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映画、萌ゆる日々(書庫)

萌える映画、萌え以外映画も日々のこやしのブログ

川の底からこんにちは

2010-05-18 00:26:43 | 映画感想



前半はタルかった(笑) たぶんOL生活のやるせなさを感じる人には、ぬるい感じが受けると思うが。
私はOLもしたけど、期間短し。合わないってわかったんで辞めた(笑)
書店員歴が一番長いですが、男女も上下も関係ない仕事ですもの。みんな重い本扱って、お昼休憩以外は立ちっぱなし。当然給湯室はない(笑)

でも会社でのなんとも間延びした、ある意味イライラするようなやり取りの中にも、佐和子の資質は出てるのね。
彼女は言葉が足りないし、コミニュケーションを面倒くさがる質。話す言葉もなんとも投げやりだし、自らを『中の下の女』と言う自虐派とも、無気力とも言える言動。
さらにどうしようもないバツイチ子持ち男と付き合ってるけれど、彼との仲も曖昧。
この男がまさにダメ男で、さらにイラッと(^_^;)

そんな爽快さとは程遠い出だしからしばらく。
ところが、佐和子が故郷に帰り、父親のしじみ工場に入るころから話は俄然面白くなる。
そして、彼女が逆切れしてからは加速する(笑)

そして、ストレス解消になにかというと空けるビール缶は、父親似の酒豪であることがわかるし、結局は「頑張るしかないんですよ!」と底力を見せてくるところも、女関係にはだらしなくても、社長としては人を引っ張ってきた父親の血が濃いのかもしれない。
会社でモニターの子供のおしっこを処理した際も、あんまり気にしてなかったのは実家で毎朝ぼっとん便所の肥え汲みをしてたからだし。
綺麗ごとを言わないのが、彼女の長所だとわかってくる。

佐和子が考え出した復興の手は、そんなんでどうにかなるのかい!レベルのものでしたが(笑)
なんせ元手が5万円ぽっきりだからな。で、売上アップする(笑)
コメディだからと言えばそうなんだけど、ある意味モチベーションの上がった人たちが扱う商品は、それだけでパワーが注入され引き寄せられると言ってしまうのもアリかもしれない。

父親との確執と仲直りは、おかしみと哀しさもあって良かった。
幼い時に母を亡くした子として、バツイチ男の連れ子と馴染んで行くところもいい。
子役がまた上手なんだが、彼女に赤ちゃん言葉で対峙してる時はお互い線引びしびしで、乱暴な口調になってからは疑似親子としてすごくしっくり行ってるのもリアリティ。

佐和子の言う「どうせあんたもたいしたことない子なんだから。頑張らないといけないんだから」は、子供は常に褒めて育てましょう教育論など丸無視の、彼女自身の生き方と踏ん張りを真っすぐにぶつけていくので、子供はすぐに理解する。とくにダメ親父を持った子には、うわべの甘いポジティブ言葉は通用しない。
自分と一緒にがんばろと伝えたことをちゃんと受け取るんですよね。
そしてダメ父もまたそれなりに覚悟を決め出す。しかし男はどうしようもない。
しじみ撮りの親父が、彼に「男はみんな旅人なのよ。旅が終われば黙って帰るのよ」と言った時に、ほぼ女性客がみな失笑してました(笑) 男性客はたぶん苦笑い。
だってそのあと、奥さんに貼り倒されてるし(笑)

あとはこの映画は、なんと言っても女性パワー。
なにしろおばはん。田舎のおばはん。
上の予告を見ればおわかりの通り。おばさん陣のお着替えショットは圧巻。
シュミーズ。のされます。スリップじゃないの。シュミーズなの。おっかさんが着てる的な。
おばさんは東京帰りの若い女の子の敵ですが。
一度心を開くと、全員がおふくろ。強力すぎる味方。女の敵は女。女の味方も女。
とくにリーダー格のおばさんのキャラは立ってます。

結構生々しいというか、美しい若者じゃなくても、おばさんおとっつぁんにもそれなりにアッチの生活は盛んなんだよ。的な話も有り。そこのリアリティが笑えます。むしろヒロインが枯れている(笑)
なんだっけ。エロ川柳? そういう感じの艶笑話も含まれてます。
肝臓に効くと言われてるしじみ工場の社長が、肝硬変というのもなんともブラックと言うか。あるかもしれんね。

主役の佐和子、満島ひかりちゃんは今旬の女優さんだそうで。
目が大きくて美人なのは見ればひとわかりなんですが、髪型やなりふり構わぬ感で、ぼさっとした生気の無さ加減を出してて、冴えなく見えるのがすごい。上手いです。
特にラストショット。泣きながらもどこか満足したような表情を浮かべてるのはさすがだなあと。
胸は確かに無いね(笑) でも、「私がスイカみたいな胸じゃないからですか」とかいうセリフと、肥えをまいてたところに育ったスイカをみんなで食べるシーンに繋げてるんだね。
そんなの気にせず「サワコが蒔いてくれたおかげで甘いねー」とか言ってんのが、地方人の強さ。
田舎の狭量さとおおらかさの同居。都会の閉塞感とそれなり感も対比されてますね。

しじみ工場、木村水産の社歌は、一度聞くと忘れられません(笑)
しじみのごとく、底辺でうごめきながら頑張る。味わいと栄養のある映画でした。
なにせお江戸でも渋谷の1館での上映。見る人は少ないと思うけど、DVDになったあかつきには手を伸ばされてはいかが。


2 コメント

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勘違い (かなん)
2010-05-19 01:58:33
これ,題名見たとき「山形スクリーム」みたいなホラー&コメディーかと思ってたんですよ。
しじみだから川の底なのね,お化けじゃないのか。(^_^)
社歌がインパクトあるみたいですね。社歌聞きたさにDVDレンタルするかもデス。
「白夜行」,映画化ですね。堀北真希ちゃんと高良健吾くんの組み合わせです。
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しじみのパック詰め (山吹@予定がパック詰め)
2010-05-19 23:34:54
オバケじゃないです。それならウィンチェスター兄弟を呼ばな。

社歌は予告編に流れてるもので、公式ページでフル聞けますよ。
どうでもいい歌詞なんだけど、なぜか笑える。
結構面白い話でしたよ。駄目人間だからこその味。

『白夜行』はドラマ版で私にはすべて帰結してるんで、映画は見るつもりはないです。でもドラマとは違ったアプローチをするだろうから、それもまた必要な人がいると思う。何にせよ名作だから、多くの人が見るといいですね。
お二人はなんかの映画予告で見たことしかない^^;
なのでコメント言えませんが、いい感じですか?
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