福島第一原発の1~4号機は、既に廃炉になることが決まっています。
完全に廃炉が実施されるまで、実に30~40年かかると言われています。
溶け落ちた燃料を取り出すという、世界に例を見ない廃炉作業ですので、未知の問題に対する研究開発と、それらを解決するための技術開発が長期の計画の中で求められます。
現在、4号機の燃料プールに保管されていた全ての燃料棒の取り出しと安全な場所への移送が完了したばかりです。
今後、行われる廃炉作業のプロセスは
(1)1~3号機の中にある、溶け落ちた燃料の場所を特定
(2)建屋内にうずまるがれきの除去
(3)1~3号機の中にある全ての燃料の取り出し・移送
(4)建屋の解体
4号機は地震発生当時、定期点検中で稼働を停止していたため、炉内に燃料はなく、プールの中の燃料棒の取り出しだけで済みました。
しかし、1~3号機は事情が異なります。
主な問題点は
・溶け落ちた燃料の場所を特定しなければならないが、建屋内は線量が高く人為的な作業は困難
・放射性物質の拡散など、二次災害の危険性
・困難を伴うガレキ除去作業
・絶えず発生する汚染水の処理
・被爆環境にある中での作業員の健康管理・心のケアの問題
これらの問題を抱える1~3号機の燃料取り出しは、4号機よりさらに困難を極め、一たび間違えれば大事故につながるという状況の中、慎重に慎重を要する作業が予想されます。
なお、溶け落ちた燃料の場所特定に関しては、宇宙線を利用した技術の開発が進められ、一号機の格納容器内には燃料は存在しないことが確認できました。
今後は、建屋内で精密な作業が出来るロボットの開発など、新たな技術革新が求められるといった状況です。
40年という、かなり気の遠くなる年月を要する作業に、現場の作業員も地元住民も不安の中、この問題に直面していることと思います。
しかし、原発廃炉の問題は、日本だけでなく、原発を所有する世界各国が抱える課題でもあります。
過酷な事故を体験した日本だからこそ、この分野では世界をリードできるという前向きな考えもできるのではないでしょうか。
この事故の教訓と反省から得られた廃炉技術は、必ずや世界が抱える問題の解決に役立つ時が来ます。
廃炉に向けた新しい技術を開発することによって、生活の向上と科学技術の底上げを図り、国際的な信用度と安全性をPRする好機にもつながる。福島からこのような最先端技術が誕生すれば、まさに「ピンチをチャンスに転換する」またとない機会です。
福島県民の明るい未来を創造するためにも、課題や不安要素ばかりを取り上げるのではなく、国民一丸となって廃炉プロジェクトを支えていきたいと考えます。
http://www.tepco.co.jp/decommision/images/decommissioning_materials01-j.pdf