熱帯魚工作箱

熱帯魚飼育関連の自作用品集

目的の記事が見当たらない時は『カテゴリー』からどうぞ

浮舟式栽培箱(サギソウの育て方)その後

2007-08-26 23:56:12 | 育て方 (湿地植物など)

今年のサギソウ

『浮舟式栽培箱』というメンテフリーなサギソウの栽培方法に出会って数年になるのですが(作り方と栽培方法はこちらの考案された方のHPをご覧ください 私の製作記事はこちらです)疑問が浮かべば試してみないと気が済まない性格のため毎年失敗を繰り返しています。今年も結果的には失敗に終わったのですが失敗も何かの参考になるかと思い感想を書いてみることにしました。

サギソウを育てるのに一番大事な「水を切らさない」ということはこの栽培方法でクリアされています。
次に気になるキーワードは本を読んでもネット検索しても必ずといっていいほど書かれている「弱酸性」と「貧栄養」という言葉ですね。貧栄養については何となくイメージすることができるのですが、弱酸性と書かれている割には理由やサギソウ自生地や植木鉢の腰水のPHについて具体的に数値で述べられていることはほとんどありません。
数年前、栽培に使っているチリ産のミズゴケのPHを測っていてミズゴケをギュッとしぼった最後の数滴のしずくのPHのあまりの低さに(PH4以下の値を示します)びびってしまいPHを熱帯魚用のPH上昇剤でPH6.5(弱酸性)に調整したらサギソウは出てくる葉が順番に溶けるように枯れてみごとに全滅しました。そこで浮舟式栽培箱の本家にお願いして使っておられるミズゴケ(休耕田の採取品)を少し分けてもらってPHを測ってみたら乾燥したものを水で戻したものも生きているものもしぼり汁の最後の数滴はPH5以下でした。チリ産も国産もミズゴケは(強)酸性でした。その後ネットで検索していて知ったのですがミズゴケは生理的に強酸性だそうです。
それでも弱酸性という言葉が頭から離れないので今年はPH調整はしないもののミズゴケ(チリ産)を水で戻してギュッと絞って再度新しい水で戻すという工程を2回繰り返したものでサギソウを植えました。
栽培箱を2箱準備して1箱はピート水とテトラのPHマイナスを使ってPH6.0に調整して もう1箱は熱帯魚用の「PHブロック(6.5)」を水の中に1錠を投入しました。このPHブロックは指定されたPH値をキープするという商品でなるほどうたい文句どおりいつ測ってもビシッとPH6.5です。成分がサギソウの生育に影響があるかも?と思いましたが観賞魚用なのでまあ大丈夫かなと思いとりあえず使ってみました。
PH6に調整している箱は水質が安定せずPHは上昇傾向で少なくとも1週間ごとに再調整の必要がありPHは6~7あたりといったところです。
問題はサギソウの葉が出始めると同時に発覚しました。どちらの箱も成長が遅いうえ全体に勢いがありません。ミズゴケもなんとなく腐りかげんで触るとべっとりとちょっと溶けた感じです。ミズゴケはPHを上げると早く腐ると思われます。そういえば去年も腐るのが早かったような。PH6.5キープの方は出てくる葉の全てが先から腐り始め立ち枯れ状態のものもあります。「PHブロック」が影響しているかは何ともいえませんが状況から見るとPHが高いのが主因のように思われます。PHを6でキープしていた方も少しはましですが同じような状態です。このままでは全滅間違いなしです。 ただ…じっくり観察してみると生きているミズゴケを植えているあたりのサギソウの状態が他に比べて良かったので(PHが他より低いと考えられる部分です)もしや?と思いその日から思い切ってPHを5.0に下げてみることにしました(水は交換していません)。
1週間で結果が出始めました。だんだんと状態が戻りはじめ 写真を見ていただくと分かりますが新しい葉ほど大きくなり頭でっかちで順調に育ったサギソウと比べるとちょっと形が不自然です。



対処が遅かったので花は1株しか咲きませんでしたが「芋」は出来そうな状態にまで復活してきているように思われます。

ついでに例年とは違うことを1つ発見しました。
毎年葉の先が茶色く溶けるように枯れていたのですが、これは大阪の暑さが原因で葉が焼けたのだと思っていました、今年はPH5に調整してからは葉の先が茶色く枯れる現象がなぜか出ていないのです。もちろん今年の大阪の夏は例年より涼しかった訳ではありません。PHを下げたことと関係しているのかは分かりませんが今のところ暑くても元気です。また謎が1つ増えてしまいました。



PHブロックの箱の生ミズゴケの近くで生き残っていたサギソウも花が咲くのと同時に枯れてしまいました。

サギソウは思っているよりもっと低いPHで育つ植物なのかも知れません。
腰水のPHが弱酸性でもミズゴケ内のPHはもっと低いはずです。
買ってきたミズゴケを水で戻して普通に何も小細工をせずにサギソウを植えて腰水に雨水などを使えばこの環境になりますね。
たまたま手元にPHメーターがあってミズゴケのしぼり汁のPHを測ったことでこんな迷路に入り込んでしまったのですがこれで少しは前進したような気がします。
園芸書では毎年新しいミズゴケで植えるようにと書いてあります。腐ったミズゴケは取り除くようにとも書いてあります。経験上から分かったことだと思いますが これって上記のことを考えると当てはまると思いませんか。…ということは古いミズゴケでもしっかりとしていればPHが低いと考えられるので再使用しても問題は無いのかもしれませんね。
砂で植える場合はPHの低い水(PH5以下?)を使えば水やりが大変ですが元気に育てられるのかも?
ちなみに私の住んでいる所(大阪)の水道水のPHは鉛管対策とかで7.7です。こんな水で水やりをしていたのではこまめに潅水をすればするほどサギソウには良くない状況を作ることになります。

初めて浮舟式で育てた時に上手くいったので調子に乗って欲を出していろんなことを試して失敗を繰り返してきましたが、本来この『浮舟式栽培箱』はメンテフリーでサギソウを育てることができるスグレモノです。私がいろんなことを試してややこしくしてしまっているだけです。くれぐれも誤解をなさらないでくださいね。
結果が出るまでに1年かかるうえいろいろ試さないと気が済まない性格のため当分悩むことになりそうです。



今回のオマケ画像

シラタマホシクサのつぼみです大きさはまだ3mmほどです。


ちょっと小技を使って「風」を表現してみました。




コメント (12)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 前の記事へ | トップ | 次の記事へ »
最新の画像もっと見る

12 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (greentetora)
2007-08-28 13:38:34
こちらでははじめまして!
やはり、実際に上手くいっている方法が正しい場合が多いということでしょうか。
それとミズワラビもそうですが、日本に自生する湿性~水生植物は侘びさびがあっていいですねー。
私も自生地が減り希少になりつつある種であるからこそモラルをもって手元で増やしてみたいと
興味を持ったことがあります。
以前、国産ミズマツバをキープしていたのですが
水中葉を拝む前に溶けてロストしてしまいました。
アラグアイアミズマツバと比較したかったのに。
返信する
他にもキープしているものが (mizuwarabi)
2007-08-28 19:19:02
greentetoraさん こんばんは
実は私が住んでいる市内産ですでに自生地が無くなってしまった「デンジソウ」を30年以上キープしています。強健種なのでなんとか絶やさずに維持できていますが恩師(故人)からのもらいものでもあるので何としてもキープし続けたいと思っています。
返信する
今年は残念。 (ossyan)
2007-08-29 00:31:14
でも来年はもう1ステップ上に行きそうですね。紹介しているリンク先の方の年齢になる頃には、達人になるのも夢ではないかも。まだまだいけますぞ。

しかしラン科の植物だけあって手ごわいようですね。サギ草にはちょっと手が出ないのですが、私は同じラン科のネジバナに気が惹かれます。
数年前ネジバナの群生しているところからちょっと花を拝借して、種を庭の芝に蒔いたところ、毎年ほんの数輪ですが花が咲くようになりました。
ネジバナは単独栽培でなく、芝など他の植物と植えたほうが良いとのことで、ラン科の植物は繊細かつちょっと変わったものが多いようです。

来年はお得意のピートモス汁で、酸度調整したらどうですか?それとも既にためし済み??
返信する
こんばんは やって来ました (ひめだか)
2007-08-29 00:45:33
 こちらでは、初めまして、です。いつもコメントをありがとうございます。場違いな素人です。お手柔らかに。
 なんだか、この夜遅くに、PH試験紙持ってサギソウのところに行きたくなりましたよ。さすがにメダカ飼う程度ですから、PHメーターまでは持っていません。お猿さん宅で、酸性水の話で盛り上がったのですよ。そこの井戸水がいい具合に弱酸性だそうで、水遣りにこのまま使える、といっていました。
 水道水は、最低でもカルキ抜きをして、と言うことで、几帳面に雨水だけしか使わない人もいて、それでもサギソウはだめだったそうで、温度・風通しを疑っています。あっ、水苔で植えているかは不明です。
 私のところは、田舎なのでしっかりカルキ臭い簡易水道です。サギソウの水は基本くみ置き水ですが、メダカに使った水や、ごくまれに水道から直接と言うことがあっても今まで問題はありません。こんな報告では、ほとんどデータになりませんね。最高気温は、愛知県の太平洋側並み、最低はずっと下がります。夏バテは「ない」とは言い切れない環境です。水苔は、山採りのものを近くの農協で買っています。3年持ち越しで下から追加するだけで、当初のものを捨ててはいませんし、腐ってもいません。その中にミミカキグサなどが生きているので、捨てられないのです。
 ところでシラタマホシクサは、これからかわいい姿を見せてくれそうですね。良かった良かった。
 このmizuwarabiさんのレポート、お猿さんも楽しんでくれると思いますよ。長々と失礼いたしました。
返信する
Unknown (mizuwarabi)
2007-08-29 12:52:40
ossyanさん
結果を確認するまで1年かかるうえ謎がふえるばかりでなかなか前進しません。
背中押しましょうか?「浮舟式」楽しいですよ。
ピート水すでに使っていますよ。できればピートそのものを投入したいぐらいですが止水だと底にたまって腐るんです。
返信する
ミズゴケのPH (mizuwarabi)
2007-08-29 12:55:15
ひめだかさん コメントありがとうございます。
ミズゴケのしぼり汁はPH試験紙ならたぶん測れると思います。熱帯魚用のPH測定液だと測定範囲外です。国産のミズゴケですか うらやましい。
大阪は暑いですよ!夜になっても温度が下がりません。うちのサギソウは日はあたりますが風通し最悪です。遮光もあえてしていません。でもなぜかPHを下げてからはいまのところ葉の先は溶けていません。
ちなみにPH6.5の箱はシラタマホシクサも全滅しました。
「浮舟式おおさかバージョン」めざしてがんばります。
返信する
PH調整について (転ばぬ先の杖)
2007-10-08 10:33:11
ミズワラビ様はじめまして。
大阪在住の転ばぬ先の杖と申します。
浮き船式栽培法の猿渡様から、紹介いただきました。
私も、輸入ミズゴケをホームセンター及び園芸店で、購入いたしました。チリ産とニュージーランド産のミズゴケなのですが、どちらもPH値が低く弱酸性にするため、水道水の汲み置き水(PH値7.5)を、2週間ほど、与えてみましたが、あまり変化なく、昨日、猿渡様のHPの掲示板に質問させていただきましたが、書き込みがなかったので、蛎殻粉粉末を調整用にミズゴケの上に撒いてみました。
ミズワラビ様のHPを拝見し、少し不安な面も残りますので、ミズゴケだけの栽培も試してみようと思います。
返信する
ミズゴケの調整 (mizuwarabi)
2007-10-09 12:53:11
転ばぬ先の杖さん はじめまして
東谷山のお猿さんのゲストブックをいつもチェックしているのでHNでピンときましたよ。
お猿さんが使っておられるミズゴケもPH5前後です。でもこれについては神経質にならないほうがよさそうです。ミズゴケのPHを6.5に調整した時は見事に全滅しました。
PH調整にカキ殻粉末をミズゴケに混ぜたり振りかけたりするのははNGです。これも失敗経験があります。穏やかに効くのはいいのですがいつまでもじわじわとPH値が上昇します。粉なので必要が無くなっても取り除くことができません。
ちなみに今は浮舟式栽培箱の水のPHを5.0に調整していますがサギソウは育っています。
質問などはメールでも結構ですよ。アドレスはプロフィール欄にあります。
返信する
PH5.0の調整方法 (稲垣肇)
2009-11-19 22:51:36
本年2月浮船方式でサギ草を200球植えつけました。結果はおもはしくありませんでした。
一度PH5で挑戦しようと思いますが、PH5にする方法が分かりません。
具体的に教えていただけませんか?

返信する
PH調整 (mizuwarabi)
2009-11-20 12:48:00
稲垣さん コメントありがとうございます。
PH5 というのは腰水の話ですよね。
調子の悪い原因が腰水のPHとは限らないのでやっかいです。
ミズゴケ植えでずっとPH5.0だとサギソウは枯れはしませんが生育障害が出る場合があります。私は腰水のPHはもう少し高い目(PH6~6.5ぐらい?)に設定しています。

PHの下げ方ですが

①熱帯魚ショップで売られているPH降下剤(ボトル入の液体)なら一瞬でPHを下げることができます …が翌日にはPH値が戻っているので毎日チェックする必要があります PHが常に変化するのでこの方法は今は使っていません。

②成分無調整のピートを使う方法 バケツなどに水とピートを入れてかき混ぜ数日間置いておくと茶色の水ができるので透明な上澄み部分を使います。水で薄めて希望のPH値に調整します。直接腰水の中にピートを投入するとピートが腐ります。水に色が付いているので試薬では正確な測定ができません。

③乾燥ミズゴケを使う方法 一番安い海外産の圧縮のものを買ってきて2つかみほどを水の入ったバケツに入れ握りつぶすようにしっかりミズゴケを水中でもんでから水を濾して使います。

どの方法も見た目では判断できないのでPH測定試薬やPH計が必需品です。
返信する

コメントを投稿