歩いてる山道の近くでは水の流れる音が聞こえてた。
細かい岩がある下り道が苦手らしく私より得意げに山道を歩いてたプーさんが岩場で非常に慎重に一歩一歩足を運んでいた。
早く歩かなきゃとは思っていても、足を上手に運べない私とプーさんはどうしてもゆっくり動きざる得なかった。
プー 「時間はないけど、焦って転ぶなよ。焦って転んだらそれこそ遭難より最悪だからね。」
私 「うん。そうだね。」
プー 「とりあえず、ウィダーインゼリーも何個か持ってるし、上に着るものも持ってるから、最悪一泊してこう。道に迷って山で突然一泊するのも悪くないらしいよ。本に書いてあった。」
私 「最悪は泊まろう。でも、日が完全に沈んだら、今よりもっと冷えるよね。持ってる荷物で間にあうのかねぇ・・・今はとりあえず、少しでも見えてるうちは帰ること前提で。」
プー 「そうだね。ま、焦るなってことだよ。」
私 「ってか、多分大丈夫だよ。さっき滝に男の子達いたし、まだなんとかなるよ。」
プー 「そうだねぇー」
数十分無言で一生懸命歩いてた。
背後から人が結構なスピードでやってくる足音が聞こえる。
あ、さっきの滝の所の子達!
信じられないスピードだった。
朝、ゆっくりジョギングしてる人たちと似ていた。
私たちが恐れる岩場にもスピードを落とさず、うさぎみたいにピョンピョン跳ねて、前へと前へと足を出す。
なんじゃこりゃ・・・
ってか、何このレベルの差・・・
だから、彼らは遅い時間に滝へやってきてもパシャパシャと写真を撮りながら、私たちのことも時間のこともさほど気にする必要がなかったのだろうと思い、ものすごく納得した。
あっという間に彼らは前の方面へ進み姿が見えなくなった。
私 「ちょー速くない?」
プー 「忍者BOYだ!忍者BOY!」
忍者BOYっていう単語が可笑しくて笑ったけど、確かに忍者BOYっていうのがなんてぴったりなんだろうと思った。
そして、もう本当に本当に私たちの後ろには誰ももう来ないんだと実感が湧いた。
不安になった。
登る前に地元のおじさんが「こないだ山の人が熊にやられたよ。」って言ったらしい。プーさんが朝のぼってるときに私に言ってた。
熊にやられながらの人生の最後の瞬間なんて考えたこともなかったのに、もしかして私熊にやられて死んじゃうのか!?って考えてしまう。
リュックの熊除けスズはとりあえず鳴っていた。
もしも山に泊まることになったら・・・鈴ずっと鳴らせないし、でも熊には用心しなきゃだし。交代で一人が寝て、もう一人がひたすら鈴を振りながら音鳴らすのかな・・・ってか、うるさくて寝れないじゃん。
ってか、熊なんて・・・
ってか、熊は冬眠してもいいじゃんか。寒いのに動き回るな。
帰ろう。熊に脅えながら山で一泊なんて嫌だ。
周りがどんどん暗くなってくる。
時間は5時前だった。
プー 「なんとか見えてるうちに、泊まるとこ探そうか。」
えぇえ!熊は!ってか、寒い!
ここが真っ暗になったら、真っ暗い世界で気味の悪い川の流れる水の音に、虫だってすっげぇー出てるし!歩きながら見かけたあの足の細長いそこそこデカイ蜘蛛に!気持ちが悪いよ!やだよ!
私 「いや、もうちょっと歩こう!まったく視界が悪くなって、歩けなくなったら泊まる。ギリギリでも見えてるうちは進もう。」
プー 「・・・わかった。」
泊まるもんかい!?
もう、必死で歩いた。
橋が出たりして、かなり動揺したんだけど、橋を渡るのに戸惑って時間とってしまって山で一泊過ごすなんてマジごめんだった。
足をガタガタブルブル震わせながら、なんとか数か所を橋を突破することが出来た。
プー 「よく橋渡れたね。いけるじゃん。」
私 「だって、生命の危機感じてるもん。」
プー 「あはは」
これが時間のあるときなら、私は橋を渡ることに悩み、軽く20分を使い、挙句の果てに「帰りたい!」って泣いてるとこだと思う。
しかし!時間がない。どんどん足元が見にくい。熊が怖い。山が怖い。
前を歩いてるプーさんが足を軽くひねった。それと同時に体のバランスも崩し、転びそうになった。
が、なんとかバランスを保ったようで転ばずに済んだ。
ほっとした。あっぶねぇ~。
私 「プーさん大丈夫?足。」
プー 「あ、うん。大丈夫。前がちょっと見にくい。」
私 「何で?なんとか暗いけど、うっすら見えるよ!?」
プー 「俺、鳥目だから。」
あ、そうだそうだ。
プーさんは暗い中で物が本当に見えないらしい。
あ、山に泊まるしかないかもな。
見えないのに歩いて、転んだら大変だし・・・
プー 「まだ、大丈夫。」
私 「本当!?見えなくなったら言ってね。そしたら泊まろう。」
それから、私は細い道が出るたび、プーさんに声をかけた。
そこの道、めっちゃ細いから、壁伝いに歩いたほうがいいよ!とか
次また、細い道だから気をつけてね!とか
もう、プーさんに対しても、自分に対しても、進むことに対して必死だった。
細かい岩がある下り道が苦手らしく私より得意げに山道を歩いてたプーさんが岩場で非常に慎重に一歩一歩足を運んでいた。
早く歩かなきゃとは思っていても、足を上手に運べない私とプーさんはどうしてもゆっくり動きざる得なかった。
プー 「時間はないけど、焦って転ぶなよ。焦って転んだらそれこそ遭難より最悪だからね。」
私 「うん。そうだね。」
プー 「とりあえず、ウィダーインゼリーも何個か持ってるし、上に着るものも持ってるから、最悪一泊してこう。道に迷って山で突然一泊するのも悪くないらしいよ。本に書いてあった。」
私 「最悪は泊まろう。でも、日が完全に沈んだら、今よりもっと冷えるよね。持ってる荷物で間にあうのかねぇ・・・今はとりあえず、少しでも見えてるうちは帰ること前提で。」
プー 「そうだね。ま、焦るなってことだよ。」
私 「ってか、多分大丈夫だよ。さっき滝に男の子達いたし、まだなんとかなるよ。」
プー 「そうだねぇー」
数十分無言で一生懸命歩いてた。
背後から人が結構なスピードでやってくる足音が聞こえる。
あ、さっきの滝の所の子達!
信じられないスピードだった。
朝、ゆっくりジョギングしてる人たちと似ていた。
私たちが恐れる岩場にもスピードを落とさず、うさぎみたいにピョンピョン跳ねて、前へと前へと足を出す。
なんじゃこりゃ・・・
ってか、何このレベルの差・・・
だから、彼らは遅い時間に滝へやってきてもパシャパシャと写真を撮りながら、私たちのことも時間のこともさほど気にする必要がなかったのだろうと思い、ものすごく納得した。
あっという間に彼らは前の方面へ進み姿が見えなくなった。
私 「ちょー速くない?」
プー 「忍者BOYだ!忍者BOY!」
忍者BOYっていう単語が可笑しくて笑ったけど、確かに忍者BOYっていうのがなんてぴったりなんだろうと思った。
そして、もう本当に本当に私たちの後ろには誰ももう来ないんだと実感が湧いた。
不安になった。
登る前に地元のおじさんが「こないだ山の人が熊にやられたよ。」って言ったらしい。プーさんが朝のぼってるときに私に言ってた。
熊にやられながらの人生の最後の瞬間なんて考えたこともなかったのに、もしかして私熊にやられて死んじゃうのか!?って考えてしまう。
リュックの熊除けスズはとりあえず鳴っていた。
もしも山に泊まることになったら・・・鈴ずっと鳴らせないし、でも熊には用心しなきゃだし。交代で一人が寝て、もう一人がひたすら鈴を振りながら音鳴らすのかな・・・ってか、うるさくて寝れないじゃん。
ってか、熊なんて・・・
ってか、熊は冬眠してもいいじゃんか。寒いのに動き回るな。
帰ろう。熊に脅えながら山で一泊なんて嫌だ。
周りがどんどん暗くなってくる。
時間は5時前だった。
プー 「なんとか見えてるうちに、泊まるとこ探そうか。」
えぇえ!熊は!ってか、寒い!
ここが真っ暗になったら、真っ暗い世界で気味の悪い川の流れる水の音に、虫だってすっげぇー出てるし!歩きながら見かけたあの足の細長いそこそこデカイ蜘蛛に!気持ちが悪いよ!やだよ!
私 「いや、もうちょっと歩こう!まったく視界が悪くなって、歩けなくなったら泊まる。ギリギリでも見えてるうちは進もう。」
プー 「・・・わかった。」
泊まるもんかい!?
もう、必死で歩いた。
橋が出たりして、かなり動揺したんだけど、橋を渡るのに戸惑って時間とってしまって山で一泊過ごすなんてマジごめんだった。
足をガタガタブルブル震わせながら、なんとか数か所を橋を突破することが出来た。
プー 「よく橋渡れたね。いけるじゃん。」
私 「だって、生命の危機感じてるもん。」
プー 「あはは」
これが時間のあるときなら、私は橋を渡ることに悩み、軽く20分を使い、挙句の果てに「帰りたい!」って泣いてるとこだと思う。
しかし!時間がない。どんどん足元が見にくい。熊が怖い。山が怖い。
前を歩いてるプーさんが足を軽くひねった。それと同時に体のバランスも崩し、転びそうになった。
が、なんとかバランスを保ったようで転ばずに済んだ。
ほっとした。あっぶねぇ~。
私 「プーさん大丈夫?足。」
プー 「あ、うん。大丈夫。前がちょっと見にくい。」
私 「何で?なんとか暗いけど、うっすら見えるよ!?」
プー 「俺、鳥目だから。」
あ、そうだそうだ。
プーさんは暗い中で物が本当に見えないらしい。
あ、山に泊まるしかないかもな。
見えないのに歩いて、転んだら大変だし・・・
プー 「まだ、大丈夫。」
私 「本当!?見えなくなったら言ってね。そしたら泊まろう。」
それから、私は細い道が出るたび、プーさんに声をかけた。
そこの道、めっちゃ細いから、壁伝いに歩いたほうがいいよ!とか
次また、細い道だから気をつけてね!とか
もう、プーさんに対しても、自分に対しても、進むことに対して必死だった。