良女子大学との共同研究により、このニオイの主な原因菌が黄色ブドウ球菌であることを特定した。そこで、結露水にストリーマを当てることで、水に活性種を溶け込ませ、水そのものに除菌力を持たせて、ニオイの原因菌の発生を抑制している。今まで、単に捨てていた結露水をストリーマを使うことで、エアコンをいつまでも清潔に保つことができる」
このほか、リモコンもリニューアル。室内の温湿度や屋外温度表示といった機能に加え、自動で省エネ運転する「快適エコ」運転を選ぶことで電気代が1日当たりいくら安くなるかの試算を表示する「快適エコガイド」、毎回の運転にかかった電気代を表示する「電気代実績」の2つの表示機能を搭載した。
● 壁掛け型は全モデルで光速ストリーマ搭載
光速ストリーマは、下位モデルの「Hシリーズ」「Cシリーズ」「Pシリーズ」「Eシリーズ」、および寒冷地向けモデル「DXシリーズ」も含め、同社の壁掛け用エアコン全機種に搭載される。
多田氏はラインナップ全機種に光速ストリーマを搭載した理由について「どんな商品でも共通のニーズがあるだろうということで、全機種に搭載した。湿度や気流のテクノロジーに光速ストリーマを追加することで、よりよい空気環境を作っていきたい」と説明した。
各モデルの機能の違いについては、最上位モデルのRシリーズには、無給水で加湿ができる「うるる加湿」機能が、R/H/DXシリーズには、4方気流が搭載されている。C/P/Eシリーズにはリモコンの快適エコガイド機能はなく、P/Eシリーズではフィルター自動掃除機能、C/Eシリーズでは再熱除湿機能(温度を下げない除湿運転)が省かれている。C/P/DXシリーズでは、除菌水による室内除菌機能は搭載されていない。
価格はオープンプライス。店頭予想価格は、Hシリーズが178,00~318,000円前後、Cシリーズが118,000~214,000円前後、Pシリーズが108,000~194,000円前後、Eシリーズが79,800~154,000円前後。発売日はHシリーズが11月、Eシリーズが2011年1月、そのほかは2011年2月。
● 猛暑で上期は好調。下期は前年並みも、2011年度全体では10%増の予想
ダイキン工業の執行役員 坪内俊貴 空調営業本部長は、新製品について「ダイキン独自の無吸水加湿、4方気流に加えて、これまで一部機種にしか搭載されていなかったが、今年は壁掛け型の全シリーズに搭載 。キレイな空気で、省エネと快適をお客様に提供できると信じている。メーカーが自信を持ってお勧めする商品」とアピールした。
坪内氏はまた、上期の売り上げについて「例年にない猛暑の恩恵をうけることができた。業界全体では対前年同期比16%増となる515万台と、大きく前年を上回っている」と好調であったことを明らかにした。下期については「市況は不透明」としながら、「猛暑の余熱需要、住宅着工件数の回復、エコポイントの前倒し、厳冬などと言われており、前年並みの246万台」としている。年間では、対前年10%増の760万台との予想となっている。
【家電 Watch,正藤 慶一】
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