朝から久しぶりのジョギングである。
高良山弐の鳥居からスタート。
天然記念物 孟宗金明竹
髙良大社通過。
奥宮鳥居まで登ってきた。
あと少しで、森林つつじ公園である。
フー、到着だ。
ここで折り返しだ。
さて、ここからが本題である。
再び大社前まで降りてきた。
少し休憩したいが、望郷亭は開店準備の最中のようだ。
「まだ・・・だよね。」
「ええ、まだはまだバッテン。えっと、何にします?」
注文は決まってる。
「トコロテン。あ、準備が済んでからでよかよ。」
「トコロテンならすぐ出せますけん、好きな所に座らんですか。」
開店前にも関わらず、何とも親切な対応である。
ところがこの時点で、既に問題は起きていた。
ヤレヤレと外のテーブル席に座った途端、私は肝心な事に気付く。
(しもた!そもそも、財布持ってきとらんやん)
店の中を覗くと、まだトコロテンの準備にはかかっていないようだ。
「ごめん、キャンセル。財布持ってきとらんやった。ハハ」
店主に謝罪し、店を2〜3歩出たその時、後ろから呼び止める声が。
「あのー、後でよかですばい。」
「えっ?」
何と、どこの馬の骨かも分からない私に、掛け売りしてくれると言う。
短パンにTシャツ、汗みどろの髭面。
渾身、怪しげなオーラに包まれた、この私にである。
こんな場合、『いや、そうもいかん。また来ます』
そう言うのが、常識的な大人だろう。
だが、その時私の口をついて出た言葉は、
「え、よかとね?(お金は)後で持ってくるたい。」
何たる非常識!何たる厚顔無恥!
「はーい。どうぞ。」
来ちゃったよ。
もし私が、無銭飲食など屁とも思わない破廉恥な奴だったら、どうするんだろう。
お人好しにも程がある。
自分で蒔いた種で起きたこの事態は棚にあげ、店主を心配する私であった。
「ごちそうさん。昼から持ってくるけん。」
「あ、いつでんよかですよ。」
望郷亭に栄えあれかし。
店主に幸多からん事を。
そう願い、再び走り出す私であった。
追記
この日の午後、
約束通りに、トコロテンの代金を返済した事は付記しておく。