ロンドンに住んでいた頃、インディペンデント系シネマで上映していたBefore Sunrise。邦題で「恋人までの距離」というのですね。ずっと気になっていたのでとうとう借りちゃいました。
若き日のイーサン・ホーク、いいわー。不器用だが誠実、地味でいいヤツ役が上手な彼にこの役ぴったりですな。アメリカ人役なので、服装もTシャツにジーンズ。強いて言えば、ビーチサンダルを履いて欲しかったのだが、スニーカーを履いていてちょっと残念。
ラブストーリーで、相手役であるパリジェンヌのセリーヌとの会話が9割近くを占め、アメリカやフランス事情を知っている人はより楽しめる内容もいくつかあります。
イーサン・ホーク演じるジェシーは、セリーヌから「アメリカ人だから外国語話さないのよね。」と言われ「どうせ、下品で粗野で知性に欠けるアメリカ人だよ。」と言い返す自虐ネタには笑ってしまいました。「高校で4年間フランス語習ったんだ。パリのメトロではフランス語で切符を買おうとしたんだけれど、緊張して英語しゃべっちゃった。」と笑い話も付け加えたり。
確かにアメリカ人のほとんどが英語しか話せません。アメリカ人と外国語の話になるとほとんどが照れながら「高校でスペイン語を習ったけれど、使わないから忘れてしまった。」と言う。夫がアメリカ大学院の授業の一環でスペインに行ったときのこと。同級生のアメリカ人は、マドリッドのレストランなどでブロークンスパニッシュを話す夫に羨望と尊敬のまなざしを注いだそうです。英語だと堂々としているアメリカ人もスペインでは言葉が出来ないせいで、もじもじしていることが多かったらしい。
外国に行ったことないアメリカ人も多いのですよ。アメリカは広大な国土であることは言うまでもない。北はアラスカ、南はハワイまで。アリゾナには砂漠もあり、コロラドにはロッキーマウンテンもある。ナイアガラの滝もありーの、都会に行きたけりゃ、ニューヨークに行けばいい。ま、国内だと英語も通じ、ドルも使える。よって、外国へわざわざ行かなくても、十分に楽しむことが出来るのだ。
話は戻して、そんなアメリカ人だが見た目自信満々に見えるけれど、外国に行ったことがないことをコンプレックスに感じていたり、ヨーロッパ人と比べてマナーに欠けることを恥じている人もいるのです。
映画はラブ・ストーリーなのだけれど、文化的背景の方が面白かったな。ブダペストからウィーンへの列車の旅なんて「世界の車窓から」を見ているようで、2人が歩くウィーンの街並みも必見。中欧へ行きたくなりました。