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Tシャツとサンダルの候

高森殿の杉


マンションの工事が続いている。

足場が出来て以来3ヶ月、ずっとこんな暮らしである。



塗装が終わるまで、網戸は撤去されたままである。

ここで困るのは、うちにはウメがいる事だ。

開けっぱなしにして、うっかり足場を伝って脱走でもしたら、もう取り返しがつかない。

従って、工事が終わるまでは、窓を閉め切った状態が続く。

あまつさえ、作業員は日常茶飯に目の前の足場を通過する。

ベランダにもしょっちゅう入ってくる。

『カーテンは閉めたっきりがよろしかろう』との管理会社のお達しは、当然至極である。


ったく。


鬱陶しいったらありゃしない。

とは言え、自分ちの修繕なのだ。

誰に文句言う訳にも行かず、


「おい、どっか出かけるぞ。」


てな次第となる。


そんなこんなで、またもや南阿蘇である。







キツリフネ




ハガクレツリフネ







ハナシノブがまだ頑張って残っていた。




トチバニンジンの実




ヒゴタイは完全に終わりだな。




館内に入り職員の方に、いくつか質問してみた。


「ブルービーですか?大体が今年は、飛ぶのが早かったんですよ。」

「ははあ。」

「その後の長雨で、今年は終わっちゃったかも。」

「ははあ。」

「これからどこへ?決めてない?ならば、ここなんかどうです?」

「ははあ。」

「そんでもって、こことかも良かです。」

「ははあ。」


オジサン、話が止まんなくなっちゃった。

ちゃんと呼吸が出来ているのか、心配になる程である。


「実は私、ここに来る前は、阿蘇ジオパークガイドをしてまして。」

「ははあ。」


うっかり「阿蘇カルデラの成り立ち」なんて質問をしようものなら、

終業時間まで帰して貰えないのは確実だ。


「小国の鍋ヶ滝もお勧めですばい。この滝は阿蘇噴火で流れ、、、」

「あ、こんな時間だ!どうも有り難うございました。失礼します。」

「た火砕流・・・。あら、そうですか。それではお気を付けて。」



ドピューーン



電光石火の退避である。

その後は、オジサンが熱心に勧めてくれた高森殿の杉へ。



フェンス脇から、人が一人が通れる通路が延びている。

どうやら、牧場の中を通行するようだ。



なので、名所とは言え、牛の排泄物を避けながら慎重に歩く必要がある。

振り返れば、阿蘇の雄姿が。



牛のお宝のせいかどうか、オタカラコウが群生している。

よく見るとそこから、下に向かう細い道が見える。

どうやら高森殿の杉は、ここを降りた先にあるようだ。



おおー!


ビジターセンターのオジサンが、

『絶対見る価値あります!』

と断言するだけの事はある。



高森殿の杉とは、

戦国時代、島津軍に攻め落とされた高森氏の殿様が、この杉の根元で自刃した事に由来する。



これは、根っ子じゃ無くて枝である。

凄い!






何だか、西欧のお伽話が似合いそうな枝振りだ。

鉤鼻の魔女が、ひょっこり出てきそうじゃないか。






どうやら殿様は酒好きだったようである。




高森殿の杉。

教えて貰わねば、生涯知らないままだったろう。




有り難う、元ジオパークガイドのオジサン!

今度はじっくりと、阿蘇山の話でも聞かせて貰うよ。


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