3月15日
九州の旅二日目。
この日の目的地、外海（そとめ）へと進路を取る。
西海橋に差し掛かる。
60年前、阿蘇山から飛来してきたラドンに破壊されたが、今や、その痕跡は残っていないようだ。
あ、いや、何でも無い。
話を進めたい。
この日の目的は、長崎県外海地区に点在する、ド・ロ神父関連のキリシタン遺産群を見ることにある。
出津（しつ）教会堂。
ド・ロ神父により建てられた。
ド・ロ神父に関しては、説明していると長くなる。
興味がある方はググって貰いたい。
今更だが、私は切支丹関連遺産に強い興味がある。
かといって、私は法事の時だけの、なんちゃって真宗門徒にすぎない。
つまり、不謹慎ではあるが、宗教的な意味での関心はない。
言ってみれば、歴史的な事や人文科学的な事、或いは単純にその建築美に、興味があるのかもしれない。
要するに、自分でもよくは分かっていないが、何しろそうなのだ。
ド・ロ塀と言われる、この地区独特の石積み。
歴史の小径。
かつてこの道には、ド・ロ神父が、目を輝かせ、毎日頻繁に往来していた姿が見られた。
こういう風景に、心惹かれているのだけは、ハッキリ言える。
高台に見える出津教会を振り返る。
この日。
私には半袖Tシャツが、ちょうどいい気温なのだが、一般的には、若干肌寒いらしい。
この身なりでここを訪れた事に関して、後程、後悔する事になる。
ド・ロ神父記念館。
かつての鰯網工場との由。
中に入ると、受付のおばちゃんから、
「ふえーー、寒うなかとね、そんな格好で！！あ、おまけに裸足じゃなかですか！」
いきなり驚愕される。
あ、いやぁ。
そげん寒かですかね。
「この人。寒さの感覚が、小学生並みやけん。気にせんでください。そのうち、半ズボンになりますから。バハハ」（家内）
黙れ！
要らん事いうな！！
旧出津救助院
中に入ると、説明のおじさんが付く事になっているらしい。
ここでもまた、
「うひゃー！！こりゃまた、びっくりした。あんた、寒うなかと！」（おじさん）
「（もういいから）その話は一旦おいといて、説明を進めて貰いましょうか。」（私）
「ビャハハ！！人間離れした暑がりなだけですけん、無視してください。」（家内）
まったく。
長崎人て、一体何なんだ！
不躾すぎるやろ。
マカロニ工場跡。
ド・ロ神父は、印刷、医療、農業、土木、建築、さらには製麺から製糸等々、多岐に亘る技術を出津の人々に広め、産業を興した。
完全に、宗教家の枠を超えてしまっている
ここはソーメンを主に作っていたようだ。
素麺制作のディスプレイ。
「これ撮らんば。ド・ロさんの直筆よ。」
あ、はい。
「これも、撮らんと。当時の新聞たい。フランスの新聞ばってん、日本郵政の広告が乗っ取ります。もうすぐ一般公開は出来んごとなるよ。」
あ、はい。
二階からは、別の説明員（シスター）に代わる。
ここは、製糸工場兼女工たちの宿泊部屋。
奥に見えるのは、少なくとも、130年以上前、下手すると、200年前に製作されていたかもしれない時計。
正に大きなのっぽの古時計である。
説明を受けている最中に、
チンチンチン！！
うわ、びっくりしたあ！
「この時計は、15分置きに鳴るようになってて、彼女たちは、その度にお祈りをしていました。」
そ、そうなんですか。
「このオルガンはですね・・・」
これも130年前のオルガンである。
和音が自動的に奏でられる事や、変調が簡単にできる仕組みを説明をしながら、演奏までしてくれる大サービスである。
この後、「道の駅夕日が丘そとめ」に移動し昼食。
隣接する遠藤周作文学館へ。
この地区を舞台とした『沈黙』をメインに、遠藤周作の直筆の原稿などの展示があった。
次は、すぐ近くの黒崎地区へ移動。
黒崎教会。
赤い煉瓦とブルーの窓枠。
中々に美しい。
更に更に、枯松神社へ。
祈りの岩。
潜伏切支丹達が、この岩の下で、密かにオラショを唱えていたという。
切支丹墓。
上に置かれた小石は、これを使って、クロスの形にし、お祈りをする為にあるらしい。
枯松神社は全国でも珍しい、サン・ジワン神父を祀った神社。
言わば、切支丹神社との事。
この日の見学は、これにて終わり。
この日の温泉『ゆりの温泉』
ここも750円と、中身の割には少々お高め。
宿泊は『道の駅 長崎街道鈴田峠』
wifiばっちり。w
本日の走行距離119km。累積走行距離283km。
