国際原子力事故評価尺度によれば、福島第一原発事故は、チェルノブイリ事故と同じ「レベル7」の評価をされています。
国際的に見て、福島原発の事故は歴史上最悪の原発事故とされるチェルノブイリと同じレベルとして扱われているのです。
しかし、この二つは原子炉の性格から事故の規模、被害状況、放出された放射能の量からして、まったく別物で異質なものです。
福島原発は軽水炉、チェルノブイリは黒鉛炉という違いもあるし、原子炉そのものが爆発したチェルノブイリに対し、福島は建屋が水素爆発で吹き飛んだだけで、原子炉は自動停止した状態だったのです。原子炉を覆っていた圧力容器も格納容器もほとんど損傷してません。
当然、拡散した放射線量もケタが違います。福島原発事故によって漏出した放射線量はチェルノブイリの十分の一程度といわれます。これは事故発生当時の、今後予測される放射線量の数値ですので、放射線量が低減したその後の経過を見ると、実際にはもっと小規模で済んでいると思われます。
そして何よりの違いは、福島では放射能による直接的被害は発生していない、という事実です。チェルノブイリでは、当時のソ連政府が確認しただけで作業員や消防隊員33名が亡くなりました。そのうち、急性放射線障害で死亡したのは28名。
また、チェルノブイリでは小児の甲状腺がんが多発しました。放射性物質であるヨウ素131が食物連鎖の中で牛乳やミルクに蓄積し、それを摂取した子供たちが発病したと考えられています。福島ではスクリーニングの結果、甲状腺がんの潜在的な発病者が掘り起こされましたが、放射線の内部被ばくが原因である可能性は極めて低いです。
安易に福島とチェルノブイリを比較する風潮は今だ根強いですが、それだけで偏見や風評被害をもたらす結果となりますので、正しい情報を発信して誤解を解いていかなくてはなりません。