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介護というには大袈裟ですが。

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寒くなると思い出す あの人 [7]

2023-01-29 13:06:50 | 日記
ツネ師匠から退職をする事をいきなり告げられ、私は動揺し戸惑った、しかしこればかりは私の力ではどうすることも出来ない。早く気持ちを切り替えるしかなかった。
まだ2ヶ月退職日まで時間がある、あまり先の事を考えても仕方がない、とりあえず一日一日集中しょうと考えを変えた。
ただ日常の中での違和感は、その日の午後から常に抱いていた。何かあれば気軽にツネ師匠に声をかけていたが、話しかける事も何故か少し躊躇するようになり、ツネ師匠も口には出さないも、俺に頼るなという雰囲気を少しだが漂わせていた。
私達の中で明らかに距離が出来、寂しく重い空気の中、一ヶ月半の月日が流れた。
そして来週一杯で退職をむかえる週の始め。ツネ師匠が私に小声で言った。
『今週土曜、もし良かったら飲まないか?』
『もちろん喜んで。ぜひ。』
私は素直に誘われた事が嬉しかった。


寒くなると思い出す あの人 [6]

2023-01-27 12:13:38 | 日記
それはいきなりの事だった。
『俺、来月で退職するから。』
『えっ?』
私はツネ師匠の突然の申し出に言葉が出なかった。
定年まで後2年ある。本人が希望すれば5年の雇用延長も問題なく出来た。
少なくとも定年までは仕事を一緒にしていただけると思っていたのだ。
『いきなり、どうしてですか?』
『最初から、そんな長く勤める気はなかったんだ。お前の面倒も見るのは疲れたからな。』
ツネ師匠は、何故か、はにかんだような笑顔を見せた。
『もう決めたんですか?』
『あぁ、社長にも了承を得たよ。』
私は気の利いた言葉が見つからなかった。
少し重苦しい空気になり、紛らわすようにトンカツを食べた。
ツネ師匠は、頼んだトンカツを半分残し、常備薬を4.5錠飲んだ。
気のせいか、少し痩せて見えた。


寒くなると思い出す あの人 [5]

2023-01-26 12:27:29 | 日記
インテリジェンスで途中入社のツネ師匠は、落ちこぼれの新入社員である私に対し、何かと面倒を見てくれた。私も困ったことは直属の上司ではなく、なんとなくツネ師匠に頼っていた。とにかく彼は親しみやすく、話しやすい雰囲気であった。
そんな中、すったもんだ色々あったが、新入社員から後2ヶ月したら2年目になろうという寒い日の事だった。
お昼に何気なく2人で近くの定食屋で呑気に、とんかつ定食を食べている時である。
ツネ師匠は、少しいつもと雰囲気が違うと私が感じた、その時。
彼はいきなり思いもかけない事を言い始めた。

寒くなると思い出す あの人 [4]

2023-01-25 17:05:46 | 日記

私が新入社員だった頃の社長はオーナー社長の息子であり二代目だった。そのためか、性格は良く言えば豪快、悪く言えばワガママであり、従業員も、彼に振り回されるのは日常茶飯事であった。
今では考えられない様な事も当時は当たり前だった。それでも200名近い従業員からは、そこまで不満は出なかった、少なからず私は2代目社長に対して嫌いになったことはなかった。三波伸介 (知らない人はネットで調べて見てくださいね)に似た風ぼう、そして笑うと何とも言えないチャーミングな、あの笑顔。人間味あふれる彼を私は心底大好きだったのだ。
そんな豪快な彼とツネ師匠がどこで知り合いになったのかは、後々わかるのだが、その段階ではまだ、誰もわかっていなかった。しかし困っている人をカッコつけて受け入れてしまう社長の性格からツネ師匠を勢いて入社させたのは容易に想像出来た。


寒くなると思い出す あの人 [3]

2023-01-24 15:42:58 | 日記
中小でブラック企業の我が社に何故ツネ師匠の様な方が入社したのかは従業員の間で話題になり、明確な答えは分からずにいた。ツネ師匠は過去の事を全く語ることはなかったのだ。
『どのような仕事をされていたのですか。』
と我が社の若い女子社員が興味本位で聞いても、大したことはしてませんよ。と笑顔で答えを曖昧にした。
そんな中、我が社の社長と個人的な知り合いであることが、会社のお偉いさんから噂話しとして出てきた。そして我が社の従業員は、ほぼその噂は間違いないと感じた。我が社では、社長の知り合いの入社は珍しい話では全くなかったのである。
私も実は社長の事は学生時代から知っていて、かなりコネ入社に近い形で入社した経緯がある、その辺の事を書いてしまうと原稿用紙50枚位書いてしまうので割愛するが、当時の社長は人間味あふれる、昭和の豪快さと、いい加減さを兼ね備えた、愛すべきワンマン経営者であった。